第一章 4 バリエスの町で 2
「狙え……! ライム、合わせろ!」
(うん! いくよっ!)
地面を蹴る。
石畳が砕ける。
跳躍。
空中で両腕を固定。
照準。
――ドォンッ!!
二門同時発射。
爆炎。
衝撃波が町を揺らす。
一体のロックハウンドが、
装甲ごと吹き飛び、木端微塵に砕け散る。
だが――
残り三体。
同時に咆哮。
一直線に襲いかかる。
「クソ――!」
着地の瞬間、
巨体の影が覆いかぶさる。
(ケイタ! 全身変形いけるよ!)
「やってくれ、ライム!!」
光。
全身を包む膜。
粘性質量が均一に拡散。
骨格形成。
装甲生成。
一瞬で、形が変わる。
肩に厚いプレート。
胸部に重装甲。
脚部に圧縮推進構造。
背中から噴き出す熱気。
拳は、岩を砕く質量。
姿は――
まさにパワードスーツ。
「……うおおおおお!!」
踏み込み。
地面が陥没。
一直線に突撃。
一体目。
拳。
衝突。
顎が粉砕。
巨体が宙を舞い、壁を突き破る。
二体目。
跳躍。
踏みつけ。
大地ごと押し潰す。
甲殻が砕ける音。
三体目。
振り向きざま。
腕を刃へ変形。
横薙ぎ。
岩装甲ごと、断つ。
――轟音。
――震動。
――沈黙。
四体。
全滅。
ケイタはゆっくり息を吐く。
装甲が溶ける。
鋼鉄が液体へ戻る。
再び、少女の姿。
夕日が差し込む。
金色の光。
汗に反射する輝き。
町の人々は、言葉を失う。
そこに立つのは――
“英雄”。
その姿を。
崩れた建物の陰から、
一人の少年が見つめていた。
ルカ。
驚き。
戸惑い。
そして――
懐かしさ。
胸を締め付けられるような、何か。
「……あの姿……やっぱり……英雄だ……」
小さな声。
ほんの少し嬉しそうに。
けれど、同じくらい苦しそうに。
沈む夕陽の中。
ルカは、ただ見つめ続けていた。




