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好感度が上がると殺されるらしいので、ヒロイン全員フラグを折って生き延びます  作者: 神楽 柚希


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第4話 転校生は未来を知っている(確信)

その転校生は、

最初から俺を見ていた。


朝のホームルーム。

担任が黒板に名前を書いた瞬間、

俺は嫌な予感しかしなかった。


「今日からこのクラスに来てもらう。

 自己紹介、どうぞ」


少女は一歩前に出て、

迷いなく言った。


「初めまして。

 神崎ルイです」


黒髪。無表情。

声に感情がほとんどない。


――ここまでは、普通の転校生だ。


問題は。


自己紹介が終わった瞬間、

彼女がまっすぐ俺を見たこと。


逸らさない。

瞬きもしない。


(……やめろ)


未来視が、反応しない。


見えない。

殺される未来が。


(見えないタイプが一番怖いんだけど)


空気を読まず、

神崎は続けた。


「……相沢ユウトくん」


クラスがざわつく。


「今日から、あなたの隣の席です」


偶然?

いや、違う。


これは――

指定だ。


「よろしくね」


そう言って、

彼女は初めて微笑んだ。


その瞬間。


――未来視、発動。


だが、映像は今までと違った。


血も、ナイフも、悲鳴もない。


ただ一言。


『次は、あなたが選ぶ番』


「……は?」


俺の声は、

自分でも分かるほど震えていた。


昼休み。


俺は一人になろうとした。

したのに。


「逃げなくていいの?」


神崎が、

いつの間にか後ろにいた。


「なにからだよ」


「決まってるでしょ」


彼女は首をかしげて言う。


「死亡フラグから」


――確信した。


この転校生、

完全に分かってる。


「……お前、何者だ」


「転校生」


「そういう意味じゃない」


神崎は少しだけ考えてから、

あっさり言った。


「観測者、かな」


最悪の単語が出た。


「未来、見えてるんだろ」


俺の心臓が止まりかけた。


「俺の能力のこと、知ってるのか?」


「うん。

 正確には――」


彼女は、

笑顔のまま言った。


「あなたが何回死んだか、知ってる」


……え?


「は?」


「今回は、だいぶ長生きしてるよ」


背筋が、凍った。


「ちょっと待て。

 “今回は”って、どういう意味だ」


神崎は俺の机に座り、

足をぶらぶらさせながら答える。


「文字通り。

 この世界、何周目だと思ってる?」


笑えない冗談だ。


だが――

生徒会長の言葉が脳裏をよぎる。


『今回は……まだ、早いわ』


「……ループ、してるって言いたいのか」


「うん」


軽い。


あまりにも軽い。


「ちなみに前回は、

 生徒会長ルートで三学期前に死亡」


「聞きたくなかった情報を!」


俺は頭を抱えた。


つまり何だ。

俺は、


モテる


殺される


やり直す


を繰り返している?


「じゃあ、どうすればいいんだよ」


思わず本音が漏れた。


神崎は、

少しだけ真面目な顔になった。


「簡単だよ」


「簡単って言うな」


「誰も選ばなければいい」


――それは、

今まで俺がやろうとしてきたことだ。


「でも無理でしょ?」


神崎は続ける。


「あなた、放っておくと

 勝手に好感度上げるタイプだもん」


ぐうの音も出ない。


「だから提案」


彼女は指を一本立てた。


「一人だけ、最初から選ぼう」


「……は?」


「選ばないから歪む。

 中途半端だから、全員壊れる」


その言葉は、

妙に説得力があった。


「誰か一人と、

 ちゃんと向き合えば」


神崎は、

意味ありげに微笑んだ。


「このループ、終わるかもよ?」


未来視が、

久しぶりに明確な映像を映した。


――誰かの背中。

――名前は、見えない。

――でもその先に、

 “死”はなかった。


(……マジかよ)


俺は理解した。


この転校生は、

攻略ヒロインじゃない。


――ナビゲーターだ。


そして選択を迫られているのは、

他でもない――俺自身。


なお、

誰を選ぶかで、

地獄の種類が変わるらしい。

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