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第四章 ヘリオス縫合宮

「さてと……どうやって降りるかな?」


ケイタが、亀裂の底を見下ろしながら呟く。


深い。

暗い。

瘴気が渦巻いている。


その時――


「わらわが、全員下ろしてやってもよいぞ?」


声。


振り向くと。


ヒマリ。


……さっきまでシュークリームを食べ尽くした顔で、ドヤ顔。


「えっ、そんな能力もあるのかっ?」


ケイタ、素直に驚く。


ヒマリ、にやり。


「何か、わらわに見返りがあるのならな」


「ヒマリ様!まだ何か食う気かっ!?」


ルカ、即ツッコミ。


「ていうか!?俺の頭のクリームどうしてくれるんだよ!」


ぽた……。


まだ垂れている。


「まあ、それはお主への褒美じゃ」


ヒマリ、さらっと。


「遠慮なく受け取るがよい」


悪びれない。


まったく。


「ええっ……どうするかな……」


ケイタ、腕を組む。


その時――


(ケイタ!大丈夫だよ!)


ライムの声。


(周りにこれだけ瘴気があるからね!)


(僕達なら、何でも物質化できるよ!)


「えっ、本当かっ!?」


「そんな……魔法みたいなことがっ?」


(うん!それが今の僕らの力だよ!)


ちょっと誇らしげ。


(ケイタが思い浮かべれば、それを形にできる)


「……マジか」


ケイタ、目を閉じる。


イメージ。


――甘い匂い。


ふわっと、漂う。


目を開ける。


そこには。


丸い物体。


串に刺さった、つやのある団子。


「……できた」


手に取る。


しっかりした感触。


「ヒマリ様!」


差し出す。


「これで、どうだっ?」


ヒマリ。


一瞬。


そして――


「おおおおおっ!!なんじゃこれはあああっ!!」


食いつく。


勢いがやばい。


ケイタ、慌てて指を引っ込める。


「これは〝お団子〟っていうお菓子だ!」


「うう〜〜む……?」


もぐもぐ。


「〝おち○こ〟かっ!」


ドーン!!


「いやそれは流石にわざとだろっ!!」


即ツッコミ。



そして――


数分後。


串、空。


10本、消滅。


ヒマリ、満足げ。


「今度はお団子の汁が頭に垂れてるんですけど……」


ルカ、涙目。


ぽた……。


二重被害。


「そろそろいいかな、ヒマリ様!」


ケイタ、軽く手を叩く。


ヒマリ、胸を張る。


「うむっ!なかなかの美味じゃった!」


「今後もあれを進呈するなら――」


にやり。


「ある程度の願いは聞き届けよう」


小さな体で、ドヤ顔。



その直後。


ヒマリが、ふっと浮かぶ。


尾が、ゆらり。


空気が変わる。


「行くぞ」


その一言。


ふわり。


ケイタ達の体が、持ち上がる。


視界が落ちる。


一気に。


滑るように――


亀裂の底へ。


瘴気の渦をすり抜けながら。


音もなく。


衝撃もなく。


静かに。


――着地。


「……着いたな」


ケイタが呟く。


そこは――


ヘリオス縫合宮。


その内部だった。




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