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迷探偵と初めての依頼  作者: 白石リッキー
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プロローグ~事件は突然に~

朝目が覚めて私、東雲愛理(しののめあいり)が最初に感じたのは妙な胸騒ぎだった。いや、胸騒ぎがして起きたと言っても間違いはないかもしれない。


「…はあ」


自然とため息がこぼれた。でもため息ばかりついていても始まらないので私は仕事の支度をして家を出た。




悲しいことに胸騒ぎは的中してしまった。職場に入ると昨日とは違い部屋の中が空き缶等のゴミでめちゃくちゃに散らかっていた。そしてその中に青年がトイレットペーパーを持って幸せそうな顔で寝ている。


「千秋さん、起きてください」


肩を叩いて呼びかけるが反応がない。平手打ちでも食らわせてやろうか等と考えていると「右の頬でお願い…」と寝言を言い始めたので望み通り右頬に平手打ちを食らわせた。




「お早うございます千秋さん」

「おはよう。すげえ右頬痛いんだけどなんかなってない?」

「あー少し赤くなってますね。寝ぼけて叩いたんじゃないですか?」

「そうかもしれないな…あーくそ頭いてぇ」

千秋は頬を擦りながら呟いた。

「そんなことより千秋さん!!何でこんなに汚くなってるんですか!」

「ちょっと待て怒るのはまだ早い!ちゃんと理由があるんだ」

「わかりました。理由があるなら聞きますよなんですか?」


千秋は一度咳払いをして話始めた。


「ほら、おやっさんが昨日出ていっただろ?」

「だからなんなんですか?」

「3人で掃除したけどよ、ほら厄払いしてなかっただろ?」

「厄払い?」

「やっぱり俺大事だと思うんだよ」

「厄払いとこのゴミまみれの部屋何が関係あるんですか?」

「最近さ、うちに仕事来ないじゃん。だからさ」

仕事が来てないのは事実だ。でも仕事上元々仕事は少ない。

「節分も近いし豆まきしようと思ったんだよ!」

「は?」

「いやね、豆がないから買ってこようかと思ったんだけど、投げ終えたあと落ちてる豆拾うのめんどくさくてさ…」

「そこでお酒なら飲んだあと空き缶が出るからそれを投げてたと」

「その通り!我ながら頭がいい!」


豆の代わりにビールの空き缶を投げつけられてる鬼を思い浮かべて笑ってしまいそうになったが押し殺して愛理はため息をつく。

「千秋さん、浅川さんが留守の間は私たちだけでやってかなきゃならないんですよ?わかってます?」

「そんなこと言われなくても分かってるよ!」

「だったらもう少ししっかりしてください!全くもうっ」

ぶつぶつ文句をたれながら掃除を始める愛理をみて千秋もゴミを片付け始めた。




「それにしても暇だな」


千秋がソファーに寝転がりながら呟く。その向かいのソファーで愛理が新聞を読んでいる。掃除は二時間ほどで終わりその頃には愛理のイライラも治まっていた。


「平和な証拠ですよ」

「平和だと俺達と同業者が笑顔になれないな。誰かノックしてこないかな」

千秋がドアを睨みつけ、念力を飛ばすような手つきをする。

「そんなので来るわけないじゃないですか」

「いや、厄払いもしたんだ必ず来る」

「あれで払える厄なんてあっても無くても変わらないと思いますけどね」


愛理が呆れた口調で呟いた。するとその時ドアが開き女性が入ってきた。


「きたっ!」

「うそ!!」


ドアの方を見ると肩まで伸びた茶色い髪が印象的な美しい女性が立っていた。


「すいません。浅川探偵事務所ってここであってますか?」

「そうですがどうされましたか?」

「助けてください!私…殺されるかもしれない」


女性は瞳に涙を浮かべ震えた声でそう言った。

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