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迷探偵と初めての依頼  作者: 白石リッキー
10/13

1話~迷探偵と噛みつきティラノ~

夢を見た。

俺が今いるのは幼い頃よく遊んでいた公園だ。そこで俺は立っていた。目の前には見覚えのある女の子が小さくなって背中を向けて泣いている。


「泣いてもしょうがないよ」


俺はそう言った。でも女の子は泣くのをやめない。


「よし!俺に任せろ!俺がお前をいじめたやつらを倒してやる」

「……ほんと?」

「うん!約束だ!」


女の子はこちらを振り返り涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を服の袖で拭った。そして指切りをしようとした時…

「やっぱりいい!」と断った。


「えぇ!?なんで?」

「だって私強いもん!あんなやつらに負けないもん!」

「で、でもさっき泣いて…」

「うるさいうるさい!とにかく助けてくれなくても大丈夫だから!千秋くんどうせ役に立たないし!」


女の子はまたこちらに背中を向けた。その行動に俺は子供ながらショックを受けた。

女の子はそれを見かねてか声をかけてくれる。


「でも…ありがとうね!すっごく嬉しかったよ!」


そういうと女の子は走り去って行った。貶されたり感謝されたりで俺はただボーッとたたずんでしまった。

それからだ、あの子が『噛みつきティラノちゃん』と言われ始めたのは……。





「ちょっと起きてくださいよ!もう何時まで寝てるんですか!」


聞きなれた声で目を覚ました。声の主はまだグチグチ言っている。


「おー、愛理おはよう」

「おはよう!?何時だと思ってるんですか?言っときますけどもうこんにちはですから!」


時間を見るとたしかに時計は午後の一時をまわっている。

どうやら寝過ごしたらしい。


「…こんにちわ」

「はい、こんにちわ。本当に少しくらいは普通の時間に起きてくださいよ?今のあなた夏休み中の中学生より起きるの遅いですから」

「…起きる理由がないとなぁ」

「仕事あるでしょ!ほら理由見つかった!これで明日から早起きできますね」

「早く開けたってどうせ来ないよ」

「そんなことわからないじゃないですか!もーこの人は仕事がないとスイッチが入らないんだから」

「たしかに本業の俺より愛理のほうがやる気あるよな」

「感心しないでください!まったくもうっ」


愛理は怒るのをやめて事務所の掃除をし始めた。おれもなにもしないのは申し訳ないと思いそれを手伝う。

愛理はある事情でうちの事務所に手伝いに来てくれているのだ。本業は美術学校の学生だ。絵の腕は大したものでその力は何度も我が事務所に貢献している。


「ところで、千秋さんさっきどんな夢を見てたんですか?」

「え?俺なんか言ってた?」

「はい、ティラノがなんとかって…」

「あー、昔の話だよ。スゲー懐かしい友達が出てきたんだ。今は何してるかわからないけどな」

「へー、恐竜好きの友達がいたんですね」

「ん?あぁまあ、そういうことにしとくか」


その時、事務所の扉が開らき仕事が舞い込んできた。

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