表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/22

目覚め、再び

目を覚ました俺が、まず感じたものは激しい頭痛だった。




「う…………ぐ……………」




頭を鎖で縛り付けられている様な激しい痛みに、絞り出したような呻き声をあげてしまう。




「…………………………」




ガンガンと痛みが響く頭を右手で支え、ゆっくりと辺りを見回す。


…………どうやら、木造の家屋の中の様だ。


そこまで俺が理解したとき、初めて自分が今ベッドに寝かされている事に気付く。




「俺は…………確か、草原にいた筈だが…………?」



「それはボクが君をここまで運んだからだよ。」



「………………ッ!?」




急に耳元で聞こえた声に驚き、そちらの方に振り向く。


そこにいたのは、綺麗な藍色の髪を持った14歳程の少女だった。

かなり彼に近づいていた様で、彼が振り向いた事でお互いの距離が文字通り、『目と鼻の先』になっている。




「…………うん♪やっぱり可愛いなぁ、君。」



「………………………」




突然すぎる出来事に俺の思考が一瞬フリーズする。

それも仕方ないだろう。気がついたら見たことのない家のベッドに寝かされていて、戸惑っている状態からのコレなのだ。


ついていける方がどうかしているだろう。




「………よく分からないが………取り敢えず離れてもらえるか?」



「ちぇっ、反応薄いなぁ…………」




名残惜しそうな声を漏らし、渋々といった様子で少女は離れた。




「ここは………………何処なんだ?」



「んーここはねぇ………私の家……かな?」




……………疑問形なのが気になるが、とにかく、俺は目の前の少女に助けられたらしい。



「ねぇねぇ、貴方の名前は?」



「………人に物を聞くときは何とやら、だ。」



「あははっ♪言い返されちゃった。」




…………さりげなく、この世界での名前の形式について聞き出そうとした分けだが。




「私はリィナ。リィナ=フェルシベールよ。」



「……成る程…………俺は、レイジ=シドウだ。」



「レイジ=シドウかぁ………シドって呼んでもいい?」




訳されて人に呼ばれるなんて、久しぶりだ。


そう言えば、ウィルディにも主と呼ばれていたから、何気に名乗るのは久方ぶりだ。


………………ん?ウィルディ………?




「あっ………」



「んー?どうしたの?」



「………俺が倒れていた辺りに、剣が落ちていなかったか?」



「……………それって、あの綺麗な狐の剣?」



「あぁ…………それで間違いない。」



「それなら…………………」




彼女がそこまでいいかけた瞬間、何かを引っ掻く様な音が聞こえ始める。

例えるなら、猫が木を引っ掻く様な……そんな音だ。



「あぁ、丁度来たみたい。今開けてあげるわね」




そう言い、リィナが部屋のドアに駆け寄り、手をかける。




「その剣なんだけどね…………貴方が重たくて剣まで持って行けなかったのよ。そしたら…………」




そこでいったん切り、ドアを開けるリィナ。

開けられたドアの先にいたのはーーーーーーー




「本物の狐になっちゃったの。」




ーーーーーー小さな尻尾が九本ある狐だった。




『主様ぁぁぁぁぁぁぁ!!大丈夫ですか!?怪我はありませんか!?』




そう叫びながら、狐がこちらに突っ込んできた。

………大きさ自体はリィナの膝辺りぐらいだから、たいして衝撃は無かったが。


それよりも注視すべきはその声、だ。今確かに『主様』と聞こえた。


と、いうことは………………




『主様ぁぁぁぁ…………寂しかったですよぉ…………』




「やっぱり………お前か、ウィルディ。」




再び聞こえた声で確信した。この狐は……………どうやら、あのウィルディの様だ。




「お前………こんな姿にもなれたのか?」



『それが…………分からないんです。貴方についていきたいって強く願ったらこうなりました。』




ふむ……………また、か。生物にまで姿を変えるとは………………………ん?


…………リィナが何やら驚いた様にこちらを見つめている。




「どうした?リィナ?」



「………会話、出来てるの………?」



「会話って、今こうしてこいつが話してるじゃないか。」



「………そうなの?狐が鳴いてる様にしか見えないんだけど………………」




…………やはり、謎が多いな。コイツ(ウィルディ)

感想、評価等よろしければお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ