戦闘開始
「……シド、教えて。この棺桶は……一体何なの?」
リィナが不安げな疑問の声を漏らした。……いや、『不安げ』というのは少し違うのかもしれないな。
何はともあれ、知っている事を話してやった方が良いだろう。
「……俺にもよく分からない。ただ、これと似たような棺桶から、ウィルディが出てきたんだ。」
「狐さん……じゃなくて、その剣が?」
「ああ。話すと長くなるがーーーー」
そこまで言いかけた時だった。いよいよ神創器の事を言おうとした瞬間ーーーーー
『主様ぁッ!!避けてくださいッ!!』
「ひゃぅっ!?」
咄嗟にリィナを突き飛ばし、体を捻って地面を蹴り、バク転気味に飛ぶ。ウィルディとの契約のお陰で身体能力が底上げされているおかげで、そんな芸当も当然のようにこなせる。
俺が先程までいた場所を……鋭い、巨大な触手のような何かが凪ぎ払っていた。
「……今度はなんだ?突進馬鹿、力任せの次は触手持ちか?」
相変わらずこの世界には問答無用で襲いかかってくるやつらが多い。
今はどうでもいい事を思案しながら、地面に着地し、触手の伸びてきた方向を横目で睨む。
「……………」
ーーー似ていた。あの遺跡の時の奴に。ただ、違う点を挙げるならば、まず、その背中に違いがある。
蜘蛛のような体であることに変化はないが、背中から何本もの触手が飛び出しており、それぞれが複雑に蠢いている。
その先端はどれも鋭く尖っており、鋭利な刃物の様な鈍い輝きを放っている。
「な、何?……魔獣、なの?でも、あんなの……」
「……以前、襲われたことがある。タイプは違うようだが………獰猛なのに変わりは無いだろう………ウィルディッ!!」
『はいっ!!主様っ!!』
倒れたリィナを起こし、剣に戻ったウィルディを握りしめ、正面に構える。
「悠長に作戦を練っている暇はない…援護を頼む」
「えっ?ちょ、ちょっと……」
リィナの言葉を耳に流しながら、化物に突っ込む。
奴の触手が八本程スルリと伸び、俺を貫かんと一斉に突っ込んでくる。
「ハァッ!!」
三本を剣でいなし、切り落とす。それを好機とばかりに残りの五本が突っ込んでくる。
「ウィルディッ!鎖で受け止めるぞッ!!」
『了解ですっ!』
ウィルディを握っている手とは逆の左手を前に突きだし、一気に化物との間合いを詰める。触手が目の前に迫るーーーーーーー
『行きますっ!さまよう鎖ッ!!』
ーーーが、その触手は俺には届かず、左腕から飛び出した鎖が全てを受け止め、弾き返した。
「ーーーーもらったッ!!」
ウィルディを奴の胸部目指して振り下ろす。が、その切っ先が奴に当たることは無かった。
背中からさらに伸びた触手が、それを阻止していた。
「シドッ!!」
当然、化物はその隙を見逃さず、残りの触手で俺を刺し殺さんと迫るーーーーー!
なんて微妙な終わり方だ………orz
感想、評価等ございましたら、よろしくお願いします。m(__)m