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第三章 15 

その時。


暴走するグラトニー・ベアードの――

頭上に。


ふわりと、ミイアが姿を現した。


静かに目を閉じる。


そして、念じる。


(ケイタさん……)


(ケイタさん?)


しばし沈黙。


(ケイタさん!聞こえる?)


暗闇の中で、声が返ってきた。


(……んっ?)


(……だれ?)


ミイアはすぐに答える。


(私!ミイア!)


少し間。


(……ミイア?)


そして。


(あっ!ミイアかっ!)


ケイタの声がはっきりする。


(今、俺はどうなってるんだ?)


周囲を見回すような気配。


(なんか……真っ暗なところにいるんだが?)


ミイアは落ち着いた声で答えた。


(落ち着いて)


(ライムさんが変化した魔獣の中にいるの)


(でも……途中で制御できなくなったみたい)


ケイタが納得する。


(そうか……)


(俺も途中で意識がなくなったんだな)


少し考え、


(でっ!どうすればいい?)


ミイアが即答する。


(私が協力する!)


ケイタは黙って聞く。


(ケイタさんは――)


(強い力で、魔獣を牽制してほしいの)


(私が、その思いを増幅して)


(魔獣の精神にぶつけるわっ!)


ケイタが困った声を出す。


(牽制って……どうやるんだ?)


ミイアは、少し考え。


そして――


(怒るの)


ケイタが一瞬止まる。


(怒る?)


ミイアが言った。


(止まれ!!!って)


(それでいいんじゃないかな?)


ケイタが苦笑する。


(ふっ……)


(なんか原始的だな……)


少し間。


(……じゃあ、いいか?)


ミイアが即答する。


(うんっ!やって!)


その瞬間。


グラトニー・ベアードの中から――


魂の叫びが響いた。


゛止まれっ!!!゛


森が震える。


゛ライム!!!゛


゛何やってんだ〜〜っ!!!゛


その瞬間。


グラトニー・ベアードの体が――


ビクッ!!


大きく震えた。


ミイアが叫ぶ。


(いいわっ!)


(もう一息!)


ケイタが、さらに叫ぶ。


゛いいかげんに!゛


゛しやがれ〜〜っ!!!゛


その瞬間。


グラトニー・ベアードの体が――


光り出した。


青白い光。


体が、ゆっくりと収縮していく。


巨大な骨格がほどける。


筋肉が縮む。


そして――


スルスルと。


人間の姿へ戻っていった。


そこに現れたのは。


元の姿。


――美少女のケイタ。


静かに目を開ける。


その瞬間。


ミイアが――


勢いよく抱きついた。


「おかえり!ケイタさん!」


至近距離。


顔が、すぐ目の前にある。


ケイタの顔が一瞬で赤くなる。


「たっ……ただいま!」


そして慌てる。


「あの……顔、近くないっ?」


ミイアが笑う。


「もうっ!」


「心配かけたバツよ!」


満面の笑顔。


その時。


横から声がした。


「あの……」


ルカだった。


視線が泳いでいる。


「目のやり場がないんだけど……」


ミイアが振り向く。


「あれっ?」


「ルカ?」


そして不思議そうに聞く。


「ティランの村へは?」


ケイタに抱きついたまま。


ルカが肩をすくめる。


「ふっ……」


少し照れながら。


「あれって、僕を逃がすためだったんでしょ?」


そして胸を張る。


「ひとりだけ逃げ出す訳にはいかないからね!」


ミイアが呆れた顔をする。


「また……」


指を伸ばす。


「カッコ付けちゃって!」


コツン。


ルカの額をつついた。


「痛ぇなっ!」


ルカの顔がゆがむ。


その様子を見て。


ケイタが苦笑する。


そして。


青く澄んだ空の下で――


三人の笑い声が、森に響いていた。





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