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幼なじみ

作者: 葉沢敬一

毎週日曜日午後11時にショートショート1、2編投稿中。

Kindle Unlimitedでショートショート集を出版中(葉沢敬一で検索)

僕の幼なじみの美咲が、ある日突然、蛙になった。小学校の頃からの付き合いで、僕らはいつも一緒だったのに、まさか彼女が両生類になるなんて思ってもみなかった。


「カエルになっちゃったんだよ!?」とパニックになる僕に、美咲(蛙バージョン)はぴょんとジャンプして僕の顔をぺちんと叩いた。


「なによ、そんな大げさな顔しないでよ。私は私だよ!」

いや、そう言われても目の前にいるのはどう見ても緑色でぬめぬめしてる。しかも、目がくるくる回ってる。そんな彼女を見て、昔の人間だった頃の美咲を思い出す。あのつぶらな瞳。今は丸くて大きく、舌もやたら伸びる。


「お前、どうして蛙に……?」


「いやあ、神社でお祈りしてたら、ついポケットからスマホ落としちゃってさ、踏んじゃったんだよね。それで願いが叶わなかったどころか、このありさまさ」


スマホを踏んだらカエルになるって、どういう祟りだよ! と心の中で突っ込むが、目の前の現実は変わらない。


「まあまあ、そんな深刻な顔しないで。私は平気だよ。それに、これは一時的なものらしいからさ」


「一時的?」と、僕は少しほっとする。「いつ治るの?」


「うーん、100年くらいかな?」


「はあ!? 一時的って感覚おかしいだろ!」


美咲はケロケロと笑って、ジャンプして僕の肩に飛び乗った。「でもさ、今のうちに言っておきたいことがあるのよ。100年も待たせるのは悪いからね」


「な、なんだよ?」


「ずっと好きだったんだよ、あんたのこと。まあ、カエルの姿じゃ説得力ないかもしれないけどさ」


そんな風に言われると、僕の心は複雑だ。確かに、彼女はカエルだ。ぬるぬるしてるし、見た目もかなり変わった。でも、内面は昔のままだ。昔の可愛くて、気が強くて、そしてちょっとおっちょこちょいな美咲だ。僕も彼女に惹かれていたのは間違いない。だけど、蛙になった彼女をどう受け止めるべきか。


「俺も……その、昔からお前のこと好きだったよ。でも、なんだろう、今お前は……」


「カエルだよね、わかってるわかってる。でも、問題ないよ。100年待ってくれたら、また元の私に戻るから!」


100年って気が遠くなるような時間だ。それでも、美咲は僕を見つめている。カエルの目で。僕はその目を見て、少し考えた。


「まあ、俺も長生きしてみるか」


「そうこなくっちゃ!」


その時、突然、美咲の体が光りだした。


「なんだ、これ!?」


「やっぱり、告白されたら解除される呪いだったのかもね!」美咲が元の姿に戻る――はずが、次の瞬間、そこにいたのはなんと巨大なカメだった。


「え、ちょっと待って! 何これ、話が違うじゃん!」


「まあ、いっか。カメだろうが、100年でも、1000年でも、私はずっとお前と一緒にいるからね!」


僕は頭を抱えながらも、なぜか少しだけ笑ってしまった。なんだ、これが僕らの恋の形なのかも。


「1000年か……ちょっと長いな」

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