第六章 2
異様な静寂に包まれた、縫合宮第三階層の最奥。
その中心に――場違いなほど整然とした施設があった。
そして、その前に――
ひとりの男が立っていた。
やがて男は、ふと振り向いた。
その瞬間、初めてケイタとミイアの存在に気づく。
「なんだ!キミ達は、こんなところに何しに……?」
一瞬の沈黙。
そして――
「……まあ、普通は誰も来るはずはないな」
男は顎に手を当て、じっと二人を見つめる。
「わかったぞっ!キミ達は――ドロボウだなっ!」
「いやいやいや!そんな訳あるか!」
即座にツッコミを入れるケイタ。
「それは、さすがに失礼だと思います!」
ミイアも抗議するが、どこかズレている。
男は一瞬ぽかんとした後――
「……冗談に決まってるでしょ」
あっさりと流した。
「キミ達のことは、デミユート様から聞いているよっ!」
そう言って、ケイタを指差す。
「ケイタンとかいう、小僧だなっ!」
「誰がケイタンだ!」
しかし――
男は首をかしげる。
「……ていうか、小僧じゃないな?」
視線の先には、少女の姿。
「私は、ケイ!」
ケイタは胸を張った。
「この、ミイアの体を取り返しにきた!」
「私の体を返して!」
ミイアも一歩前に出る。
男はゆっくりと振り返り、祭壇を指差した。
「ああっ!これのことか?」
そこには、派手なケースに収められた“何か”が安置されている。
「これはな――大事な実験材料だ」
薄く笑う。
「渡すわけにはいかないなっ!」
空気が、一変した。
「ふっ……まあいい」
ケイタの目が細まる。
「デミユート様とか言ってる時点で、ロクな奴じゃなさそうだ」
「俺が、片付けてやる!」
「おお……可愛い顔して、勇ましいな」
男は興味深そうに笑う。
「娘よ、お前が“核”を持っているのか?」
「……核?」
ケイタは眉をひそめた。
意味が分からない。
「まあいい、どちらかが持っているはずだ」
男は軽く手を広げる。
「二人とも――確保させてもらおう!」
「ふっ、後悔させてやる!」
ケイタが構える。
「ライム!用意はいいかっ!」
(了解!いつでもいけるよ!)
「ケイ……私は援護するわ!」
「頼む!」
その瞬間――
ケイタの腕が、ぐにゃりと形を変え始めた。
戦闘態勢。
だが――
「ふっふっふ……では、こちらも環境を整えてやろう」
男は機械のレバーを、静かに倒した。
次の瞬間――
空間が、裂けた。
巨大な“穴”が出現し、そこから凄まじい勢いで複合エネルギーが噴き出す。
圧力。
衝撃。
空気そのものが、歪む。
「なっ……なんだっ!?」
ケイタの声が、かき消される。
さっきまで“干渉のなかった空間”は――
一瞬で、戦場へと変わった。
――
新たな活動報告があります!
ぜひ、ご参照ください




