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第三章 16 ヘリオス縫合宮への道


それから――


三日間。


特に大きな出来事は起こらなかった。


だが。


周囲の瘴気は、

少しずつ……確実に濃くなっていた。


ケイタは森を見回しながら、小さく呟く。


(ライム……)


(ここまでヤバい雰囲気だと、いつ魔獣に襲われてもおかしくないな?)


ライムがすぐ答える。


(いや……逆だよ)


ケイタが眉をひそめる。


(逆?)


ライムは少し真面目な声になった。


(ここまで瘴気が濃いと……)


(よほど強い力を持った存在じゃないと、生きていられない)


ケイタが固まる。


(えっ……)


(それって、俺たちは大丈夫なのか?)


ライムが考え込む。


(う〜〜ん……)


その時。


ケイタの頭に一つの考えが浮かんだ。


(……もしかして)


(ミイアか?)


ケイタは隣を歩くミイアを見た。


ミイアは、いつも通り。


特に変わった様子はない。


ケイタの視線に気づき、

にこっと微笑む。


「うん?」


「ケイタさん、どうかした?」


ケイタは一瞬、言葉に詰まる。


(あっ……もしかして……)


また妙な誤解をされそうな予感がした。


慌てて話題を変える。


「なあミイア」


「ん?」


「前から思ってたんだけどさ……」


「お前、時々、ボクだったり、わたしだったり……言い方変わるよな」


「……え?」


「それにさ」


ケイタは少しだけ言葉を選ぶ。


「呼び方も……違う時あるよな」


「……」


「ケイタさんだったり……」


「……ケイタ、だったり」


ミイアの動きが、わずかに止まる。


「……あれ?」


「……わたし……?」


小さく呟く。


少しだけ、幼いような表情が揺れて――


すぐに落ち着く。


「……たぶん」


「ボク……スピリットだから」


「自分自身が、少し揺らいでいるんだと思う.....」

少し俯いた.....そしてニッコリ笑う


「まあ、あんまり気にしないで!.....女の子って、そういうものよ!」

と、手をひらひらと振った


そして――


どこか機嫌よさそうに歩いていった


しかし、ケイタは小さく呟いた。


(ライム……)


(ミイア、無理して何かやってるんじゃないのか?)


ライムも静かに答える。


(詳しくはわからないけど……)


少し間。


(たぶん、そうだと思う)


(じゃないと……)


周囲の瘴気を感じ取る。


(こんな場所で無事でいられるわけがない)


ケイタは小さく息を吐いた。


(そうか……)


(じゃあ、急がなきゃな)


ライムが頷く。


(そうだね……)


その時だった。


ルカが声をかけてきた。


「ケイタ」


少し困った顔。


「さっきからさ……」


周囲を見回す。


「同じところを、ぐるぐる回ってる気がしない?」


ケイタが驚く。


「えっ?そうか?」


改めて周囲を見渡す。


だが。


森はどこも同じように見える。


ケイタは首をかしげた。


「……わからないな」


そしてミイアを見る。


「ミイア、何かわかるか?」


ミイアも周囲を見回す。


「う〜ん……」


少し考え、


「確かに……違和感はあるわね」


ルカが腕を組む。


「危険な感じはしないけど……」


「このままだと、まずいよね?」


その時。


ミイアが、少し首を傾げた。


「……あ」


小さく呟く。


「ちょっと思い当たることがあるの」


二人がミイアを見る。


ミイアは言った。


「これから私、少し力を使うから」


指を立てる。


「周りをよく見ててくれる?」


ケイタが眉をひそめる。


「えっ?」


「見てるだけでいいのか?」


ミイアはにこっと笑った。


「うんっ!」


「じゃあ……やるね」


目を閉じる。


その瞬間。


ふわっ……


ミイアの髪が静かに揺れた。


ケイタとルカは、

言われた通り周囲を見回す。


だが――


特に変化はない。


しかし。


しばらくして。


ルカが、何かに気づいた。


《ケイタ》


小声で耳打ちする。


《あそこ……》


そっと指差す。


《あそこだけ、風景が揺らいでない?》


ケイタが目を凝らす。


……確かに。


その一点だけ。


蜃気楼のように

空間がゆらゆら揺れている。


ケイタが小さく頷いた。


その時。


ミイアが目を開ける。


「どう?」


「何か見つかった?」


ケイタは、人差し指を口に当てた。


静かに。


そして――


そっと。


揺らいでいる場所を指差した。


ミイアがそれを見る。


そして――


にこっ。


微笑んだ。


人差し指を立てる。


その先に。


小さな――


光の玉が生まれる。


ミイアはそれを軽く弾いた。


光の玉が

ゆらぎの場所へ飛んでいく。


その瞬間。


〝ウ・キャッ!〝


変な悲鳴が響いた。


そして。


光の玉の中で――


何かが、バタバタともがいている。


ケイタが思わず目を丸くした。


「えっ?」


「なんなんだ、あれは?」


ルカも覗き込む。


そして小さく呟く。


「なんか……」


ため息をつく。


「ちょっとかわいそうな気もするけど……」



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