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第二章 3 森の奥――封じられた真実が揺らぎ始める

霧がゆらぐ。


ミイアは、淡い光をまとったまま、

ゆっくりとルカへ手を伸ばした。


だが――


触れる寸前で、その指先が震える。


ふっと、首を横に振る。


「やっぱり……ルカ、だよね……?」


声は、壊れそうなほど細い。


ルカは答えない。


強く唇を噛み、

視線を落としたまま動かない。


沈黙。


重い。


ケイタが一歩、踏み出す。


「二人は……前から知り合いなの?」


返事はない。


代わりに、ミイアが小さく笑った。


――悲しい笑み。


「知り合い以上だった……」


霧の向こうを見つめる。


「でも今は……どう言えばいいのかわからない……」


言葉の端が、かすれる。


ケイタは息を呑む。


この空気は、ただ事じゃない。


ミイアは、視線をルカから逸らさず、

ゆっくりと語り始めた。


「わたしたち……森の奥なんかじゃなくて……」


光が、かすかに揺れる。


「本当は、ずっと遠い場所にいたの」


ドクン。


ケイタの心臓が、不自然に強く脈打つ。


ミイアの声は、途切れ途切れ。


「毎日、意味のわからない薬を打たれて……」

「変な機械につながれて……」


光が揺れる。


「痛くて……怖くて……」


ルカの拳が震える。


「ルカが隣で泣いてても……誰も助けてくれなかった……」


霧が重くなる。


ケイタの喉が、ひどく乾く。


「……監禁、されてたのか?」


かすれた声。


ミイアは、ゆっくり頷く。


「うん……わたしとルカ」


一瞬、言葉を止める。


「そして……あと、五人」


霧が、ぴたりと止まった気がした。


「全部で……七人……」


その数。


その響き。


ケイタの脳裏に、あの日の声が蘇る。


――たすけて

――だれか

――たすけてよ


あの、森で聞いた声。


あの、異世界に引き込まれた瞬間。


ミイアの瞳が、ケイタを捉える。


静かに。


まっすぐに。


「……あなた」


一歩、近づく。


「もしかして……聞こえなかった?」


霊体が、微かに震える。


「あの日……わたしたちの“悲鳴”が……」


ドクン――!!


胸が締め付けられる。


呼吸が、一瞬止まる。


霧の中で。


七人の記憶が、


静かに、繋がり始めた。





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