初投稿です。のんびり書いていきたと思っております。お付き合いいただければ幸いです。
目が覚める。
寝不足の所為か意識の覚醒と共に寝起き特有の気怠さを感じる。
うつぶせで寝ていた為、顔がむくんでおり目が薄くしか開けられない。
「おはようございます。心地よいお目覚めとは言えないようですね」
物言いは無愛想ではあるが、表情には微笑が貼り付けられている。
ぼんやりとした視界に映るのはモノトーンで統一された服に身を包んだ女性。
「おはよう、サリアナ。今日もよろしく頼むよ」
定型の挨拶を済ませてから、両腕を伸ばし体を支えるようにして起き上がる。
このまま惰眠で時間を過ごしたいが隣に佇む女性はそんなことは許可してくれない。
「お目覚めになられたのなら、早くお着替えください」
両腕に抱かれているのは今日の着替えだ。
この世界に入ってから目の前に立つサリアナが俺の世話係みたいなことをしてくれている。
この世界に触れるまで自分に世話係ができるとは夢にも思っていなかったが、今では慣れて生活の一部になり違和感を感じることが少なくなってきた。
ベットから出て、サリアナから着替えを受け取る。
「いつもみたいに見回りで良かったっけ?」
「はい。ただ予定が予定通りに進むと思わない方がよろしいかと」
「うん、少しは慣れたから大丈夫。」
「そうですね。最近は私が御迎えに行かなくても良いようですから」
会話をしながら着替えを済ませる。
サリアナの用意してくれる着替えはシャツにジーンズという組み合わせで、誰と顔を会わせても相手に気を使うことがない無難な雰囲気を纏わしてくれる。
正直、お洒落なセンスが自分にあるとは思っていないので着る服を選んでくれる存在はありがたい。少なくともサリアナには違和感を持たれることが無いということであるから。
「よし、着替え終わったし行ってくるよ」
「はい、いってらっしゃいませ。お気をつけて」
サリアナは頭を下げる。無駄の無い所作は美しさを感じさせてくれる。慎ましく整えられていた前髪が重力に支配されて下を向く。その姿を名残惜しく思いながらも靴を履き、扉の取っ手に手をかける。
扉を開けて目に飛び込んできた景色は暗闇を背景にして流れ星で満たされていた。