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未熟な忍者と侮るなかれ!!  作者: ☆☆☆宮☆☆☆太郎
地下施設侵入編
6/11

絶対見返してやるんじゃからの!!

☆☆☆


「――じゃが、現状儂は主君のいない身、じゃから、お主を儂の主にしてやる。まぁ、あくまでも仮の、じゃがのう。

お主が儂の働き分の報酬を用意するまでお主に仕えてやる。


――よろしく頼むぞ?主殿」

「え?いや、そう言うのは…間に合ってます」

「え?」


二人の間に流れる沈黙。

左近は信じられない様に蓮を凝視するが、当の蓮は気まずそうにそっと目を逸らす。

因みに米太郎もなんと声を掛けていいか迷っており、口を開けては閉じてを繰り返している。間違いなく一番気まずいのは巻き込まれただけの彼だろう。

三者三様――抱いた気持ちは違えど誰も幸せにならない地獄絵図。


特に決め顔と決め台詞で告白紛いのことをした左近は顔からマグマを噴き出しそうな程に恥ずかしい想いをしていた。並みの人間なら走って家に帰り、三日三晩布団に籠っても可笑しくない程の大惨事だ。

けれど、左近は並みの人間ではない。雷電家の秘術を操り、幼少期から忍としての訓練を積んできた男。

その精神力は伊達では無かった。


「あ、あ~、まぁ、その、え?

えっと?え~、間に合ってるっていうのは、定員オーバー的なやつかのう。もうこれ以上乗れません的な?既に臣下の忍がいるからこれ以上雇えない、的な?


――そ、それなら!それなら!致し方ない!!

いやぁ既に忠臣がいるのなら、仕方がない。ま!儂ほどの忍となると雇うのも簡単ではないからのう。」

「いや別に忠臣とかはいないけど…

単純に急に仕えてやるとか言われても、困るっていうか、そもそも今日あったばかりでさ…そういうこと言う人って信用できないっていうか…君のこと嫌いって訳じゃないんだよ?でも、ねぇ」

「…ぁ、ぇ」

「そもそも仕えてやるって普通に忠誠の押し売りだし…金払えって急に言われて重たい感情向けられても…怖いんだよね。」

「ちょっ、ちょっと蓮君!!ストップ!ストップ!左近君の様子見て!!」


左近の精神力は伊達では無かった。伊達では無かったのだ…。常人なら三日三晩布団に籠っても可笑しくない状況から一度はプライドを取り繕いながら確かに持ち直していたのだから……例えそれが、現実から目を背けるようなやり方だとしても、彼は頑張った。

ただ、問題だったのは蓮があまりにも純粋で正直者過ぎた、ということだ。


「え?どうしたの?大丈夫?」


悪意はなく、善意100%で左近を気遣う蓮。けれど、その優しさが、純真さが、滲み出る人の好さが左近をより一層惨めにさせた。忍の家に生まれて、優秀な忍足れと幼少期から言われ続け、それに恥じぬ努力を重ねて来た。身長が平均より少し低いという努力ではどうしようもない欠点もあったが、その分小柄な方が有利に働く軽業にはより一層力を入れて鍛錬していたし、対人戦闘だって秘術を組み込めばそうそう負けないという自負があった。

つまり何が言いたいのかというと――左近は自分という存在を高く見積もっていたのだ。

とはいえ、それは慢心でも過信でもない。努力を積み重ねたうえでの自信ではあったのだが…今回蓮の言葉を受けて、その自信が粉々に折られてしまった。


「…」

「ごめんね。聞き取れなくて、もう一回言ってもらえるかな?」

「…返してやる」

「え?」

「見返してやる!絶対絶対見返してやるからの!


もう遅いからの!臣下に加えたいって言っても遅いからの!」

「あ、う、うん」

「…見返して、絶対ボクの家臣になって下さいって言わせてやるのじゃ!

絶対お前の家臣になるのじゃ‼」


言っていることは矛盾しているのだが、左近自身は気づいていない。ただ、確実に言えるのは最後の言葉が本音であるということ。そして、左近の心に本当の意味で火がついたということだろう。


左近は米太郎が気を利かせて貸してくれたハンカチで鼻を噛むと、服の袖で乱雑に涙を拭う。


「…作戦じゃ!作戦を言え!儂は何をすればいい!?何でもするぞ!!絶対役に立つぞ!!」

「え、う、うん、それじゃあ囮をお願いするね」

「分かった!完璧にこなしてみせるからの!!待っておれ!!」


蓮は突然やる気を出し窓から飛び出していこうとする左近を寸での所で引き留めると今回の作戦を説明していくのだった。


因みに余談ではあるのだが、鼻をかんだハンカチを米太郎に帰そうとした所、「そのハンカチあげるよ?」と言われたとか、言われてないとか…


☆☆☆


「報告します!ドローンが、一定区域凡そ八か所で使用不可となっています!」

「…なに?詳しく話せ」

「はい!ホテル街西地区サンボレホテルから半径100メートル、娯楽区画東地区ビンビンピンボールから半径100メートル、競技区画南東地区セイバーコロシアムから半径100メートル、商業区画北東区画パレットバレットから半径100メートル、そして、休憩小屋全区画で妨害電波が発生しています!ドローンが操作を受け付けません!」


(狙いは拉致された人間の救出!?

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。救出と見せかけた陽動の可能性も十分にあるか)


ここは警備兵統括基地の内部。現在は指揮を取っているリーダーとドローンの操作を任されている警備兵がこの場所に駐留していた。


「…現在、雇い主とお客サマ方は?」

「はっ!どちらも競技区画北地区にいます!」

「…分かった」


男は大きく息を吐くと無線の周波数を全部隊に繋がる緊急用のものへと変える


『警備兵全部隊に告ぐ、競技区画北地区に集まれ、そこで部隊を再編する。』

『『『『了解』』』』


無線の向こうから兵士たちの力強い声が帰ってくる。

依然として士気は高い。だが、指示を出したリーダーの表情は――、


☆☆☆


自由自在に空を飛び、広域的に索敵をするドローン。そんな鉄の鳥たちを地上へ引きずり落とす射手がいた。


《秘術・飛翔電鞭徹甲苦無ひしょうでんべんてっこうくない


対人用に設計された0.09㎜の透針ではなく、重さ一キロ、全長10cmの対物投擲用苦無の一撃がドローンを穿つ。

忍の用いる投擲技法《空渦》の威力を効果的に引き出せるように設計された徹甲苦無であれば300メートル先の鉄板にすら穴を開けることが出来る。勿論、血の滲むような鍛錬の果てに、だが。


兎も角、左近の一撃はドローンに突き刺さり、その動きを捉える。そして、地上から上空へと伸びる雷がドローンの動きを完全に停止させた。


「いたぞ!捉えろ」


――けれど地上から空へと伸びる雷など目立って仕方がない。敵に見つけてくれと言っているようなものだ。


(集まってきよった。集まってきよった)


左近は集まって来た兵士を前に敵前逃亡を選ぶ。得意の軽業で右へ左へ、上へ下へと縦横無尽に駆け回る。

動きが鈍れば蜂の巣に、選択を誤れば捉えられ、遮蔽物を使わなければ凌ぐことさえ儘ならない。そんな中でも怯むことなく大立ち回り。

左近自身実感していた。今日が一番調子が良いと。

頭の中の重りが外れたように思考が冴える。イメージ通りに体が動く。


相手も段々と左近の動きに対応してきているが、もう遅い。


「おい!よく見ろ!俺たちの体に糸が!」


敵の中には気づいた者がいたようだが、残念準備は整った。


(安全のための重装備が仇となったな。《秘術・幕電網(まくでんもう)》)


五指に巻いていた糸から電気を流す。逃げるふりをして縦横無尽に駆け回りながら弛むように糸を張り巡らせ敵を一掃する秘術がここに炸裂する。


(もう少し肌を晒していればここまで上手くは行かなかったであろうよ)


心の中でそう呟くと、左近は次の敵を見据える。派手に戦っているだけあってお代わりが早い。まるで椀子そばだ。

しかも忍者の技術は基本初見殺しの一撃必殺。その筈なのにこの大立ち回りの影響で相手はこちらの手の内を一枚一枚着実に攻略しながら押し寄せてくる。


(とはいえ、泣き言を言ってはいられんな。ここで活躍し、儂の有用性を示さねば)


左近は煙玉を用いて、姿を隠す。


「熱源感知に切り替えろ」


以前と全く同じ台詞。マニュアル化された動きのようだ。

今この場にいる全ての兵士が銃口をこちらに向けてくる。だが、マニュアル化された動きは迅速に行動に移せる分――、


(こちらも、対策を講じやすい。


《秘術・電光猛火》)


空間を白に染め上げる眩いばかりの電光と、肌を焦がすような電熱が辺りを支配する。

更に左近自身が雷を纏い行動している。熱源感知ではこちらの動きは探れまい。


勿論、だからといって相手の視界を封じられる訳ではない。ご丁寧にもあのゴーグルには一定以上の光を遮断するフィルターでもかかっているのか、隊長がゴーグルに手を掛けながら口を開く。


「総員!ゴーグルを外せ!」


その言葉に兵士たちもゴーグルを外す。

けれど、そこで問題が発生した。


「敵は一体何処に?」

「もう逃げたんじゃ?」

「いや、どこかに潜んでいるかも…」


兵士は忽然と姿を消した左近に不安の声を上げるが、唯一隊長だけがある可能性に気が付いていた。


「総員!この中に敵が紛れ込んでいる可能性が高い!念のため武器から手を離し、点呼を行う!良いな!」

「は、はい!」


真っ先に武器から手を離した小隊長の言葉に従い、武器を降ろす。それを見届けた隊長は一度大きく頷く。


「本当に武器を下ろすものがおるか!阿呆共!」


そして、隊長に扮した左近は透針を全員の喉元目掛け投げつけた。


《秘術・飛翔電鞭連撃迅ひしょうでんべんれんげきじん


実の所、隊長がゴーグルを外し、左近を目視した段階で左近は隊長を倒し入れ替わっていた。

ならば本物の隊長はどこで何をしていたかというと――《秘術・幕電網》で倒した兵士たちと一緒に仲良く伸びていた。


(ふぅ、次は…)


まだ、次の兵士たちは来ていない。今のうちに伸びている兵士たちに紛れて奇襲でもしようか?そう思っていたのだが、周りから完全に人の気配が消えている。

どうやら、作戦が次の段階に移行したようだ。


左近は蓮に聞かされた作戦内容を思い出す。


「良いかい、今VIPたちは競技区画北地区にいる。だから、僕と米太郎が妨害電波を発生させたら相手は必ずVIPの守りを固める。そして僕たちはその間に囚われた人たちを解放する」

「それを相手が予見している可能性はないのかの?」

「読んでいても読んでいなくてもそう動くしか道はない。ボクからしても敵からしてもここまでの動きは予定調和さ」



次話投稿は未定です。ただ、今週中には投稿したい

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