1、神様
これからはこの小説に力を入れていきます。力作ですので楽しんでいってください。
ペースは週一くらいです。受験生ですのですみません。
この時代、問題を抱えている人間は腐るほどいるんだよ。
誰だって悩む、悲しむ、憎む、恨む、病む。きっとこういったマイナスな感情はもっとある。
最近なんて特に増えてきてる。消費税に対して、育児に対して、政治方針に対して。もっと細かく言えば、お母さんに対して、友達に対して、先生に対して。
もちろん、君も問題を抱えているだろう。人間であれば必ずそれは抱えているはずだ。
こんなに偉そうに言っている俺もだが問題は抱えている。
あの子は先生と仲良くできているかなー、とか。不安で心配だ。
だから言っておくが、悩んだり、悲しんだり、問題を抱えるは決して悪いことではない。それを生かして成長できればそれでいい。
俺はむしろ問題を抱えてほしいと思う。まあ、この時代に抱えていない奴などいないだろうが。
俺は今日もそんな人間を探しては助ける。
なぜかって?
それは俺が俗に言う「神様」だからだ。
以外かい? 神様はただ黙って座って人間界を見下ろしている。そう思ってたかい?
それは絶対にありえない。そんなの暇すぎて耐えきれない。
神様も飯は食うぜ。かつ丼は特にうまいよな。
かつ丼なんて念じながら指を鳴らせば出てくるさ。
おっ、違う神様が誰かを呼んだみたいだ。
「よいしょっ」
フカフカの椅子から立ち上がる。
腰が痛い。ずっと椅子に座ってるとこうだよ。たまには運動した方がいいのかな? まあ、また人間界に行く機会があったら少ししてみるか。
俺は誰かがいる「面談室」へ入る。勝手に扉は開かないんだなー。しっかりドアノブをひねって押してやらないと。
そこにはロングヘアーの女の子がいた。見た目からして中学生。パジャマ姿だ。
「ようこそ、神様の面談室へ。今日は、っていうかー、今はー、俺、ミヤビが担当だ。優しいから安心しろ」
彼女は少し動揺しているが、きっとなぜ今、自分がここにいるか分かっていることだろう。顔が少し笑ってやがる。
こんな笑顔がかわいいのに。もったいない。あっちでは全然この笑顔、披露できていないんだろうな。
「うれしいかい? 神様だぞ。どうだ、かっこいいか?」
「全然! でもとても優しそう」
おいおい、そんな笑顔で否定されたら困るぜ。否定されてんのにされてないみたいだ。
「なんだって? じゃあ帰ってくれ」
からかってみた。こんなかわいい女は初めてだ。存分にこの時間を楽しもう。そして楽しんでもらおう。
「え!? ごめんなさいごめんなさい! 話を聞いて!」
手を顔の前で合わせて必死にお願いしてるよ。かわいいねー。
おっと。このままふざけてると俺がロリコンみたいになるから止めておこう。
言っておくが、神様はロリコンじゃないぜ。
「はははっ! 冗談さ。お前、かわいいなー!」
「なんだー、からかわないでよー!」
いやー、かわいい! ずっと話していたい。
俺はそんなことを考えながらずっと彼女のことを眺めてしまっていた。
「何か変な目で見てるでしょ!」
「ん? なわけないだろう!」
いや、すまん。めっちゃくちゃやばい妄想してたわ。でもここではい、って答えたら彼女が身構えちゃうから否定しておいた。
「ちょい! ロリコンがなに興奮してんねん! 任せられんな、何しでかすかわかんないし」
そう言って面談室に入ってきたのはチシノ。彼女も同じく神様だ。俺と違って女性だ。
あ、言い忘れていたが、神様にも性別はあるぜ。さすがに真ん中のやつは見たことねーな。いるかもしれねーけど。
チシノはエロいね。今だって人間界にある水着とやらを着ている。いやいや、眼福だわ。
紫色の髪にきりっとした目。大きな胸にくびれたお腹。そして長くすらっとした脚。傷一つないその体は神にふさわしいナイスバディだ。話し方が全く容姿とマッチしていないのが残念な点だが。
それより! 一つ否定しておかなければいけないことが。
「チシノ、俺はロリコンじゃねえって」
「だって今めっちゃ見てたじゃん、彼女のこと。とんでもない妄想しながら」
くっ、読まれたか。
「ち、ちげーよ!」
「証拠は?」
「それは・・・・・・、俺が今、チシノの水着を見て興奮しているからだ!」
やべ、変なこと言った。
あまりにも二人の視線が痛すぎる。ズキズキとレーザーのように。
「や、これはだな・・・・・・、アメリカンジョークだよ。うん、そうだよ・・・・・・」
「笑えな」
「う、ん。確かに」
二人共、そんなこと言うなよ。悲しすぎるぜ。
「うあー! 始めるぞ、面談!」
俺は無理やりこの嫌な空気を変えた。こんなことしないと俺、耐えきれねー。
「はい? 私が彼女を呼んだの。何でミヤビが面談すんのよ」
「いいだろ、別に。チシノより俺が先に入っちまったんだからよ」
「はいはい」
分かってくれたようだ。ここでもまた、ロリな彼女と一緒にいたいだけでしょ! とか言われるかと思った。まあ、さすがにそれは無いな。
「ちょい、このカツ丼、食べないの?」
おっと。出したままだった。また念じながら指を鳴らせば消えるが、せっかくだから彼女にあげよう。
「ああ。せっかくだから彼女にやってくれ」
俺にそう言われてチシノがカツ丼を面談室のテーブルに置いた時だ。
「いりません! 絶対に」
全力で拒否されたのでかなり驚いた。なぜだ? あっ、あれか!
「ダイエットか! 最近の中学生はそんなに痩せたいのか? 太って無さそうだがな」
「いや、太ってる」
ボソッと答える彼女。あまり触れてほしくない内容なようだ。
だがダイエットは大きな問題の一つだ。
普通女性ってのは自分を美しく見せたいものだ。だから化粧とか服装とか、行動とかに力を入れる。行動ってのは、腕を横に振って走るとか、おいしい、って言う時にほっぺたを抑えるとか。
もちろん、自分を美しく見せるためのことにダイエットは入っている。
ここで誤解してほしくないのは、だからと言って太っている人が美しくない、と言うわけではないということだ。
あくまでその人が考えるに、自分を美しく見せるには痩せることが大事なだけで、太っている人が好きな人もいる。また太っている人も十分美しいのだ。
話を戻すぞ。
だから女性は痩せるわけだが、たまにその行動が行き過ぎる場合がある。それが「拒食症」だ。
食べたものを直ぐ無理に吐くとか、何も食べないとか。
だがそうすると痩せるは痩せるが不健康な痩せ方をしてしまう。これがいけないのだ。
だから女性にはぜひ、健康的に痩せてほしい。何も食べないではなくて、食べた後にしっかり動くとか。きっとだが、健康的に痩せる方法など「ネット」とやらにたくさん載っているだろう。
俺はそんな女性を何度も見てきた。神様歴は長いからな。
「そんなにダイエットしなくていいんだぜ? 自分に自信を持て。太ってたらそんな小さなバジャマ、着れてないだろ」
「そう、かな・・・・・・?」
彼女はパジャマをいじりながら言った。
「そうそう。適度に痩せなさきゃ。もし痩せるならね。私が見る限り、大丈夫!」
こんな体のチシノに言われたらさすがに言い返せないだろ。
「はい! 適度に痩せます。さすがです、神様。解決してもらうつもりのなかった問題が解決しました!」
嬉しそうに言う彼女。面談室にはテーブル一つと、椅子が二つ向かい合ってあるわけだが、彼女はそのテーブルに身を乗り出している。
この問題が解決してスッキリした時に出る笑顔がたまらん。病みつきになる。
「と言うことは、他に解決してほしい問題があるんだな?」
「はい・・・・・・」
彼女は急に俯いて言った。声のトーンからしても明らかにテンションが下がっている。
「チシノ」
俺はチシノに退室するよう、名前以外は目で言った。
チシノは無言で頷いて面談室を出て行った。
「さあさあさあ、話を聞かせてくれ」
また一つ始まるぜ、神様の仕事が。
いかがでしたか?楽しんでいただけたらそれが何より僕の褒美です。これからよろしくお願いします。
最後に。読んでくださった方に史上最大級の感謝を!