第二章 6 ベルモントの刺客、森に出現す 2
弾丸が、狼型魔獣へ吸い込まれる。
ドドドドドドドッ!!
肉が弾け、黒い瘴気が散る。
二体が地面に叩きつけられ、動きを止めた。
だが――
残り二体。
速い。
「うわっ、速っ……!」
地面を蹴る音すら聞こえない。
黒い影が、横から弾丸の隙間を縫う。
「――ッ!」
反応が、半拍遅れる。
その瞬間。
「触るなっ!!」
ルカの叫び。
空気が歪む。
透明な衝撃波が弾け――
ドンッ!!
魔獣が横へ吹き飛んだ。
ケイタの目が見開かれる。
「今の……お前か!?」
ルカは肩で息をしながら叫ぶ。
「後で言う! 今は倒すこと考えろ!」
ケイタの口元が歪む。
「頼もしくなったじゃねぇか」
(ケイタ、来るよ!)
「ライム、第二形態!」
(了解!)
腕がうねる。
右腕――ショットガン。
左腕――高圧スパイクランス。
質量が増す。
地面が割れる。
踏み込み。
――ズドンッ!!
散弾が至近距離で炸裂。
狼型の顔面が弾ける。
間髪入れず、ランスが貫通。
地面ごと叩きつける。
二体、撃破。
瘴気が霧散する。
だが。
低く、唸り声。
地面に倒れたはずの個体が――
黒煙をまとい、再び起き上がる。
「はぁ!?」
肉が蠢く。
骨が再形成される。
(ケイタ、普通の魔物じゃない!)
(魔瘴気に“支配”されてる!)
「めんどくせぇな……!」
その瞬間。
森が、歪む。
空気が圧縮される。
魔獣たちの動きが、一段階速くなる。
一斉突撃。
赤い瞳が、一直線にケイタを狙う。
「くっそ……なら――!」
全身にライムの膜を展開。
瞬時に戦闘形態へ。
装甲が硬化。
足場が砕ける。
(左から三体!)
「任せろ!!」
肉薄。
拳を振り抜く。
ドゴォンッ!!
鉄塊の衝撃。
三体まとめて吹き飛ぶ。
木々が折れ、地面が抉れる。
だが――
背後。
風が裂ける。
「ガアアアアッ!」
鉤爪が振り下ろされる。
だが。
ケイタは、すでに振り返っていた。
「後ろがガラ空きだぞ!」
踏み込み。
回転。
――ドンッ!!
衝撃波を伴う蹴り。
巨体が宙を舞う。
地面に叩きつけられ、瘴気が爆ぜる。
だが。
黒い角が、まだ揺れている。
完全には、沈んでいない。
森の奥。
さらに濃い瘴気が、集まり始める。
(ケイタ……まだ来る)
「……本命は、これからか」
拳を握り直す。
戦いは、終わっていない。




