第五章 4
「とうとう、2人になったな!」
ケイタが、軽く肩をすくめる。
「ふふっ、心細い?」
ミイアが、くすっと笑う。
「まさかっ!」
「まあ、ルカは陽摩羅に任せとけば大丈夫だろ!」
一拍。
「俺達は、先へ行こう!」
「ええっ!」
ミイアが、にこっと頷く。
(あのっ……僕も、いるんだけど……)
頭の中に、ぽそっと声。
「あっ!悪い悪いライム、頼りにしてるからなっ!」
(なんか、僕の存在、忘れてたよね?)
「気のせいだって!」
「それより、このまま真っ直ぐでいいんだよな?」
(うん!……この先で、ガーディアンが大勢、待ってるみたいだよ!)
「えっ、大勢?」
ケイタが眉をひそめる。
(ウォーキングは、終わったのかな……?)
「ケイタさん!この先に、何かあるみたい!」
「複雑な気配がしてる……」
「そうらしい……」
「なんか、ガーディアン達が俺達を待ってるってさ!」
「ええっ……ライムさんがそう言ってるの?」
「ガーディアン……大丈夫かな……?」
「まあ、行ってみよう!」
「どのみち、同じ場所を目指してるみたいだしなっ!」
――霧の中を進む。
足音が、やけに響く。
そして。
数分後――
「……行き止まり?」
視界が、開ける。
その先。
壁。
そして――
びっしりと並ぶ、ガーディアン達。
無言。
同じ方向を見つめている。
「なんか……お困りの様だなっ?」
ケイタとミイアは、その場へ歩み寄る。
「うん……なんか、あそこらへんを気にしてるみたい」
ミイアが、指を伸ばす。
「……?」
ケイタが目を凝らす。
「なんか、岩場を溶接したみたいになってないか?」
不自然な継ぎ目。
人工的な封鎖。
「うん……それと、何かのチカラで気配を封印してる……」
「おそらく……それで、ガーディアン達は場所を特定できないんじゃないかな?」
「なるほどな〜!」
ケイタ、納得。
「ライム!あそこに穴あける方法、なんかないか?」
(う〜〜ん……)
(ミイアに、僕達を周りから隔離する結界みたいなの作れないかな?)
(そしたら、いつものように武器生成できるんだけど……)
「そうだな!」
ケイタが頷く。
「ミイア、周りからの干渉を遮断する結界、作れないか?」
「ああ、そうね……」
「ちょっと、やってみるわね!」
ミイアが目を閉じる。
スッ……と呼吸。
集中。
――次の瞬間。
ふわっ……
淡いブルーの光が、体から滲み出る。
広がる。
円を描くように。
包み込むように。
ドーム状の結界が、完成した。
(うんっ?……ケイタ!干渉がなくなった!)
(これなら、いつもみたいにやれるよ!)
「そうかっ!それは良かった!」
「どんな感じ?」
ミイアが、少し不安げに覗き込む。
「ライムが、やれそうだって!」
「ありがとうなっ!ミイア!」
「うんっ!」
少し頬を染める。
「じゃあ、ライム!」
ケイタが前に出る。
ニヤッと笑う。
「派手にかますかっ?」
(了解!ケイタ!)
(派手なの、いくよっ!)
――瞬間。
空気が、変わる。
ブォンッ!!
ケイタの手に、光が収束する。
形を成す。
重厚な――兵器。
「いくぞっ!」
ドンッ!!
轟音。
閃光。
衝撃波が、霧を吹き飛ばす。
ズガァァァァン!!!
封鎖された岩場に、直撃。
ひび割れる。
崩れる。
砕ける。
爆煙の中――
ぽっかりと、穴が開いた。
奥へと続く、亀裂。
「ふっ……こんなもんか?」
ケイタが、肩を回す。
「うんっ!これで、第三階層へ行けるね!」
ミイアが、嬉しそうに頷く。
――その瞬間。
ザッ……
ザッ……
ガーディアン達が、一斉に動き出した。
無言のまま。
次々と、亀裂へと吸い込まれていく。
「なんだよ!お礼も無しかっ?」
ケイタが苦笑する。
「うんっ!」
ミイアが、くすっと笑う。
「なんか……急いでるみたいね?」
やがて。
ガーディアンの群れは、消えた。
静寂。
残されたのは、2人だけ。
ケイタとミイアは、顔を見合わせる。
そして――
ゆっくりと。
その亀裂へ向かって、歩き出した。




