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出会い

「うう…………ん………ん?」




俺は…………どうなったんだ………?

確か、死んじまって、世界の主に会って………………それから……………………


…………急速に頭が冴えていくのを感じる。そうだ。

あの話が本当なら俺は………別の世界に来た、ということか…………?




「………………ここは…………」




どうやら…………俺は、かなり古い建物の中にいるらしい。いや、古いなんてレベルじゃないな。これは。


壁のあちこちが風化し、崩れかけているし、なにやら壁画のような物まで描かれている。




「……………遺跡、か?」




そう仮定し、俺は立ち上がり、辺りを見回した。

…………かなり広い空間のようだ。

壁に掛けてある松明のおかげで、はっきりとではないが、辺りを見回すことが出来た。

さて………………どうしたものか……………?




「……………うおっ!?」




目を閉じてこれからの事を考えていたら、突然、足元が青く発光し始めた。

その光はライン状に目の前の通路を真っ直ぐ伸びていき、まるで道を描くかのように足元を照らし出した。


やがて、その光は数メートル先で止まり、ある一点を照らし出した。




「あれは…………棺桶……か?」




それに近づき、注視する。

そこにあったのは、純白に塗られた長さ3メートル程の棺桶のような五角形の箱だった。

上面には九本の尾を持った狐の様な紋章が描かれていて、その少し下には半径十センチ程の穴があいている。


…………まるで、この建物全体にここに導かれたような、不思議な感覚を感じる。



そんな事を思案していた時、


ゴゴゴゴゴッッ!!!




「っ!?…………また地震か!?」




先程のように転ぶ訳にはいかない。

棺桶を背中側に、もたれるように座り、揺れに耐える。



ゴゴゴゴゴッッ!!!



…………なかなか収まらない。この世界の地震はこんなに長いものなのか?それとも何か原因が……?



…………ピシッ…………………!



…………何やら嫌な音が聞こえた気がする。先程の推察の通り、この建物はかなり古い。そんな建物がずっとこの揺れに晒されていたら………?



バキバキバキバキィッッ!!!



…………最近、嫌な予感ばかり当たっている気がする。自分が先程まで立っていた地面が口を開くようにぱっくりと割れている。要は巨大な地割れ、だ。


割れた地面に目を向けた時、だった。

俺がこのタイミングでそちらに目を向けていなければ、恐らく俺はもうこの世にいなかっただろう。


俺の目が捉えたもの、それは……………

















割れた穴から這い出てくる、六つ目の異形の化け物だった。















………………………ッッッ!!!

自らの本能を信じ、咄嗟に右に飛ぶ。



ドゴオオォォォォォォンッッ!!!



何が起きたのか分からない。

その一瞬で俺が理解する事が出来たのは、視界から化け物が消え、自分が一瞬前までいた場所の壁が吹き飛んだ事だけだった。


砂煙が段々と晴れていき、黒い、足が六本ある異形の怪物が現れる。全身は純白の甲殻に覆われており、その6つの目はこちらを睨み付けている。


………………何故だろう、常軌を逸しているモノと遭遇しているのに、動揺や焦燥といった感情が全く感じられない。 まるで、元々こんなものがいると知っているような感覚だ。




「グギギギギャアァァァァァァッッ!!!!!!」




そんな事を冷静に考えている場合じゃない!

あの化け物は今すぐにでも俺に飛び掛からんばかりの叫び声をあげている。


ッ!!来る!!


そう確信した俺は再び体を投げ出し、突っ込んでくる化け物を回避する。




「うおぁッ!?」




…………とてつもない力に体が吹き飛ぶ。どうやら奴が突っ込んできたときの衝撃をモロに受けてしまったようだ。


衝撃だけでこの威力、滅茶苦茶だ…………!!


何とか立ち上がり、壁で体を支える。




「痛っ!」




どうやら、吹き飛ばされた衝撃で右腕がイカれたようだ。ピクリとも動かない。


無理だ、あんな化け物を相手に逃げ切れるわけがない。もし上手く避けながら動けたとしても、少し先の地面は地割れを起こしている。


折角、もう一度生きるチャンスが出来たのに………!

ここまで、なのか?




「死にたくない、な」




誰に言うでもなく、そう呟いた。

俺の思考が絶望に染まりかけた時、ソレ(・・)は聞こえた。




『生きたいですか……………!?』




ソレは、その少女の声は、確かに俺の脳に響いた。

幻聴か……………?だが、もう奴からは逃げられない……………!




『こちらに…………!そこの棺の前に来てください……………!!』




棺……………?あの棺桶のことか!?




最後の力を振り絞り、さっきの棺桶の前に足を運ぶ。今は、幻聴でも何でも、すがるしかない。

…………どうやら、あの化け物は壊れた壁の巨大な破片に埋もれているようだ。チャンスは今しかない!!



『その棺に穴が開いている筈です!!そこに腕をいれてください!!』




言われるがままに唯一動く右腕を穴に入れる。




「………痛えええぇぇぇぇ!」




腕を入れた瞬間、とんでもない激痛に襲われる。

まるで、腕を食い千切られていくような痛みに俺は、叫び声をあげる。




『耐えて……ください………!!』




「グギャアァァァァァァッッ!!!」




どうやら、とうとう瓦礫から抜け出したようだ。

奴が、俺に飛び掛かってくる…………!!

ここまで、か……!


















契約(コントラクト)……………完了ッ!!吹き飛びなさいッ!」















どう、なった?

俺は恐る恐る閉じた目を開ける。

目に飛び込んできた光景は、あまりにも衝撃的だった。


そこには、先程まで俺に飛び掛かってきていた化け物が吹き飛ばされている光景があった。


俺の右手には、赤い腕輪と一降りの剣。




「ようやく…………会えましたね♪」




どこか、懐かしい声が聞こえた。

つ、疲れた……………。

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