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ネモフィラの乙女戦士  作者: 七海美桜


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十一 パラレル・ワールド

 瞬きをすると、自分たちは宇宙にいた。

「え!? 宇宙!?」


 ありすの驚く声を聞きながら、宇宙の筈ないと翔惟は怪訝そうに辺りを見渡した。宇宙に、生身の身体で滞在できるはずがない。しかし、動画などで見た宇宙空間のような場所に、四人が浮かんでいた。麗空は状況を理解しようと、緊張した顔で辺りを窺っている。


「ここは宇宙であって、宇宙ではないわ。『私が飛べる空間』を覗いているだけよ」

 ディミトラはそう言うと、繋いでいた翔惟と麗空の手を離した。それを見て、彼女達も手を離した。


「この世界には沢山の時空があるという事を、あなた達は理解しているかしら?」

 沢山の時空? それはつまり、並行宇宙の事だろうか? 翔惟は怪訝そうな顔をしてディミトラに話しかける。

「つまり、俺たちが君を信じなくてここに来なかった世界線もあるって事だよね?」

「そう――あなた達と私がこうして『出逢わなかった世界』があるかもしれない、小さな頃から私たちが知り合っていた世界があるかもしれない。そもそも誰とも出会わなかった世界があるかもしれない――色んな世界が存在するの」

「つまり、並行世界の事かしら? パラレル・ワールドね」

 その言葉に、麗空が口を挟んだ。ディミトラは頷く。

「そう。理解してくれていて助かったわ」

「ボク達が出逢わない世界? そんな世界があるの?」

 ありすは、三人の話がいまいち理解出来ないようだ。

「例えば――そうね、ありす」

 麗空は、ありすが分かりやすいように説明をし始める。

「今私達がいる世界では、ありすがSNSに私たちの前世の事を書いてくれた。でも違う世界のありすは、SNSにそんな事を書かずに今まで通りの生活を送るの。分岐ルートが違うって言えば分かるかしら? あの時こうしていたら、違う世界だったかもしれない――そんな言葉を聞いた事ないかしら?」

 ゲームが好きなありすは、『分岐ルート』と言う言葉で何となく理解したようだ。ゲームの中にマルチエンディングがある、それと同じ事だろう。

「うん、何となく分かった。つまりボク達の今いる世界は、『前世を探そうとした僕たちが集まって、ディミトラに会った』世界なんだね。違う世界では、ボク達は出会ってないかもしれない」

「そうよ、そういう事」

 ありすも納得してくれたことに、ディミトラは安心したようだ。

「私は、色々な可能性の世界線を飛ぶ事が出来るの。ここからが大事な事で――私は、『オモルフォス』が存在しなくて『アリス、カイ、リラが存在している』世界線を、ずっと探していたの」

 ディミトラの真剣な声音に、麗空は不思議そうな顔になる。

「その条件なら、沢山あると思うけど――少ないの?」

「ええ、少ないわ。何故なら、裏切り者が私を捕まえてしまう世界線があるから――その世界線では、オモルフォスはこの時代にも存在していてあなた達は産まれていないから」

「そもそも、オモルフォスって島の事? アリスタイオスはボクの前世なの?」

 ありすは、話が進み過ぎていてまだよく理解出来ていないようだ。その言葉に、ディミトラがハッとしたような顔になった。

「そうね、順番に説明するわ。ごめんなさい、ようやくあなた達に会えたから嬉しくてつい……話を随分飛ばしてしまったわ」

 ディミトラは、少し困った顔をして両手で頬に手を添えた。彼女はしっかりしているように見えて、少しドジな所があるらしい。

「大丈夫だよ、ゆっくり話して」

 ありすは笑って、ディミトラを促した。麗空も「そうね」と微笑み、翔惟は真面目な顔で頷いた。

「本当はね――あなた達に会えて、私嬉しくて嬉しくて……でも駄目ね、ちゃんとしないと。まず、オモルフォスは島よ。私たちが生まれ育った島――えっと、この時代で言うイタリアとギリシャの間にある、大きな島なの」


 ディミトラの言葉に翔惟はカバンから世界地図が載った教科書を取り出そうとして――カバンが手元にない事に気が付いた。

「地中海の上……イオニア海かしら。そこには、そんな名前の島は確かにないわ。あったという歴史も聞いた事が無いわ。そんな歴史が残っていないほど昔なのか、書物がないのか……まさに、失われた歴史ね」

 麗空は、地理が得意なようだ。少し考えた後、そう言って首を横に傾げた。

「俺はよく分からないけど、麗空がそう言うなら間違いないだろうな。確かに、オモルフォスがなくて俺たちがいる世界線で間違いないな」

 世界の地図が全く頭に入っていないありすは、曖昧に笑って頷く。

「そうして、あなた達の事ね。リュコス()の戦士、カイロス。これはカイ、あなたの前世よ。ヴロヒ()の乙女、アンジェリキ。リア、あなたの前世。そして、レオーン(獅子)の戦士、アリスタイオス。アリス、あなたの前世。私はプテリュクス()の戦士、ディミトラ。私たちはアリスタイオスをリーダーとした、オモルフォスの英雄(イロアス)と呼ばれていたの。でも、裏切り者に負けた……五人目の、オドゥース()の戦士バシレオス。彼が、あなた達の前世の三人を殺した……かつて仲間だった、私達の敵よ」

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