変わり世界
GW企画最終日
貴方は勘違いをする
世界は常に表裏を見せている。
人も物も二つの側面を常に持っている。
この世界には、12の理が存在する。
一つ、7つの種、7つの世界、7つの属性は無によって繋がる
一つ、神は世界を創る
一つ、虚無は世界を歪める
一つ、生まれながらに種は神より知と個を授かる
一つ、生まれながらに獣は虚無より渇望と全を授かる
一つ、神が定めし大罪は7つ
一つ、虚無の定めし希望は7つ
一つ、世界は柱と種、言の葉により紡がれる
一つ、神は盤外を求めず
一つ、虚無は静寂を求めず
一つ、選択は運命によって決められず
一つ、ただ始まりも終わりも定められぬ
誰しもが生まれながらに知りつつ、意味を理解することなく死んでいく世界。
「僕の前に世界は創られる。」
「俺の前に世界は破壊される。」
「うぅん・・・。」
目覚ましが鳴り響く部屋で男は朝日を浴びながら目覚める。
男の名は、葉鹿 綺桜。王立第七魔導大学に通う貴族の次男である。
「キクラ様、本日のご予定は午前より第2校舎にて近未来魔導学の講義、第5隣接世界魔導歴の講義が控えております。また、先程、リルシア様より、ご連絡があり、昼食時に話したいとの事。」
綺桜は、立体映像の話を聞きつつ、コーヒーを口にする。
窓の外には、空を突き抜けるビルが点在する町並みが見えており、時折、乗り物で空を舞う通行人も発見する。
「返事をしておいて下さい。リサに『了解しました。少し遅れるかもですが、12:30に第2校舎の屋上で』と。また、午後に昨日の寝る前に考えた術式を確認したいので、デバイスにインストール出来るように魔法陣の数式化しておいて下さい。」
「了解しました。キクラ様、本日も元気にお過ごし下さい。」
立体映像が消えると綺桜は、朝食を済ませて、スケートボード型のホバー車をデバイス操作で出す。
ここは、7つある世界の中でも、人族を中心とした第4世界、その中で最も他世界との交流が盛んな都市グレイ。10の区画と12家の貴族により統治される都市である。
「近代魔導において、個人の個【パーソナル】を正しく理解することは重要となります。では、ここで個【パーソナル】についてのおさらいです。個【パーソナル】は、神に創られし7種、人、獣人、森人、鉱人、小人、巨人、魔人が生まれながらに与えられた個人の能力です。その能力は千差万別、遺伝子にさえ左右されぬものです。そんな個【パーソナル】ですが、成長に応じて階級があります。さて、ではこれを君、答えてみましょう。」
先生が教室を見渡して、隅に座る男子生徒を指さす。
「はい。個【パーソナル】は、8つの属性に分かれる属性【エレメント】、個の象徴となる題【タイトル】、象徴の差分化となる概念【コンセプト】、その人の人生を示す最終章【エンド】です。」
「OK、その通り、基本的に題【タイトル】までは、同類のものもそこそこ見つかるが。概念【コンセプト】は、まず他人と被ることがない。そして、最終章【エンド】に関しては世界でも一握りのものだけが到達できる。・・・」
その後も近代魔導の講義は続いた。
「それで、綺桜くん。そろそろ、決めた?」
屋上で可愛らしい男の子と綺桜は弁当を食べていた。綺桜がどこか頼りない守りたくなるような黒髪イケメンならば、リルシアは、まるで少女と見間違うほど小動物な男の子。
「僕は、次男なんだしいらないのに。」
「そうはいきません。綺桜くんは、この都市の統括にしてこの世界の統治をする評議貴族の一つ、葉鹿家の子供。当主を引き継がなくとも、次期当主のお兄様を補助する立場となります。」
「だからって、このご時世に専属使用人って・・・。」
高いAI技術の発展により、ほぼ自動化が当たり前になった日常生活で、葉鹿家のような評議貴族では、分家の次男以降、次女以降の子供が使用人として本家の子供に就けられる。
リルシアも使用人の一人であり、綺桜が高校になるときに専属使用人となった。
「なんで、僕はスパっと決めて、異性だと5年もかかっているんですか。僕は仕事の代行で昼間はこの学校に居られないのですから。」
リルシアは、綺桜の5歳上であり今は綺桜の仕事を代行している。
「まぁ、今日の夜も資料に目は通しておきます。」
「お願いします。」
綺桜の帰り道、黒スーツの集団がつけてくる。綺桜はわざと路地裏へと移動する。すると黒スーツの集団が囲う。
「で、お前らは、どこの家に雇われたんだ?」
「・・・。」
「無視、いや、もしかして身代金目的の犯行か。」
「「「・・・、【タイトル】『迷走』を始める。」」」
「「「・・・、【タイトル】『状態』を始める。」」」
「「「・・・、【タイトル】『武装』を始める。」」」
黒スーツの集団が、手首のデバイスを触ると各々が属性のオーラで形成された個【パーソナル】を展開する。
「はぁ、【タイトル】『賛美』を始めます。」
綺桜が、イヤカフに触れながら唱えると白く燃えるオーラが全身を包む。オーラは穏やかに燃え、時折柔らかな光を放つ。
黒スーツの集団が襲い掛かるとオーラが形を変え、綺桜を守るように盾を形成する。
「案ずるな、奴の個は自動防御は出来ても攻撃はできん。魔力を使い切るまで攻撃を続けろ。」
「はぁ、無知は罪ですよ。これのどこに尽きるという上限がある?」
こめかみに手を置くとその莫大な魔力の片鱗が拡散する。それはまさに世界そのものをぶつける様な膨れ上がり方をする。
「なっ!????」
「本当に、なぜ綺桜家で一番手を出すべくでない方に手を出すのか。」
「遅いですよ、リサ。」
魔力に狼狽えるスーツの集団の後ろには、携帯デバイスをにぎるリルシアがいる。その周りには銀の鎖がオーラとなり浮遊している。リルシアがデバイスを操作すると黒スーツの集団を鎖が縛り上げる。
「後処理は僕がします。綺桜くんは、早くご帰宅をご当主様がお呼びです。」
「もしかして、・・・。」
「えぇ、例の件です。」
気怠そうに歩き出す。先ほどまでの魔力は欠片も感じられない。
「全く、流石は現セブンですね、綺桜くん。」
明日も続くGW企画
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この作品の運命は、君が決めよう!
いつもはYouTubeで活動してます。
別投稿作品の「神々の観る世界 神々に魅せる世界」の裏話や挿絵、紹介動画なんかもしていくつもりなので、そちらも見に来てください。
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