表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/37

第三章 5 そして――亜人の村へ

狂走獣の瘴気が散る。


黒い霧がほどけ、

森の空気がわずかに澄んだ。


その奥。


葉の影が、かすかに揺れる。


――人影。


弓を構えた女性だった。


耳は長く、

肌は薄い緑がかった褐色。


弦がきしむ。


矢先は、まっすぐケイタたちへ。


「止まりなさい」


鋭い声。


「あなたたち……何者?」


ルカが慌てて両手を上げた。


「ち、違うんです!」


一歩も動かないようにしながら叫ぶ。


「魔獣退治に来ただけで!」


ケイタも、ミイアも、同じように手を上げた。


女性はしばらく三人を見据える。


険しい視線。


だが――


ふと、ミイアに目が止まった。


そして。


目を見開く。


「その気配……」


弓先がわずかに下がる。


「瘴気を“浄化した”のか……?」


息をつき、


「あなたたち、森の敵ではないのね……」


弦が緩む。


女性は弓を下ろし、

軽く頭を下げた。


「私はティラン族の斥候、シャルナ」


落ち着いた声で名乗る。


「ティランの村へ……少しだけ、来てくれませんか?」


視線はミイアに向いたまま。


静かに続ける。


「この森はいま、理由不明の瘴気の流れで荒れている」


一拍。


「あなたたちが、その原因を探る鍵となるかもしれない……」


ケイタが息をのむ。


ミイアの肉体を探す旅。


それはどうやら――


ただの“仲間探し”では終わらないらしい。


そして三人は。


亜人族ティランの村へと、

足を踏み入れた。


・・・・・・・・・・・・


ティラン族の村は、


巨大な樹木の根元に広がる

緑の集落だった。


太い根が地面を覆い、

その間に住居が組み上げられている。


木と蔓と土。


自然そのものが、家になっていた。


まるで森と溶け合うような村。


案内役のシャルナに連れられ、


ケイタ、ルカ、ミイアの三人は

村の中央へと進む。


やがて。


ひときわ大きな樹の前で足が止まった。


その根元に、


白髪の亜人が静かに座っている。


優しげな目。


だが、その奥には――


森そのものと会話しているかのような、

深い静けさがあった。


族長。


エルネス。


三人を見るなり、


ゆっくりと口を開く。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ