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1 独白
この物語はもともと縦読み形式で執筆していましたが、現在、横書きでも読みやすいように編集を進めています。
現在は第3話まで改稿済みです。以降も順次更新予定ですので、お楽しみいただければ嬉しいです。
独白
死にたいわけじゃない。けれど、生きたいとも思えなかった。
病とは、名前を与えられて、はじめてその輪郭が見えてくるものだと、わたしは悟った。
きっと、この気持ちにも名前があるんだろう。
でも、それが何なのか。
誰にも話せないまま、大人になってしまった。
窓辺に置いたモンステラの葉が、朝の光に濡れていた。
雫が一滴、葉の先から、音もなく落ちた。
ただ、それが綺麗だったから――。
それだけの理由で、わたしは今日も生きている。