表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/25

#001 前期・総集編 ②

これは本編側に投稿していたものとまったく同じものです


【???】

「あけましておめでとうございます。一部の司会を務めましたアヤコが急病の為、二部の司会を務めますエリザベス領・領主リディア=アルテミス=エレンシアです」


【???】

「アシスタントを務めます御堂学園・生徒会長の御堂更紗です。一部で同役柄を演じましたイヌさんは『疲れた』と一言残し、逃げました」


【エリス】

「生徒役は引き続き、エリシアママンです♪」


【更紗】

「二部は主に本編で語られなかったり、説明がなかったりした事柄の解説を行います。説明は嫌われるという事を理解しながらも、またやってしまう作者は馬鹿ですか?」


 更紗。幾らなんでもぶっちゃけ過ぎですよ?

 これまでにヒロインらしい事をしていないからといって、言いすぎです。君の本番は夏と帰ってからですよ!


【リディア】

「まあまあ、更紗さん。作者も新年早々の題名が『愛の無い家』では不味かろうと危惧した結果ですから。さて、まずは……」


 お便りを取り出そうとするリディアに、エリスさんが、待った! をかけました。


【エリス】

「リディアちゃん質問です。どうして料理とか技術とかが銀月の大陸内で広まらないの? 余所の国にも、コー君の世界に負けない技術や似たような料理も有るんでしょう?」


【リディア】

「一部で聞いてきた奴ですね。まずは、技術の方から説明しましょう。

 確かに他国も異世界からの召喚を行い、人間を呼び出していますので、我が国には無い技術力があることでしょう。

 では、その技術を教えてくれない・持ち込まない理由は何故かと申しますと魔王戦争前に行った侵略戦争がネックになっております。

 当時のエレンシア帝国が各地を占領した為に、その土地に住む方々からすれば賠償は済んでいるとはいえ、心の傷は塞がっていなかったり、技術提供や我が国には無い技術を示すことで、再び侵攻されるのではないか? という疑心暗鬼になっているのです。

 また提示する事で自国の優位性が無くなる事も上げられます。ただでさえ、食料をエレンシアから頼っているので、工業力も取られては属国も同じです。

 もう一つの理由を挙げますと、エレンシアの外交は最近まで狭き門でした。

 約一〇〇年前に全ての国家賠償が済み、いよいよ国交回復に乗り出そうとした時に、隣国が食料を求めて攻めてきました」


 攻めてきたのは西側にある隣国、フロイトン王国です。

 当時、彼の国では疫病により国力低下となっていました。生産しても足りない分を何処からか調達しないといけませんでしたが、国力低下中の為、食料を買うお金すらなかったのです。

 そこで起死回生の良策として、エレンシア王国に攻め入りました。かつての盟主なれど長年、戦争放棄をした国であり、兵力は皆無だから勝てるはずだ、と。


【更紗】

「王国も虚を突かれましたが、『彼の地に住む同胞を救う』という理由で龍人族が介入し、戦争はエレンシア側があっさり勝ちました。しかも、相手の王都まで攻めまして、相手国は無条件降伏を選びました。その結果、フロイトン王国はエレンシア王国の属国となり支配下に置かれています。

 ちなみに、副都レオーネはその時に建設された最前線基地を、街として使っているそうです」


 冷めた眼でカンペに書かれている事を読み続ける更紗。

 なんか、テンション上がるネタないかなー。


【リディア】

「その戦争で外交の一部が閉じました。当時の世論としまして『正常化は早し』がありまして、国王陛下……私の曽々祖父様もそれを推進しました。しかし、周辺国や大和、他大陸との貿易は続行したそうです。

 そろそろ国交正常化しようかな~、と考えていた頃に、今度は東国のフェイブル自由国(当時は王国です)が攻めてきましたので、再びお蔵入り。

 我が国と――周辺国を除いた遠方の――他国との、国交平常化交渉を行い始めたのは現国王(おとうさま)になってから。つまり、ここ一五・六年ぐらいの事になります」


【エリス】

「ふ~ん。技術交流は最近なんだー」


【リディア】

「情報は極秘に集めてましたけどね。

 あとは製造独占法ですね。我が国では製造特許を取りますと五十年間は独占――それでも二十年ぐらいで破棄します。あと特許使用料を払えば複製できます――しますし、お金を払えば継続も可能です。この法が、国内における技術発展を妨げている悪法になっている可能性も有ります。最近は十年に短縮、もしくは使用料の引き下げを検討中です。

 この辺りは光学校で習うことなのですが……。どうしてお母様はご存じないのですか? 一般常識ですよ」


【エリス】

「ごめんねぇ~。習う前に連れ出されて王城で過ごしていたから、その辺りは習ってないや~」


 後ろ手で頭を掻く仕草をするエリスさん。

 そういえば、そんな事を言ってましたね。一二歳の卒業前に嫁いだとか。


【リディア】

「さて食事の方ですが、近年まで我が国での調理法は『焼く・煮る(一部で揚げる)』だけでした。多種多様の野菜に香辛料や果物の栽培。魚や肉が豊富に獲れる豊かな土地もありまして、その二つの調理法だけで済んでいたのです」


 まあ、トンカツやとハンバーグなんて奴は、少量の肉で伸ばして食べたり、捨てるような細切れ肉を使ったのが原点だもんな。大きなステーキ肉を焼いた物に比べると邪道感がハンパないし。


【リディア】

「保存方法も、魔法工学史の初期から『冷暗室の魔法』や『保存袋』の開発に成功した為に、薫製や干物技術が廃れていき、一部でしか残っていません」


【エリス】

「甘い御菓子も、果物とか砂糖大根が採れるから、それほど発展しかったらしいしね。パンケーキやスコーンも三十年ぐらいの歴史で、異世界からの輸入だもん」


【更紗】

「そうなのですか?」


 そうなの? 教えて偉い人。


【リディア】

「お母様の言うとおりです。皆さんも知っているとおり、我が国が世界に誇る“最終兵器・豊穣の女神”が居られますので……

 女神様のお陰もあり、我が国(南部と北部の一部)は毎年豊作です。品種改良を施さなくても、大地から多くの栄養を取り育つので、他国に比べれば栄養価は高いです。

 それらが出回っているので、果物がデザートになっています。安いですしね」


【更紗】

資料(プロット)ではハバネロ卿がその先頭を立っている、と書いてますね。あのご老人は“博士”の称号を持っているそうです」


 ハバネロなのに、特産物は甘い果実。

 送られてきた果実も糖度が軒並み高かったしな。


【更紗】

「採れる食材が美味しいので、それほど手を入れる必要がなかったと。

 あとは種族の味覚も関係があるでしょうね。カフェレストラン……苦戦中ですし」


 あれ? そこそこ客が入っていたような……


【更紗】

「黒字採算が取れているのはパンの売り上げぐらいです。

 昼食のランチや、肝心のお茶やデザートの売り上げはトントンです。まあ、デザートは戦略プランが有っての事なので悲観はしてませんが、ランチが……

 どうも、味覚の差異が細かく分かれていますので」


【リディア】

「それは多民族国家であり、異種間交際が進んだ国家の弊害です。亜人・獣人・普人族と大きく分けて三種類の人間がいますが、その先も多くの枝分かれが有ります。当然では有りますが、それらの種族では食生活が大きく違いますし、同じ種族でも住んでいる土地では味付けの差異があります

 シエナ達・エルフ一つとりましても、脂が苦手という共通項があっても、好む味は多種多様です」


 シエナさん曰く、エルフの好む共通の味は大麻らしいです。食べるのは粉末ではなく麻実(種子)なんですけどね。

 日本だと七味唐辛子(芥子の実も入ってます)に含まれていますね。


【エリス】

「だよね~。お母さんは副都辺りの村出身だけどさ。特産の香辛料を使った料理が多かったけど、代わりに塩味が少ないもん。

 嫁いだ頃の、王都の薄味志向には辟易したもんねぇ~」


【リディア】

「王都はそれこそ大陸中の人間が集まってきますので、万国共通の薄塩味で統一されています。王都周辺の町や村出身だと薄味で育ってきますから、大味を好む獣人でも薄味傾向になります」


【エリス】

「ふ~ん。じゃあさ、“エレンシア料理”と言えば、何味になるの?」


【リディア】

「ありません。『エレンシア王国○○地方風料理』と個別に宣言しないと恥をかきますので、お母様も注意してくださいね。お店に入る目安としましては、店前にその地方の領旗が飾られているので、それを参考にしてください。

 因みに、エリザベス領・領旗は『聖女の横顔』です。モデルは私ではなく、聖女エリザベス様ですから間違えないように」


 はーい、と元気良く返事をするエリスさん。

 そう言えば、更紗のレストランは旗を掲げていなかったよなぁ……


【更紗】

「大変、為になるお話です。確かに日本料理といえば、京風料理と世間で認識されてますが、沖縄料理や北海道料理も日本料理の枠に入りますからね。

 お父様が外国の方の接待で失敗したのも、それが理由でした」


 そういえば、イタリア料理だとナポリ風やフィレンツェ風だのと、観月さんと揉めた記憶があるな。イタリア国旗以外にも州旗? が飾っている店があったよなー。


【リディア】

「国外料理は細々と入ってきてますが、大使館での会食レベルです。そういう訳でして、料理もなかなか広まりません。ましてや、魔物や山賊・海賊が蔓延ってはいませんが、確実に存在はしています。

 しかし、広まらないという事は地方色を保つ為にも、良いことなのでしょうね」


【更紗】

「そうですね。日本ぐらいでしょうか? 都会に地方料理のお店がたくさん存在するのは……」


 いや、探せばあると思うよ? ……たぶん。

 それでも各地の特産物を一極に集める事が好きなのは日本だけだろうね。ラーメンやらうどんやら。


【エリス】

「ちなみに、王都……というか、王城では旦那様が作るスイーツが話題なんだよ!」


【リディア・更紗】

「「え!?」」


【リディア】

「お父様が作るスイーツですか? ……剣で千切りキャベツは作れても、包丁では無理なお姉さまソックリのお父様がですか? 大臣には怒れても、お母様達には怒れないお父様がですか?」


 ……剣や槍の達人はそういう傾向なのか?

 ルツィアとセーラってそこまでソックリなのか?


【エリス】

「なんかねぇ~、暗号めいたノートがいっっっつも、仕事机の上に置かれていてね、何度も――既にボロボロ状態――読み返しているの。王族専用の中庭に個人用の厨房を作らせては、たまの休みの日や休憩時間になると其処に篭もっていてね~。上手くいった時だけ出てくるデザートが美味しくってさ、姉さんもお母さんも吃驚だよ♪

 あれは魔法のノートだね♪ 国の重要指定書籍だよ!」


【更紗】

「そう言えば……白鷺さんが王様に何かあげた、と仰られてましたね。たぶん、レシピノートか何かだったのでしょう」


 俺も徹夜した甲斐がありました。


【エリス】

「今では毎週の光曜日が楽しみなの! 最近は旦那様も引退したら店を開くって、言っていてね~♪ 姉さんとお母さんで看板娘をやろうか! って、言っているんだ……って、リディアちゃん? どうしたの怖い顔して」


 エリスさんが恐る恐る、冷気が漂う方向――リディアの顔を見てます。


【リディア】

「……何時の間に仲直りしたのですか? お父様とお母様は……」


 笑顔の表情で問いかけるリディア。……なんか怒ってるね。


【エリス】

「……という訳で、前半の部は終了でーす♪ 次からは質問お答えコーナーになるから、正座して待っててね♪ ……よし! コー君!」


 はい、何ですか? あと逃げましたね。


【エリス】

「梅昆布茶とみたらし団子四本ねー」


【リディア】

「私はプリンアラモードDXと白茶を」


【更紗】

「私は……白玉餡蜜と緑茶をお願いします」


 お嬢さんたち、注文は統一してくれませんかね?


【リディア】

「……さてお母様、セーラ姉様を交えて家族会議です」


【エリス】

「……お、お手柔らかにお願いします……」


 はぁ~、また代理を探すのかよ。

 はい一旦CMに入りま~す。




        ★  ★  ★




【???】

「家族会議中のリディア様に急遽代役を任されちゃったよ、ネコ耳・ちっぱい・尻尾無しでお馴染み、双子メイドの姉・シェリーでぇ~~すっ!」


【???】

「お店で問題が発生し、そちらに向かわれたサラサ様に代わり、ネコ耳……お、おっぱい……尻尾無しでお、お馴染みの双子メイドの妹……ジュリーです……」


 台詞が恥ずかしいのか、照れたり、口ごもりながらも必死に話すジュリーさん。


【???】

「現在、リディア様とセーラ様に問い詰められているエリシア様に代わり、エルフ! 男装の麗人! 農業貴族! の三役を一人でこなす、家令のグレイス=クライトンだ」


 エリスさんは渋々、別の部屋に連れて行かれました。……梅昆布茶とみたらし団子をしっかりと持って。


 グレイス嬢は暇そうだった(本当は忙しい)ので、代役を頼んだところ、OKを貰った(リディアからの命令で、渋々)ので登場してもらいました。


 というか、本物のヅカ様みたいだよなぁ~。表情に照れが無くて堂々としているし。


【シェリー】

「ここは読者からの質問に答えるコーナーなんだな」


【ジュリー】

「結構な数のメッセージが来ましたね。作者は『一件も来なかったらどうしよう?』とダムのサーバー室の椅子に座りながら寒さとは違う意味で、ガタガタ震えていましたからね」


【グレイス】

「似たような質問は一つで答える。あと、ネタバレは答えないので、『俺の質問は?』と言わない様にしろ」


【シェリー】

「まあ、そんなのはどうでも良いんだけどね! さて、ちゃきちゃき進めていこっか! ジュリー、まず最初のお便りから読んで!」


【ジュリー】

「え~っと……コウ様が冬に作っていた懐中電灯や七輪はあの後どうなったのですか? 売りに出されているのでしょうか?」


【グレイス】

「ヘッドライトは、シラサギが居なくなってからルツィア殿が脱走しようとした際に頭に付けていたのだが。侍従長(アヤコ)殿に捕まえられた時に落とし、それを侍従隊が回収し、極秘に量産中だ」


 へ? 俺、そんな話聞いてませんよ?


【シェリー】

「持ち主が現れないものは領主様のもの! ……落し物は拾った者の持ち物。え、ネコババだろう? ちょっと……そう! ちょっと借りているだけです。次いこ、次!」


 まあ、本人が気づいていないんだから良いか。

(注:この総集編は本編の人物とは関係ありません。そっくりさんが出演しています)


【ジュリー】

「コウ様は某神様と会えるのですか? ……秋(五章)の出演者欄に載ってますね。今の予定なら会えます」


【グレイス】

「続いて……シラサギがどんな包丁を使っているかだと?」


【シェリー】

「持ってきたのは万能包丁一本ですが、こちらでは使い分けていました。ヴィクトール様から『聖なるお玉』を貰ってからは、それ一本で通しています」


【シェリー】

「あのお玉は凄いよねぇ~、形は変わるし、スッパスッパ切れるし……コウさん、売ってくれないかな」


 いえ、あれは俺専用なので、買っても使いこなせないよ?

 死んだら返す約束してるし……


【ジュリー】

「湖に落ちた鍛冶屋の馬鹿弟子はその内、また出てくるみたいね。なんか、とある女性に対して疫病神を連れてくる役目を担っているそうよ」


 疫病神? 誰のだろうね~。ルツィアは三章で終ったから……


【シェリー】

「ドブロクは家庭内なら合法酒じゃ……って、作品に関係ないし、うちらには分からないよ! コウさん、答えて!」


 え~、違反です。酒税上、無免許で材料になる米や麦・トウモロコシを発酵し、アルコールを作るのは違反になりますので注意してください。

 まあ、家庭内と言う事で摘発は難しいのですが、違法には変わりありません。梅酒のような、既に出来上がっているアルコール(焼酎等)に味を足す行為は認められてますが、ワインの材料になるブドウでは禁止されています。


 同じく、お酒を混ぜて作るカクテルですが、その場で飲むのは構いませんが、作り置きは法令違反になります。


 はい、終わり。次ぎ行って、次!


【ジュリー】

「コウ様は海でどんな海パンを穿くのですか? ブーメラン? トランクス? さあ、どっちっ!?」


 ジュリーさん? どうして期待する目でこちらを見るのですか?


【グレイス】

「用意しているのはトランクスタイプだ。あと、普段はブリーフ派だな。フィット感と昔、トランクスを穿いて寝ていた際にムカデが入ってきて噛まれてからは、ピッチリ閉まるブリーフらしい」


 なぜ、あんたが答えてるんだよ!

 あと、それを知ってるのは更紗と観月さんだけだぞ!


【グレイス】

「サラサ殿の風呂場における黒歴史を吐けだと? ふん、好き者め。……それは――『コンッ!』……な、何処から飛んできたのだ、この万年筆は?」


 レストランのお店の方角からだね。


【シェリー】

「猫耳姉妹はヒロインに成り上がれる要素はまだあるのか?

 ――えー、私は……」


 あのヒロインズに割ってはいる勇気が……、と言いかけたシェリーさんの声を、ジュリーさんが遮りました。


【ジュリー】

「あります! 必ずありますっ! ネコ耳は永久に不滅です! 年を考えずに乙女全開の腹黒キツネにはぜぇっっっったいに負けませんっ!」


【シェリー・グレイス】

「「…………」」


 ……。

 …………。

 ……死んじゃうよ、ジュリーさん?


【ジュリー】

「……あ! こ、コホン……ん、んんっ! 私の願望では有ります!」


 そ、そう。頑張ってね……(そして死なないでね)。


【シェリー】

「ドラゴンの妻は出てきますか?

 ――ごめんなさい、出て来ません。エリザ湖に棲む龍神様と怪獣大決戦を行うのが目に見えているからだそうです」


【グレイス】

「やれやれ……それでは街が滅びてしまうだろうに」


 そろそろ休憩を入れる?


【シェリー】

「そうね。入れましょうか」


【ジュリー】

「はい。この間に頭を冷やしてきます」


【グレイス】

「では、私は書類の処理を……」


 グレイス嬢はワーカーホリック状態だなー。

 さて、まだまだ質問は続きます。




        ★  ★  ★




【アヤコ】

「帰ってきました。司会のアヤコです」


【イヌ】

「シラサギ様が居ないのは寂しいので、戻ってきたイヌです」


【エリス】

「家族会議を抜け出してきたエリスです。ちょっと、コー君。あとでセーラちゃんとリディアちゃんに言っといて!」


 最初のメンバーに戻りましたね。

 ところで、エリスさん? 何を言うんですか?


【エリス】

「『親は大切にしろ!』、だよ」


 ……親に捨てられたので、その気持ちが湧きません。他の方を当たってください。


【エリス】

「あの二人が素直に言う事を聞くのはコー君だけなんだよ? 頼んだからね!」


 考えておきます。

 では、アヤコさん。司会をヨロシク。


【アヤコ】

「はいはい。まず最初の質問はと言うと、

 『銀貨三枚程度で買える半四次元鞄、どのくらい便利でどのくらい庶民に普及してるんですか?』……ですか」


【イヌ】

「微妙?」


【アヤコ】

「イヌ……それでは分かりません。そうですねー、まず便利さですがイヌの言う通り……“微妙”です。

 白鷺様の鞄とは違い、収納量の上限はあります。だいたい、スーパーの中位の袋で二~四倍ぐらいです。そして、質量は入れた物と同等ですので一〇〇キロの荷物を入れたら、一〇〇キロの重さになります。手に食い込んじゃいますね」


【イヌ】

「ん、外からの衝撃は中身に伝わるし、重いものを上に置けば下は潰れるし……。

 元は魔法だから、精霊鉱石の魔力量が切れたら使えなくなるし」


【エリス】

「値段は銀貨一枚ぐらいのもので、使用可能期間が半月前後だよね? お金を出せばその分、期間が増えるけどね。一般の人は旅行に行く時ぐらいで、平時も使うのは貿易商人ぐらいだったよね?」


【アヤコ】

「そうですね。あと倉庫にも使われますが、入れっぱなしで魔力が切れた際に起こる大惨事もあり、普及率は低いです。大きな鞄を作っても、持てる人間が居なければ、馬車という手段も荷物が重ければ荷台が潰れますし、翼竜は重たいものを持って飛べませんし……流通革命は程遠いです。

 白鷺様の持つ鞄が元なのですが、劣化も、劣化。最低の劣化コピーです」


 あ、俺の鞄が元なの? まあ、先代の所有者が勇者なんだから、おかしくも無いか。


【アヤコ】

「じゃあ、瓶はなんなんだ? と聞かれましたら、製造方法が根本的に違うということです。袋は袋に魔法陣と鉱石を縫いこんで作成します。

 対して瓶は、大きな闇属性の魔法鉱石そのものを削りだして作りますので、魔導具としてのレベルが違いすぎますね」


【エリス】

「じゃあ、瓶を大きくしたら良いんじゃないの?」


【イヌ】

「そこまで大きな魔法鉱石が採れない。あとは瓶の製造方法を知っているのが、ドワーフの一部と龍人の一部の職人のみ。それを格安で流通させているので、知りたがる人がいない」


【エリス】

「分かったかな?」


 さあ? 続いて質問はイヌさんが答えてください。


【イヌ】

「『属性は生前からですか? 死後、犬耳が付いていないのは何故?』

 ……属性は死ぬ前から風なのです。あと闇属性も、心臓のお陰で五割程度の力で使えてました。今も闇が使えるかは分かりません。

 姿は精霊なので、耳ぐらい自由に変えれます……胸や尻以外は」


 そういえば、「犬耳が無くて寂しい」と言ったら、すぐに生えたよね。

 軽い変身? なら出来るみたい……。オッパイは変わらなかったけどさ……


【アヤコ】

「次は……『ルツィア・セディアは奴隷から解放されたんですか?』

 されてません。ルツィア様は外すチャンスが有っても外しませんでした。

 セディア様は外すと捨てられるかも? という恐怖があり、外してません」


 外したぐらいで捨てないのに……


【エリス】

「怖いんだよ。女性は時に好きな男性から、束縛を望むんだからね」


 ……勉強になります。


【エリス】

「次は……王国にとって召喚者ってどういう認識なのか?

 う~ん、当たり外れの大きい年末ジャンボ?」


【アヤコ】

「例えは微妙ですが近いです。

 白鷺様よりも未来だったり、宇宙世紀の人間だったり、ナ○ック星人みたいな人が呼び出されたりしますが、必ずしも有益とは限りません。

 『呼び出しておいて、それはなんだ!?』と罵られても、我々に再現できない技術を提供されても困るだけなのです。

 古都にあります『禁書図書館』には、今の時代に不要でも、未来への知識として書き残された本が保管されています」


【イヌ】

「最近は儀式が少なかったのです。白鷺様たちの召喚は、王国では……百二十年ぶりでしょうか?」


【アヤコ】

「それぐらいですね。召喚には“銀月の女神”の力を借りなければいけませんので、彼女の力が無ければ儀式の成功はありえません」


【エリス】

「ふ~ん。じゃあ、こっちの『リディア達から距離を取らないのは何故?』だってさ。コー君なんで?」


 ……距離を取って得るメリットと、損のデメリットを秤にかけてみると、逃げる方が不安だからです。

 リディア達から逃げると、追っかけてくるでしょう?


【アヤコ・イヌ】

「「そうですね」」


【アヤコ】

「帰すことは約束なので守りましょう。仮に、その間に心変わりをした場合は、白鷺様の方が悪いのです」


 だってさ。だから逃げませんよ。

 逃亡生活は神経を使うし、国家相手と喧嘩をしたくない。あとは、俺次第なのです。


【アヤコ】

「あとは……『勇者や池山の生活はどうなってるんだ?』や『勇者はなにやってんの?』『主人公はなぜ帰る気満々なの? ヘタレ? キモッ』の質問が多いですね」


 なんで、みんな気にするんだろうね~

 いいじゃん、モブキャラなんだし。その内、報告がくるよ。


 俺のことはほっとけ。自分で捨ててもいないのに故郷に帰りたいと思う気持ちは、当たり前の気持ちだよ。


 勇者・秋山の監視者はイヌさんの同僚で……


【イヌ】

「コードネームは“タヌキ”です。

 こっちは『アヤコさんに春は来るの?』『アヤコさんとエロイ事するの?』とキツネ関係が多いです」


【エリス】

「アヤちゃん、人気があるんだね~」


【アヤコ】

「未来を知りたくないので、教えません! わたくしの春は自分の力で掴みますわっ!」


 実は……ごにょごにょ……ごにょごにょ……

 イヌさんとエリスさんに予想・予定を耳打ちをした。


【イヌ】

「……ケダモノ!」


【エリス】

「……アヤちゃん……セーラちゃんの分は残してね?」


【アヤコ】

「な、何を聞いたのか気になりますが、聞きませんし、言わせません!」


【エリス】

「質問は終わりだね。他にもあったけど、ネタバレが多いから……」


【イヌ】

「これでお終い。次は……」


 日曜か、週明けの月曜に更新する予定です。

 『第四章・夏編・愛の無い家』でお会いしましょう!


【アヤコ】

「と、ところで……エッチぃ事をするのですか?」


【エリス】

「外、とろとろの……中、ドバドバだね♪」


 言い方が卑猥です、エリスさん。もっとヌルイ書き方ですよ、きっと。


【アヤコ】

「あ、相手は……だ、だれをデスか?」


 じゃあ、これで終わりです。

 See you again!!


【アヤコ】

「ちょっ! 白鷺様ぁぁぁぁっ! ……行っちゃった。お相手はわたくしですよねぇーーーー!」


 秘密です♪




        ★  ★  ★




【つばさ】

「え~~、一人寂しく、残った質問を答えます。

 まず最初の奴は~『お店の衣装はどうなってるんですか? やっぱりコスプレ?』

 ……ふ、普通のメイド服です。……たぶん」


 詳しくは本編でね。


【つばさ】

「次は『そっちの世界の普段着の服はどんなのですか?』……服の質問が多いッスねぇー。

 えー、素材は違いますが、日本や海外で売っている奴と同じです。まあ、渋谷最先端と言う奴は売ってないですね。おとなしめが多いです。でも素材は一級品が多いです。

 王城は正礼服以外はお断りだそうです。間違って? 夜にモーニングを着て登城すると追い出されます。

 そう言えば、日本の内閣写真時は夜でもモーニングなんですけど、止めないんですかね?」


【つばさ】

「『なんで主人公と仲良くなったの? 最初はアレだけ敵視(軽蔑?)していたのに……』

 あ~……それはですね……学園で流れていた先輩の噂を鵜呑みにしていたので……。会長や先輩本人がその噂を否定しなかったのも有ったので、つい……。まあ、誤解は解けたので、最近は普通の先輩・後輩関係です」


 ふーん。ヒロインから外れているから良いんじゃないの?


【つばさ】

「『更紗やつばさは、喫茶店が始まる前は何して過ごしていたの?』

 あたしの場合は、時系列にするとこんな感じです。


 〇六:〇〇 起床。のちに、軽くランニング

 〇七:〇〇 朝食。のちに、軽く運動

 〇九:〇〇 朝の勉強を『一二:〇〇』まで

 一二:〇〇 昼食。

 一三:〇〇 侍従隊にある『白薔薇の会』又は『黒薔薇の会』にお邪魔。

 一五:〇〇 午後の運動。もしくはリオちゃんと遊ぶ。

 一八:三〇 晩御飯。

 一九:〇〇 会長達と勉強。そしてお風呂。

 二二:〇〇 睡眠。


 と、まあこんな感じです。お店が始まってからは、

 〇八:00~一六:〇〇までお店で働いたあとで、勉強をしていますね。

 会長は、午前はあたしと一緒。午後は独自行動してますが、リディアさんやグレイスさんのお手伝いをしている事が多いです」


 健康的な一日の過ごし方ね。……は、徹夜が多いわよ。


【つばさ】

「知らないですよ、そんな事。徹夜すると会長が怒るから無理です。

 んじゃ、次の質問は……は!? 『精霊鉱石と普通の鉱石って違いがあるの?』……そんなの知らないですよ!」


【通りすがりのウェイトレス】

「ん。それはわたしが説明する」


【つばさ】

「あれ? あなたは……面倒な新人さん!?」


 胸が大きいわね……。く、悔しくは無いんですのよ。


【通りすがりのウェイトレス】

「基本的には同じ。金や銀、鉄も日本人が知っている普通の状態が、無属性の精霊鉱石に分類する。そして、そこに精霊から魔素を溜め込められたら、それぞれの属性の精霊鉱石に分類される」


【つばさ】

「そうなんだ……あれ? 魔素が濃くなると宝石みたいな透明傾向になるんですよね? その場合、鉄だと硬いままなのですか?」


【通りすがりのウェイトレス】

「ん。良い質問だよ、ツバッキー副店長。

 一般的に最高級とされる精霊鉱石は元の状態からかけ離れているけど、それ以外の級品は元の性質も持っている。火の鉱石で剣や槍を打てば、ふぁいや~○○と言った武器になる」


【つばさ】

「どうして、『ふぁいや~』の部分だけ喋り方が変なのかは気になるけど……」


【通りすがりのウェイトレス】

「……ただ、精霊は宝石系やクリスタル系の綺麗な石を好むから、鉄とかの精霊鉱石はレアだよ。まあ、あの影の料理長が裏で色々やっているみたいだから、歴史が変わる可能性があるよね」


【つばさ】

「影の料理長……って、誰? あと、そんな事をしたら豊穣の女神さまから怒られませんか?」


【通りすがりのウェイトレス】

「……若さゆえの行動。無知ゆえの暴走。これらは、外部から制御されていれば情熱の源。あのラーメン好きが許可しないなら、わたしが許可をする……じゃ、わたしはこれで……五番テーブル、わたしが向かいます」


【つばさ】

「なんであの人がウェイトレスをやるんだろう……。

 ま、いいや。

 次が最後の質問みたいだね。え~っと……え!? いや、これを答えるのは駄目っしょっ!」


 つばさちゃん、何が書いてあるの?


【つばさ】

「『某小説みたいにファンタジーっぽい食材が出てきて食べますか?』

 ……普通のお肉があるんだから、そういう食材を食べる必要はないです!」


 鯨肉の○リーンピースみたいな事を言うのね……

 では、代わりに新キャラ予定のお姉さまが答えるわね、

『予定はあったけど、その某小説が先に書いたから二番煎じみたいで、なんとなーく書いていません』

 ……だってさ。


【つばさ】

「じゃあ、出ない方向でお願いします。ゲテモノは良いのです。あと貴女は新キャラだったのですか……」


 そうよ? たぶん、とある生き物の背中に乗ってやって来る予定よ。

 四章で出てくるわ。


 ……ところで、作中は夏なのに、現実は冬真っ盛りなのね? 長期発行している本じゃないんだから、合わせればいいのに。あたくしの居た土地は、夏か真冬しかないわよ?


【つばさ】

「余所の大陸の事は知らねぇーです。じゃあ、追加の質問会は終わりです」


 あたくしの登場を待っていてねー♪

 種族のヒント? ……日焼けね。


【つばさ】

「あれ? その色は日焼けだったんですか?」


 日焼けよ。だって、あたくし。心はピュアだもの。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ