第1話 好感度MAXで、俺は死ぬらしい
――その未来は、あまりにも具体的だった。
血の匂い。
夕焼けの教室。
泣きながら、ナイフを握る少女。
そして――
「ごめんね、ユウトくん。……でも、愛してる」
次の瞬間、視界が赤く染まった。
「……は?」
俺、**相沢ユウト(16)**は、自室のベッドの上で飛び起きた。
今の何だ?
夢……にしては、妙にリアルすぎる。
心臓がバクバク鳴っている。
喉が乾いて、手のひらが汗でびっしょりだ。
「悪夢か……?」
そう思った瞬間、
視界の端に“見慣れない映像”が重なった。
――朝の通学路。
――横に並んで歩く、幼なじみの篠原ミサキ。
――そして、彼女が俺の背中に包丁を突き立てる未来。
「……いやいやいや」
思わず声が出た。
ちょっと待て。
ミサキは確かに料理は壊滅的だが、人は刺さない。
慌てて目を閉じる。
深呼吸。
もう一度、目を開ける。
……見える。
今度は別の映像。
――放課後の教室。
――清楚で人気者の白雪ユキ。
――涙を浮かべて、俺の首を絞めている。
「全員、俺を殺しに来てない?」
混乱しながらも、俺は気づいてしまった。
どの未来にも共通点がある。
殺すのは女の子
全員、顔が真っ赤
そして必ず――
「大好き」「愛してる」と言っている。
……つまり。
「好感度、上がったらアウトじゃね?」
その仮説は、すぐに証明された。
その日の朝。
ミサキがいつもより距離近めで話しかけてきた瞬間、
俺の脳内に“未来の断片”がフラッシュバックする。
【好感度:MAX】
【結果:刺殺】
「はい離れる! 三歩下がって!」
「え、なに!? 私なんかした!?」
した。
未来で俺を殺した。
俺は悟った。
この能力は、
俺がモテる未来を教えてくれる代わりに、死因までセットで見せてくる。
つまり――
「生き延びたきゃ、モテるなってことか……」
簡単だ。
俺は平凡。
非モテを維持すればいい。
そう決意した直後。
「おはよう、ユウトくん。今日のその顔、ちょっと可愛いね」
白雪ユキが微笑んだ瞬間、
視界に映る“未来”。
――教室で、俺は首を絞められて死んでいる。
【好感度:上昇中】
「上がるな! 頼むから!」
こうして俺は、
恋愛すると死ぬ世界で、全力でフラグを折る日常を送ることになった。
なお――
なぜか折るたび、好感度は上がっていく。
……詰んでない?




