4騒目:理騒
朝・・・だな。
俺は5時に起きた。いつも通り。
しかしいつもと違うのは俺の頭がものすごく重く感じること。原因はこれだ。
「ごがぁー!ごがぁー!・・・うは、うはは・・・。ごーがー!」
「くすくすくすくすくすくす・・・」
うるさすぎる!隣で工事でもしてるようなもんだ!
てかくすくすって・・・。
なぜかというのも俺の頭の中にいる二人組みの悪魔は体は小さくなっても声はさほど変わらないのだ。ちょこっと変わったとしても直接脳に響く。寝始めは可愛いものだったが時間が経つとすぐにこれだ。寝ていても疲れはたまる。
しかしいつもの頭痛がないだけで大分楽だった。
「お前らのせいなんだが・・・おりゃ。」
おれは頭を左右に振ってみた。
「・・・お?静かになったぞ?どれもう一発。ていっ。」
「うわぁあ!?な、なんだ?地震か!?」
「真葉震でしょう・・・。ふぅ・・・」
「あ、そうだった。ここあいつの―うわっ!」
ぶんぶんぶんぶんぶんぶん!
俺は頭を振って振って振りまくる。
「このやろぉ、黙ってれば調子に乗りやがってぇ!ルイ姉、ちょっと行ってくる!・・・ルイ姉?おーいルーイ姉ぇー。うっわぁ、ここでもこんなに寝れるんだ・・・いつもだけどほんとよくこんなに眠れるよな。不思議・・・。まあいいや私だけで行ってやるもんね。」
「おーいサン。さっきから丸聞こえなんだけどー?」
俺は頭と会話を開始した・・・!そして頭から返事が帰ってくる。不気味だ・・・
「うわ!盗み聞きしてたのか!サイテーだなお前!サイテーだ!」
「なに言ってんだ。お前らが勝手に入ってきたくせに。文句言うならこうしてやる・・・おりゃ!」
ぶんぶんぶんぶんぶん!
「うわあぁあ!や、やめろよぉ!気持ち悪くなってきただろ!やめろってばぁ!」
「やめてくださいだろ!どりゃ!」
ぶおん!ぶおん!ぶおん!
さらに大きく俺は頭を振り回した。
「きゃぁ!そ、そんなこと言うわけないでしょ、バーカ!バカ人間!バカ下僕ー!」
「ふっ、その強情さを後悔するんだな。でりゃあぁああああ!!」
俺は上下左右前後全ての方向に頭を振りまくった。」
「ひゃあ!?や、やめてへ〜。も、もう気持ひわうひ〜、ゆるひへ〜。おへひゃい〜。」
「許して、ください・・・っだ!」
「ふぁ、ふぁかったわよぉ。ゆるひて・・・くらひゃい・・・。―っ!な、なんれ止めへくれなのよぉ〜!」
「お願いします習様がないっぞ!」
「ゆるひへ・・・ゆるひへくりゃはい・・・おれがいひまひゅ・・・ひゅ、ひゅうしゃま・・・。はへ〜・・・」
勝った・・・!
「まあいいだろう。これくらいで勘弁してやるよ。」
う、振りすぎて頭が・・・。
「ふへ〜。ぐりゅぐりゅ回ってりゅ〜。」
「よしじゃあ準備するかな。」
朝っぱらから長い戦いの末俺は勝った。頭の痛みと引き換えに。
俺は朝ごはんを食べ髪をセットし、勉強道具も確認した。完璧だ。
「よし、行くか―っは!」
意味のわからん光景が・・・。
二人の女の子が自分の衣服を脱ぎ始めていた!
てかいつから出てたんだ!
二人は制服をまじまじと眺めていた。二人とも考え込んでいる。しかし裸で!二人とも下着を着けていなかった!元々露出の多い服だったが今のとそれとは話がまったく違う!二人はどうやら制服の着方で悩んでいるらしい。俺はなるべくそっちのほうを見ないようにしている。俺はそんな欲望なんかに負けない!俺は靴紐を縛っては解き縛っては解き、なんどやったかも忘れるくらい繰り返した。
「ルイ姉ぇ?やっぱり人間のものは人間に聞いたほうがいいですよー」
「やっぱりそうでしょうね。やはり真葉様にお教えいただかねばいきませんね。」
え・・・。
え・・・?
え・・・!?
来ないで下さい・・・!お願いします・・・!
「真葉様、制服の着方が分からないのですが・・・。どう着ればいいのでしょう?」
「・・・ん?あ、ああ、ま、まずはし、下着をつけろ。」
来ちゃいましたー!
・・・しょうがない、覚悟を決めろ俺!
俺は前を向いたまま部屋を鮮明に思い出しながら指示した。
「シタギとはどれのことでしょう?」
「え、えーとだな・・・。・・・!」
(うちに下着があるわけねーだろぉ!)
「え、えとその紺の袖が長いやつだ!」
「あ、これですね。んっ・・・ちょっときついですね。」
それはしょうがない内着はぴったりとした布で出来ている。
「じゃ、じゃあ次にスカートをはいてくれ。」
「スカートとはどれでしょう?」
「難しいことを言うな・・・。えー・・・一方の穴が小さくてもう一歩が大きく開いているやつだ。」
「わかりました。小さいほうからでいいんですか?」
「ああいいぞ。」
「それで次はどれでしょう。まだひょろひょろとしたもののワンセットと、もう一着着るものがありますが。」
「そのひょろひょろしたやつはソックスだ。まあ物まで覚えなくてもいいだろ。それを右と左の足に履いてくれ。」
「はあ、・・・長いですね、んしょ。太ももの上部まではありますよ。はい、できました」
「そしたら上にさっき言ってた着れるやつがあるっているのを着てくれ。それがないと非常にまずい・・・。」
おまえらは特にな・・・。
「出来ました。・・・おお、どうでしょう真葉様。お似合いでしょうか。」
俺はもういいだろうと思い振り向く。
「おおいいじゃないか。似合ってるな。サンはどう―ぶっ!」
「これなかなか着れないぞぉ?きつすぎじゃないか?ん〜っっしょ!はぁ・・・やっと入った。えー・・・と次はスカートとかゆうやつだったっけか?」
なんでまだ着替え中なんだよ・・・!それもまだ初期段階じゃねえか!
「?どうかしましたか?真葉様。」
「え゛ぇー?なにがー?べづになんでもないぞぉ?」
冷や汗が滝のように!
そしてやっとサンの着替えが終わったようだ。
「どうだ?どうだ?似合ってるか習。うはは。」
「うん」
「な、なんだよその感想は〜!ルイ姉とは全然違うじゃんか!サンにも似合ってるよ〜とか可愛いよ〜とか言ってくれてもいいじゃんかぁ!」
「ん、ニアッテルヨ。カワイイヨ。」
「ムキ〜むかつく〜!もういいもんな!ぷいっ。」
「うふふふ、だいぶ心通できてきたようですね。よかったです。」
「む〜別に仲良くなってなんてないー。」
「そうだ。こんなやつと仲良くなったつもりはない。」
「「ふん」」
「息ぴったりではありませんか。ケンカするほど仲がいいとはこのことですね。うふふ」
「ムキ〜、ルイ姉の意地悪ー!」
「でも気になったんだけどよ、なんでお前ら学校行くんだよ。別に大学に行くわけでもあるまいし。」
「はぁ〜?ダイガクゥ〜?そんなものには興味ないって。最初に言ったでしょ、破壊するって。」
「私は再生しますが。」
「だからそれはどういう意味なんだよ。」
「え?この世界に破壊って言葉なかったかな〜、まあ少しだけ説明してあげるけど。簡単に言うと学校をドッカーーン!とサンのこのハンマーでコナゴナにしちゃうってこと!楽しみぃ!うはははははー!」
またまた・・・意味が分かりません。
「意味が分からないという顔をしてますね。まあ付け足して言うとこうですよ。サンが学校を破壊します。それを私が再生させる。それだけです。」
「へぇー・・・なんでそんなことを・・・?」
「そっりゃあ暇潰し!アーンドストレス発散!」
「そうです。」
「それだけ!?それだけで学校粉々!?だめだめ!絶対だめだから!」
「えー、いいじゃん別にルイ姉が再生させて元通りになるんだからぁ。」
「はい。私のリプレイは完璧です。魔界一ともいっていいでしょう。」
「そういうことはどーでもいいの!もしみんなの前で学校壊したらパニックになるだろうし、俺はこの学校をなんの騒ぎもなく過ごしたいんだ!最近お前達のせいでそれは薄れてたけど今は出来てる!だから邪魔すんな!」
「そんなこと言われたってぇ、ねえ。」
「そうですね。これはしょうがないことです。だって私たちは。」
「「悪魔」」「なんだから」「なんですから」
だめだ・・・こいつらに何言っても・・・。さすが悪魔・・・最悪なやつらだな・・・。
「ねえねえ、こんな事話してるけどいいのー?学校。」
「あっ!やべぇ!はやくお前ら靴履け!遅刻するぞ!おいさっさと―ぶうっ!!」
ルイは普通に立ちながら靴を履いているが、サンはお尻を床につけながら思いっきり足を開いて靴を履いているため丸見えなのだ!これはどう考えてもやばい・・・!もしこいつが学校行ってみろ。学校でもこんなことしたら変なやつらが群がってくる・・・!どう考えたって危険だ。それにルイだって下着はつけていない!ルイの場合は胸がなかなかあるのでこっちでも危ないだろう・・・。まったく、世話がやける・・・。やけすぎる!
「はぁ・・・。ちょっと待てお前ら。」
「よっしやっと履けたぞぉ。うはは。ってどうしたんだよ。」
「どうかなさいましたか真葉様。」
「今日は学校は行かない。」
「え゛ー!?なんでー!?学校行こうよー!何で行かないのー!結構楽しみにしてたのにーいーいーいー!」
「な、なぜそういう決断をされたのでしょう。」
「おまえらはな、人間の女性には必要なものをまだ身に付けていないんだよ。それをつけなければ学校へは行けないんだ。」
「じゃ、じゃあはやくそれつけようよ!はやく学校行きたいんだよぉー!」
「まあ待てって。それは女性しか身に付けないんだよ、だから俺は持ってない。なかったらどうするか、そう、買いに行かなければならない。だから俺たちは学校へは行かずそれを買いに行く。わかったか?」
「うんうん!わかった、わかったからはやくそれ買いに行こうよ。」
「そうです、はやく私も学校に行ってみたいです。」
「まだ行かない。」
「もう、なんでだよーー!!」
「今行ったら生徒達に見つかる。だから登校時間が終わったらだ。」
「ぶーぶー・・・ぶーぶー・・・」
「私はすこし残念です・・・。今日のこの気持ちをどうすればよいのか・・・。」
「大袈裟だなぁ・・・。学校なんて明日でも行けるって、我慢しろよ。それに俺はお前達のためを思ってわざわざ休んでやるんだから、ほんとは感謝して欲しいくらいなんだぞ。ほんと・・・」
「ん・・・ありがと。」
「ありがとうございます。」
「あ、ああ・・・」
サンもルイもほんとに学校に行きたかったというのが分かる。でももうちょっと我慢してもらおう。
お、そろそろ時間か?今は8時5分あたり。まあいいだろう。
「よし、じゃあ行くか。ルン、サン。この機会にいろいろ見てみろよ。結構楽しいもん見つかるかもしれないぞ?」
「ほんと?楽しいものある?」
「あるぞ。」
「じゃあじゃあ美味しいものはー?」
「あるある。」
「うはー!は、早くいこっ!早く早く!その女性が付けるの買って、美味しいものいっぱい食べよー!うはぁ〜・・・」
「お・・・」
不覚にもちょっとサンが可愛く見えた。と、そのときサンは左腕に絡んできた。きっとさっきまでのことは忘れているんだろう。でも嬉しそうでなによりだ。
「私もなんだか楽しくなってきました。私も美味しいもの食べたいです、真葉様!うふふ」
ルイは右腕に絡んできた。なにかが二の腕あたりにあたってる・・・。でもルイもいままで見たこともないような笑顔だった。
「よし、行くか!あ、一応かばん持っとけ、いい入れ物だからな。」
「「はーい」」
ほんとに楽しみなんだな・・・よしっ。
「じゃあ今日はすこしだけサービスしてやるからな、楽しめよ?出発!」
「やったーしゅっぱーつ!。うはは!」「うふふ!」
俺は学校を破壊して再生させというデタラメなやつらということを忘れて、とても楽しそうな二人の女の子悪魔に挟まれながら家を出た。
今回は少し悪魔と人間の仲を縮めるようにかいてみました。これからどんどんこの仲が良くなっていくのか悪くなっていくのかは是非これからもこの作品を読んでくれればいいとおもいます