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第二章 パリス村での魔物退治

山道を越え、夕方。


村は、思ったより静まり返っていた。


出迎えたのは、白髪の老人。


深く、深く頭を下げる。


「冒険者殿……ありがとうございます。

最近、畑を荒らす魔物が十数体も現れ、困っておりまして……」


「任せてください。出来る範囲で力になります」


老人は、さらに声を潜めた。


「それと……畑の奥で、夜な夜な“女の幽霊”が現れると……」

「近づいた者は皆、恐怖で逃げ帰るのです」


ケイタの喉が鳴る。


(女の幽霊……? 本当に?)


(ケイタ……なんか、嫌な感じがする)


不穏な風が、頬を撫でた。


夜。


月明かりに照らされた畑。


静寂。


虫の声。


――そして。


ガサ……

ガサガサ……!


「来るぞ、ライム!」


地面が盛り上がる。


茂みが弾ける。


影が裂ける。


次々と現れたのは――


小型だが鋭い牙を持つ地噛みジガミ


その数、十数体。


低い唸り声。


(多いな……!)


(ケイタ、ボク準備できてるよ!)


拳を握る。


「よし……最初の依頼だ。全員まとめて来いよ!」


両腕が変形。


金属音。


――マシンガン。


「さあ……どこからでも、いらっしゃい!」


ドガガガガガガン!!!


弾丸が夜を裂く。


だが。


当たらない。


ジガミは地を蹴り、跳ね、散開する。


「くっ……思ったよりすばしっこい!」


三方向から同時突進。


一体が囮、二体が死角。


(連携してる……!)


(本来ここまで綿密じゃないよ!違和感ある!)


弾丸が土煙を上げる。


ジガミは引き、別の個体が前に出る。


統率。


明らかに、誰かが“動かしている”。


「ライム、コイツら……知能高すぎないか?」


(うん……おかしい。ケイタ、もっと周囲を見て)


「ああっ、ちょっと待て!」


ぐるりと視界を巡らせる。


その瞬間。


頭の中で――


ぷっ。


「……は?」


(うんっ……あった)


「何がだよ!?」


(ケイタも見たでしょ?)


「えっ……お前、また俺をディすって――」


(えっ?デスがどうかした?)


「……今それやるな」


弾丸を避けつつ視線を固定する。


前方、やや右。


一匹だけ――動かない。


「……ああ、いるな」


(ジガミにはね、稀に“特殊個体”が生まれるの)


(賢い。思念伝達ができる。だけど――)


「足が遅い」


(ピンポーン!)


「おまけに……ちょっと、デブってる?」


(それは個人的問題!)


三体同時突撃。


ケイタは跳ぶ。


弾丸の雨。


「じゃあ的は決まりだ!」


(いくよ!面白いことになるよ!)


マシンガンの照準が特殊個体を捉える。


ドガガガガガガン!!


弾丸は“守られる”。


一体が盾になる。


二体目が横から飛び込む。


三体目が後方から。


「ほらな!」


守りに入った瞬間、陣形が崩れる。


一体、撃破。


二体、撃破。


守りに回るたび、数が減る。


特殊個体が焦る。


指示が乱れる。


連携が崩壊。


「逃げる気か?」


鈍重な身体が後退する。


だが遅い。


ケイタが踏み込む。


腕がバズーカに変形。


「これで終わりだ!」


――ドォンッ!!


爆煙。


衝撃波。


月光の下、静寂が戻る。


残ったジガミは、散り散りに逃走。


畑には、倒れ伏した魔物だけが残った。


ケイタは息を吐く。


装備を解く。


少女の姿へ戻る。


(うまくいったね)


「……デブ狙い、正解だったな」


(だからそれやめて)


夜風が吹く。


村の灯りが遠く揺れる。


こうして、


ケイタとライムの初仕事は、


鮮やかに幕を下ろした。


だが――


畑の奥。


闇のさらに奥で。


“何か”が、静かに揺れていた。


幽霊の噂は、まだ終わっていない。




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