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第三章 12 ティラン村からの旅立ち

そして翌朝。


予定通り、ケイタたちは

ティランの村を旅立つことになった。


見送りには、


族長エルネス。

シャルナ。

そして何人かの村人たちが集まっていた。


ケイタは軽く頭を下げる。


「どうも、色々とお世話になりました」


エルネスが、豪快に笑う。


「いやっ! 気をつけてな!」


力強い声。


「またここに来て欲しい。歓迎する!」


隣で、シャルナも

静かに微笑んでいた。


「あなた方に、サマルの祝福があらんことを……」


「ありがとうございました!」


ルカが、少し照れたように答える。


エルネスはルカに微笑み返し――

そしてミイアへ目を向けた。


「ミイア殿」


優しい声。


「くれぐれも無理はせぬようにな」


少し間を置き、


「力の使い過ぎは、良くない……」


ミイアは、こくりと頷いた。


「はいっ!」


ほんのりと頬を染めている。


そして。


ケイタたちは

ティランの村を後にした。


・・・・・・・・・・・・


しばらく歩いたあと。


ケイタが、ふと思い出したように言う。


「なあ、ミイア」


「前に“身体がある場所の方角”の話をしてただろ?」


ミイアが振り向く。


「うん!」


少し考えながら、


「この大陸の奥――」


「“イグナ=グレイル山脈”……のことだよね?」


「ああ」


ケイタが頷く。


「それってさ……」


少し言葉を選びながら、


「“ヘリオスの縫合宮”とかいうのと、方角的には合っているのか?」


ミイアは、ゆっくり答える。


「うん……たぶんね」


空を見上げる。


「“ヘリオスの縫合宮”の遥か先に」


「グレイル山脈がある感じ」


少し沈黙。


そしてミイアは、小さく続けた。


「でもね……」


「“ヘリオスの縫合宮”って名前を聞いた時」


胸に手を当てる。


「頭の中に……何かのビジョンが浮かんだんだ」


ケイタが、黙って聞く。


ミイアの声が、少し震えた。


「……なんか、とても怖かった」


その目に、涙が滲む。


ケイタは――


本能的に、視線を逸らした。


「そうか……」


短く、それだけ言う。


その時。


横から声が飛んだ。


「なんかさー」


ルカが苦笑いしている。


「二人の世界に浸ってるところ悪いんだけど……」


お腹をさすりながら、


「そろそろメシにしない?」


だが。


次の瞬間。


ルカのコメカミが――


ガシッ!


ケイタの左右の拳に、しっかり挟まれていた。


「゛いでででででででっ!!゛」


「二人の世界って、なんの事だっ!」


ケイタが、ぐりぐりと拳を押し込む。


「ちょっ……!」


ルカの悲鳴。


「痛い痛い痛い!!」


だが。


ケイタの攻撃は、まだ終わらない。


ルカの苦痛は――

さらに続くのだった。


その様子を。


少し後ろから眺めながら。


ミイアは、そっと微笑んでいた。




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