第一章、異世界ってどういうとこ?
森の中に、銃声が何度も響いた。
ドガガガガガガン!!!
木々が震え、鳥が飛び立つ。
そして――
何度目かの轟音のあと、
森に静寂が戻った。
煙がゆっくりと晴れていく。
「ふい〜〜っ! これで、もう終わりかっ!」
(うん! ケイタ、もうごはんは終わったみたい!)
頭の中で、弾む声。
(結構、たくさん食べれたよっ!)
「……食べれた、って? お前、食ってたのか?」
(うん! 魔物はね、ほとんどがエネルギーでできてるの)
(死んだらエネルギーに戻る!)
(放っとくと消えちゃうから、僕がいただいたの!)
「なんか……お歳暮みたいな回収だな?」
(うん! ケイタと合体して、エネルギーを貯める器ができたの!)
(そこに、エネルギーいっぱい!)
「エネルギーって……それ、う○こみたいなもんか?」
(う○こ?なにそれ?)
「いやっ! あのっ、食べた後に出るやつだ!」
(ふ〜ん……まあ、そんな感じかな?)
(それ! 僕たちの体の材料になるんだ!)
ちょっと嬉しそう。
「へえ〜っ! 循環型社会だな……」
半ば独り言。
だが――
その様子を、じっと見ている存在がいた。
木陰。
細い影。
ひとりの少年が、こちらを見つめている。
「……あのっ?」
小さな声。
「大丈夫ですか?」
「さっきから、ずっと独り言を言われているみたいですが……?」
「うおっ!? びっくりした!」
反射で振り向く。
「えっ? お前は……って、いつからいたんだ?」
少年は少し後ずさる。
「魔物が増えてきたから、動けなくなってしまって……」
「そしたら、あなたが急に現れて」
「魔物をやっつけたら……その、独り言を……」
恐る恐る。
警戒と困惑が混ざっている。
「あっ、そ、そうなのかっ?」
「いやっ、まあ……独り言は癖なんだ!」
「気にするなっ!」
若干、気まずい。
(マスター、バレてるよ)
(黙れ!)
「それより、お前! 名前は?」
「俺は、ケイ……ケイだっ!」
一瞬、間。
少年も少しだけ挙動不審になる。
「僕は、ルカ……と言います」
黒い瞳が、まっすぐこちらを見る。
「じゃあ、ルカ! よろしくなっ!」
ケイは、にっと笑い、手を差し出す。
少年は一瞬ためらい――
そっと、その手を握った。
「あっ、はい……よろしく」
「ケイさん、でいいんですよね?」
その握手は、まだぎこちない。
だが――
確かに、誰かと繋がった感触があった。




