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外へ

「グギャァァァァッ!?」




奴の体をウィルディが貫いた瞬間、化け物が断末魔の叫び声をあげた。化け物から出ている触手が枯れた植物のように萎れていき、やがて完全に消え去った。


ウィルディを引き抜き、少し距離を置く……………完全に絶命しているようだ。ピクリとも動かない。




「シドッ!!」




リィナが俺の元に駆け寄ってくる。瞳が潤んでいるのをみると、かなり心配させていた事が分かる。




「………心配させたな。すまなかった」




「ううん、大丈夫。でも……これからは、あんな無茶な事しないでね」




「……ああ」




それは保証しかねるーーーーーとは言わずに、リィナから目を逸らして返事をした。




「それにしても……この魔獣は一体……?」




そう言う彼女の視線は、化け物の死骸に注がれている。さっきの刺し傷から血が流れ出していて、中々にグロテスクな物なんだが、あまりそこを気にしている様子はなかった。


魔獣、か。そう言えばそんな名称だったな。




「俺はよく知らないんだが………こいつは珍しいタイプなのか?」




「……たぶんね。師匠の本にも載ってなかったと思うし…………」




リィナは真剣な眼差しで死骸を見つめている。『師匠』には、その手の事も教わっていたようだ。




「……結局、君の師匠の手掛かりになりそうなものは 無かったな」




無意識のうちに、俺はポツリと呟いていた。リィナはこちらを見上げ、俺の目をじっと見つめた。




「……大丈夫。収穫はあったよ。中身が持ち去られていても、これが何なのかが解ってしまえば少しは」




そう言って、彼女は笑った。笑って見せた。大切な人を見つけ出すための道標が見つからなくても。


……………大切な…………人………?




「シド、大丈夫?」




「あ、ああ。すまない。少しボーッとしていただけだ。それで?この後はどうする?」




「取り敢えず、ここから出よっか。この棺桶について調べたい事もあるしね」




そうか、とだけ返事をし、外に出るために、再びもと来た道に歩を進め………いや、その前にやっておく事があるか。




「リィナ、魔獣を調べてくれるような施設はないか?こいつ(化け物)がどうしても気になるんだが…………」




魔獣を指差してリィナに言った。前回に遭遇した時は、何も考えず死体を放置してきてしまったからな。魔獣について書かれた書物があると言うことは、それらを調べる専門的な機関もあるのだろう。




「それなら、街にある【レギオン】の支部に持っていけば良いと思うよ……というか、知らないの?」




「……田舎育ちなんだ。すまないな」




「あ、ごめんっ、只ちょっと意外だっただけ」




何とか誤魔化す事ができた。危うく、怪しまれる所だった。……それにしても、『意外』?




「何で意外だったんだ?」




「シド、凄くかしこまった話し方をしてるからね。」




頬をポリポリとかいて、彼女は可愛らしく笑いながらそう言った。










































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