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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

もう一人の俺は異常者だ。

あなたの中には誰がいますか?

 今日もあいつの声がする。


 ほら、壊せよ。犯せよ。踏みにじれよ。蹂躙しろよ。殺せよ。憎めよ。


 ああ、聞こえない、なーにも聞こえない。

 ヘッドホンで耳を塞ぎ、追加で音楽を流す。


 チッ、このクズが。


 罵られてしまった。でもこれでいい。あいつが一時的でも消えてくれる。


 今日は嫌な事が起きた。

 それはクラスのいじめっ子に殴られた事。

 そのときのあいつの声は酷かった。

 殴られた痛みを堪えるより、きついなんてほんと勘弁だ。


 殴れ、殴り返せ、殴殺しろ。クズ虫を殴って何が悪い。殴られたら殴り返せ、蹴られたら蹴り返せ。


 暴力は嫌いだ。消えてくれ。

 すると何も聞こえなくなった。

 ああ、我慢ってのは精神的に疲れるだけだと思ったのに身体的にも疲れるのか。

 いつもの一人カラオケ。

 いつもに増して大声で歌う。


「ただいま」

 無人の家に響く、嫌いな自分の声。

 なんでこんな声を持って産まれてきたんだろう。


 翌日。

「ほら、一万くれよ」

 手を俺に差し出し一万円を要求するいじめっ子たち。

 どのツラもクズでゲスで最低野郎なツラ。見てるだけでも吐き気がする。


 そうだ。憎め、罵れ、手を出せ、殴れ、足を出せ、殴れ、殴殺しろ、殴殺しろ、殴殺しろ。


 いつにも増して酷い。頭がガンガンする。辞めてほしいものだ。

 俺が反応を示さないことにイラついたのか、いじめっ子たちが殴りかかってくる。痛い、痛い。

 それでも手を出さない。

 出してしまったら、いじめっ子たちが死んでしまうから。

 だって、俺の中にはもう一人の俺がいてそいつは殺人衝動の破壊衝動の塊だから。

 俺が俺の声が嫌いなのは、そいつが俺の顔で俺の声で話しかけてくるから。

 ああ、また傷が増える。

 いつなんだろうか、俺があいつから解放される日は。

 それまでは我慢しないとな。

 はあ、全くやれやれだ。


あなたの中には何人の自分がいますか?

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