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第三章 3 翌朝 ― 三人の旅の開始
バリエスの空は、澄みきった青。
朝日がゆっくりと町を照らしていた。
ケイタは荷物を背負い、
ルカは地図を抱え、
ミイアは光の帯となって二人の周囲を漂う。
「よし……。じゃあ、出発しようか」
「うんっ! 行こう、ケイタ!」
「ボクの体……絶対見つけるよ。皆で一緒に」
こうして――
魔境帯イグナ=グレイルへ向かう旅が、
三人によって始まった。
彼らは、まだ知らない。
そこへ導かれている理由が、
ただミイアの体があるからではないことを。
ベルモントが仕掛けた――
“誘導の罠”。
その中心へ、
自ら歩み込んでいることを。
そしてそれは、やがてこの世界全体を揺るがす。
“惑星生命体の意思”を巡る戦い。
その――序章に過ぎなかった。
・・・・・・・・・・・・
三人がバリエスを出て、二日目の朝。
北西への道は、次第に森の密度を増していく。
木々は高く、枝は絡み合い、霧が低く漂い始めていた。
ルカが地図を覗き込みながら言う。
「ここから先は“ティランの森”だね」
指先で地図をなぞる。
「魔物も多いけど、亜人族が守ってるって聞いたことがあるよ」
ミイアの霊体の耳が、ぴくりと揺れた。
「……なんか」
少し間を置いて。
「瘴気が揺れてる」
ケイタの眉がわずかに動く。
「揺れてるって、どういう――」
言い終わる前に。
――ズザァッ!!
森の奥。
木々の向こうで、
瘴気が弾ける音が響いた。




