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第2話

怖いお兄さんに囲まれないことを祈りながら身支度を済ませ、現地へ赴くことにした。

昼前に一度「今日の12時によろしくお願いします」とlineが届き、こちらこそよろしくお願いしますと適当に返信した。


待ち合わせの時間より少し早めに到着したので、どの辺りにいるのか聞こうと思っていたら「前の打ち合わせが長引いて少し遅れます」との連絡が来ていた。

まあ少しぐらいの遅れなら急ぐ必要がないので「着いたら連絡してください」と返信して時間をつぶすことにした。


それから30分ぐらいしてから「40分ごろに着きそうです」とメッセージが来たので了解ですと返信した。


そして40分が過ぎてから再度メッセージが来た。


「あと10分ぐらいで着きそうなのでどこかで待っててください」


と送られてきた。

どこかってなんだよと思いながらウィンドウショッピングを続けた。

それから20分が過ぎてからようやく「着きました」との連絡が入った。


かれこれ1時間以上待たされたことになる。

自分から約束しておいて1時間も遅刻している時点で、時間を効率化すると謳っていた事と正反対だな、と思いつつ行くことにした。


しかし、待ち合わせ場所と現在地には徒歩5分~10分ぐらいの距離があった。

だが、1時間以上待った側からすれば5分10分など些細な事だと自分に言い聞かせ待ち合わせ場所に走ったり、早歩きしたりせず、ゆっくりと歩いて行った。


2,3分すると「どの辺りにいますか」と相手は訪ねてくるので「駅の近くにいます」と適当に誤魔化した。


すると相手からメッセージが来た。


「駅前の○○(駅前のシンボルになるような場所)で待ってます。着いたら連絡ください」


それから5分ぐらいして、待ち合わせ場所に着きましたと返信したら、line通話が掛かってきた。


「着きました?」


「着きましたけどどこにいますか?」


といった一言だけの会話していると、電話越しの女性の声を聴いて、本当に女性だったのか、という感想を思う間もなく、電話をしている女性が見えた。


「あっ見つかりましたね」


「そうみたいですね」


1分どころか30秒もかからないぐらいの時間で無事に合流することができた。

相手の女性は茶髪のロングヘアーで黒の革ジャンが印象的な女性で、好みかどうかは別として一般的に美人と言えるだろう。


「とりあえずカフェに行って話しましょうか」


とデート……もとい商談と言うべきだろうかビジネスの話を聞くことになった。


どこのカフェに行くのか説明が一切なく分からないので、女性についていきながら雑談をした。


「君は今って20歳だったっけ?」


「そうですね今年で20歳ですね」


「私24だから少し年下だね」


「あっ、うん、そうですね」


といったコミュ障丸出しの雑談を交えながらカフェに着いた。


カフェに着くと店員さんに席に案内され水とおしぼりを持ってきてくれた。


「じゃあ何か飲み物頼もっか」


テーブルに置いてあるメニュー表を取り出し1ページ目に書いてあるコーヒーを注文することにした。


「えーっとじゃあホットコーヒーにしようかな」


「じゃあ私はアイスティーで」


注文を済ませた後、彼女はカバンからタブレット端末とルーズリーフを取り出し何かを書き始めながら質問してきた。


「バイトとかって何しているの」


自然な流れで私の収入を聞くテクニックだろうか。


「まあ一応接客業とかいろいろしてますね」


と適当に答えた。

すると立て続けにこう聞いてきた。


「それって時給いくらぐらいなの?」


「まあ最低賃金よりちょっと多いぐらいですかね」


と一般的と思われる時給を答えた。

その後に月に十数万稼げるというビジネスの話なので当然の如く月収を聞かれた。


「それで月いくらぐらい稼いでいるの?」


私は少し間をおいてからわざとらしく聞き返してみた


「バイトだけで……ですか?」


「えっ……」


彼女は少し困惑した様子だったので咳払いをしてから言い直した


「あっ複数のバイト全部合わせてってことですよね?」


彼女はただの聞き間違いと察したようで困惑していた表情が和らいだ。


「そうそう全部合わせていくらぐらいかな?」


「シフト次第ですが基本的に3万円前後で多ければ5万ぐらいですかね」


あえて少な目に申告してみた。


「それじゃあ少ないよね」


否定的な事を言われつい反射的に


「まあ趣味が読書なんで図書館行けばタダなので経済的ですけどね」


と答えてしまった。


「それじゃあお金稼ぐのにあまり興味ないのかな」


と疑念を持たれてしまったので酷い言い訳をした。


「まあ、お金は無いよりもあればあるほど良いですけどね」


「まあそうだね」


どうやら納得してくれたようだ。


二人分の飲み物が届き、彼女はガムシロップもミルクも全部入れて、自分はコーヒーにミルクと砂糖を少し入れてコーヒーを一口飲んだ。


ルーズリーフには4つのキーワードが書いてあり、アフィリエイト・転売・ネットワークビジネス・投資とお金を稼ぐ方法が書いてある。


「ところでここに書いてあるものでどれか経験あるかな?」


ダイレクトな質問だったので、私は少し戸惑い気味にこう答えた


「えーっと2年前ぐらいにせどりとかやったことありますね」


「それって初期費用いくらぐらいしたかな」


なんで損益ではなく初期費用について聞いてきたがかなり引っかかったが、曖昧な返しをしてみた。


「まあトータルで数万円ぐらいで結局トントンでしたけどね」


「じゃあ転売とかはある程度詳しいんだね」


と言って彼女は紙に書いていた転売のところに×マークを描いた。


「じゃあまずこれらがどういうものか説明するね」


そういって彼女は、アフィリエイトの事から説明された。


タブレット端末で紙芝居のようにスライドを用いてそれぞれ説明してきた。

適当にふむふむと相槌を打ちながら、全部ある程度内容を知っているが、あえて素人を演じてみた。

話を聞いていくとアフィリエイトの勧誘かと思ったら次第にデメリットを強調し始めた。


「これで10万を稼ぐとしたら何百人って人に紹介しなきゃいけないよね」


と論調が変わり続けてこう問いてきた


「毎月100人も紹介とかできないよね?」


と同意を求めてきた。


「まあ、普通は厳しいですね」


と無難な回答をした。


「そうだよね。だからこれは稼げない」


とアフィリエイトをばっさりと切り捨て、ルーズリーフのアフィリエイトと書いてある部分に×を描いた。

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