一本の木
どうも、森林と名乗っているものです。
書きたくなって書いてみた思い付きですが、自己満足を満たすため投下。いいよね?いいよね? ぶっちゃけ見る人いないよね?
そんな感じですが、宜しくお願い致します。
むかしむかし小さな山のふもとの森に、一本の木がおりました。
タアムという名前のその木は、他の木とおしゃべりをしたり、のんびり日向ぼっこをしたりして過ごしていました。
(やっぱり天気のいい日は気持ちがいいな。なあタアム)
(ほんとだね・・・。あ、熊の親子だ!)
(うげっ、おれ前にあの熊に爪痕付けられたんだよなぁ)
(あはは、そういえばなんか言ってたね!)
(他木事だなおい。)
(鷲が飛んでる!いいなぁ、自由に空を飛びまわれて)
(無視かよ・・・。まぁ俺らは動けないからなぁ。いつかここ以外の場所を見てみたいもんだ)
長い長い、それでいて短いような時間が過ぎて、いつからか山のふもとの森は山のふもとの町となって。いつしか小さな山は無くなって、山のふもとの町は大きな街になっていました。
たくさんいた木々や、森の中に住んでいた動物達はみんないなくなってしまいました。
(僕の名前はなんだっけ・・・)
名前を呼んでくれる友人は十何年も前に切られてしまいもういません。気付けばタアムの周りは建物が並び、朝と夕には人々が行き交いますが、タアムの方を向く人はおらずみんなが駅へと入って行きます。
(もう朝なのに、お日様の光が来ない・・・)
タアムは知りません。日光を遮っているそれが、「マンション」と呼ばれていることを。
(雨がふってきたのに、水が根っこに来ない・・・)
タアムは知りません。水をしみこまさず流すそれが、「アスファルト」と呼ばれていることを。
「道路拡張のための工事のお知らせ? A通りの交差点から駅の前までか。けっこう大きく広げるんだなぁ」
(なんか言ってるけどわかんないや)
タアムは知りません。駅の前へ続く道は、自分の横を通っているということを。
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「でっかい木っすね先輩」
「そうだなぁ。俺が生まれる前からずっとある大木だからなぁ」
「なんとかならないんすかね、これ。」
「しかたないだろう。俺だって嫌だが、これも仕事だし割りきらんとな」
「はぁ・・・そっすよね。道路くらい狭くたってこまりゃしないのになぁ・・・」
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ある木彫り職人の工房
「ご注文の木材お持ちいたしましたー」
「おお、来たか。あそこの木は質が良かったんだが、こいつが最後の一本なんだなぁ。もう寝かせてあるんだよな?」
「はい、ウチの方で十数年は。」
「よおし、じゃあ始めるか!」
「何十年か前に彫ったのがしまってあるはずだが・・・三番の保管庫だったか?」
そう言うと職人はつい今しがた仕上げの終わった作品を、その保管庫にしまってある作品の横に運びました。
その保管庫の中で、作品がつぶやきました。
(・・・はぁ、相変わらず暇だなぁ。)
(あれ? 今の声どこかで・・・? だれだっけ、確か、よ、ヨ・・・)
その声で、他の作品がタアムに気付きます。
(おお新入りか。ワシは目の前の木の亀じゃ、と言ってもみんな木じゃがのう。名はローボじゃ)
(えーとローボさん、こんにちは。僕は・・)
(タアム!お前タアムじゃないか!? 俺だよ、隣にいたヨスガ!)
(や、やっぱりヨスガか! 聞きなれた声だと思ったんだ! でもどうしてここに?)
(俺が聞きたいくらいだよ。でも大抵同じ経緯じゃないか?)
(そうだね・・・。そうだ、見てよヨスガ! 鷲だよ鷲!)
(だな。くそう、羨ましいなぁ、俺もそういうのが良かったぜ・・・)
(ヌシは虫じゃからな)
(オレみたいにカブト虫とかならまだ格好付いたのにな。よりにもよって・・・)
(いいじゃん、てんとう虫、似合ってるよ?)
(嬉しくねェ! だいたい実物の何百倍だってんだ!)
タアムは態度こそそのままに、心の中では大喜びでした。また友達に会えたこと、新しい友達が出来そうなこと、見たことの無い景色が見られたこと、自分が憧れた鷲の姿をしていること。そして、名前を呼んでもらえたこと。
その後も、木彫りの作品はおしゃべりをしていました。
もちろんタアムも、嬉しそうに、幸せをかみしめるようにして。ずっと、ずっと。
千五百字をようやくこすくらいに短い、一本の木のお話でした。
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