青空
今回、かなり短いです。
「………………こいつは、一体なんだったんだ?」
やりきれない葛藤も少し落ち着き、頭が冷えてきた頃、俺はウィルディに聞いてみた。
『これは魔獣……………人間と違い、ルクスの力無くしては存在できない生き物です』
魔獣、か。
ルクス何て不思議な力があるくらいだ。そんな生物も存在しているんだろう。
…………いちいち驚くのもそろそろ疲れた。
『魔獣にはかなりの種類がいます。人に家畜として飼われるもの、人の村を襲うもの………………一国を、壊滅させることが出来るもの』
「国を…………?」
「はい。極僅かですが、実例もあったそうです。」
その言葉に俺は息を飲む。
この世界の技術レベルは知らないが、一国を壊滅させるなんて、災害クラスの被害じゃないか。
『まぁ、魔獣についてはまだ話すべき事がありますが、それは後程説明します…………………今は、ここから出る事が先決です。』
「出る、って普通に出口から……………ああ、そう言うことか。」
考えてみれば、俺はここに入り口を介して来た分けではなかった。故に、出口がどこにあるのか分からない、ということだ。
『私の記憶が正しければ、ここは東フィーディスのリンカ神殿の地下のはず…………………ささっとルクス使って天井ぶち抜いて出ちゃいましょう。主様』
「いやいやちょっと待て、出来る出来ないは良いとして、いいのか?神殿…………だったか?壊したら不味くないか?」
『大丈夫です、もともとこの神殿は神創器である私を守るためのものです。私が主様のモノになった以上、もうこの神殿には価値はありません。よって全く問題ありません♪』
………………まぁ……いいか、いいだろう。
「わかった……………イメージしてみよう。」
………ここの天井をぶち抜き、尚且つ俺も外に出る方法……………こんなところか。
『イメージ………形成完了!勝手に名付けるなら『浮上する鎖塊』!!』
「…………名付けろ何て言ってないぞ?」
その瞬間、俺の周りの地面から大量の鎖が飛び出す。その鎖は蚕の繭の様に俺を包み込み、上昇し始める。鎖はそのまま天井を文字通り『ぶち抜いて』どんどん上昇していく。
『いぇーーい!!たーのしーー!!』
……………こいつ、完全に素が出てるな…………。
やがて鎖は地表に飛び出し、俺を包んでいた繭が花のように開く。目に飛び込んできたのは満面の青空だった。
「何だか………久し振りに空を見た気がするな。」
そんな俺の声は、広大な空に吸い込まれていった。
あらすじにも記述していますが、土日は、もうひとつの方を更新するため、更新出来ません。
ご了承ください。
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