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第三章 11 ベルモントの狂気

この世界では――

争いが日常だった。


魔物。

魔人。

亜人。

そして、人類。


四つの種族が絡み合い、

歴史は何度も血で塗り替えられてきた。


強者が蹂躙し。


弱者が削られる。


それが――

“常識”。


そして。


最も脆弱とされたのが――

人類だった。


魔法も。


膂力も。


寿命すら、他種族には及ばない。


滅びは、常に隣り合わせ。


だからこそ――

人類は禁忌へ手を伸ばした。


生命エネルギー。


《ソウル・フォース》。


それを増幅し。


生命そのものを書き換える研究。


それは希望だった。


最後の賭けだった。


だが――


その希望は。


ひとりの天才によって、

形を変える。


巨大研究機関。


〈コア・ラボ〉。


その頂点に立つ男。


ベルモント・レイヴン。


英雄。


革命者。


人類の誇り。


だが彼は。


ひとつの結論に辿り着いていた。


「力なき種族が生き残る道は――ひとつだけだ」


――支配。


研究は加速する。


禁忌は、踏み越えられる。


そして。


完成する。


究極生命強化剤。


《アブソリュート・ドーズ》。


それは。


進化を“促す”薬ではない。


進化を――


“強制する”装置だった。


運命の日。


七つのカプセル。


記録にも残らぬ孤児たち。


「恐れることはない」


静かな声。


「君たちは未来だ」


冷たい光。


薬液が流れ込む。


悲鳴。


そして――


世界の均衡は。


静かに。


歪み始めた。




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