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ビジネスヒロイン部〜王子も無口もツンデレも、もちろん美貌のフェロモン公爵令息も、まとめてヒロイン引き受けます〜  作者: たまころ
第四章

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9

 中間考査が終わり、順位が貼りだされた。

 正面玄関を入ってすぐのスペースに、各学年の総合上位二十名、各学科の上位十名が貼り出される。


 エルザは無事、総合でも各学科でも、すべて一位に輝いた。自分の順位より先に、エルザの結果を確認したジルが満面の笑顔でエルザを見る。


「エルザ、おめでとう」


 ジルの大きな手が、エルザの頭を優しく撫でてくれた。


「ありがとうございます」


「放課後は、みんなでお疲れ様会しようか」


「はい!!」


 ジルの提案に、エルザは大きく頷く。

 中間考査前の生徒会活動禁止の間は、エルザは寮で一人で勉強していて、中間考査期間中は生徒会室でジルと二人だけだった。久しぶりに生徒会メンバー全員で集まる放課後が楽しみだ。





 その日の食堂でのアルバイトを終え、エルザはいつものように生徒会室に向かった。

 すでに生徒会役員、全員が集まっており、ジョルジェットが用意した大量のお菓子をテーブルに準備しているところだった。


「エルザ~、総合だけでなく、全科目一位でしたわね~」


「お、頑張ったな」


「……ビーフジャーキー?」


 ハインリヒは甘いお菓子の中に、ビーフジャーキーを発見して困惑している。ロビンがおすすめの新商品を紛れ込ませていたのだ。


「はい、エルザ」


 ジルはさっそくエルザの口にビーフジャーキーを入れてくれる。

 しょっぱくて美味しい。いつまでも噛んでいられる。


 久しぶりに自分の手からエルザが食べ物を摂取した喜びを、ジルはジーンと噛み締めていた。


「あ、ずるい、私のビーフジャーキーも食べろ」


 ハインリヒが自分も、とエルザの口元にビーフジャーキーを近づけるが、なかなか嚥下できないエルザは首をフルフルと横に振る。


「諦めるんだな、ハインリヒ」


 なぜか勝ち誇った顔のジルに腹が立つ。


「ちっ、しょうがない、お前が食べろ」


 行き場を無くしたビーフジャーキーをジルの口に突っ込む。ビーフジャーキーを口に咥えたジルは、なんだかいつもより妖艶で目に毒だった。


「こっちを見ないでください!穢れてしまいます!!」


 オリバーはジルから目を逸らし、エルザの目も自分の手で塞いでやる。


「あら~、本当。イケますわね~」


「だろ」


 ジョルジェットとロビンは、そんなやりとりをビーフジャーキーを噛みながら見学している。


 久しぶりに全員が揃った生徒会室は賑やかで、生徒会室の外まで、その声は漏れるほどだった。





「生徒会は全員成績いいから、順位発表見ても浮かれられていいよな」


「俺、今回の試験結果、親にバレたらヤバイって」


 生徒会室から聞こえる楽しそうな声を尻目に、これから部活動へ向かう男子生徒たちは憂鬱そうだ。


「生徒会手伝いの特待生の子、平民だろ。なんで家庭教師もつけないで全教科一位なんだよ」


「しかも満点て出来すぎだよな。試験問題、事前に手に入れてたりして」


「あ、俺、放課後にあの子が試験問題入るくらいの大きさの封筒、持ってるの見た」


「いや、つっても、なぁ」


「そういえば、中間考査期間中の放課後、生徒会長と特待生の二人、ずっと生徒会室に籠ってたって噂になってたよな」


「勉強しないで、違うことしてたりして?」


「お前、バーカ」


 ギャハハと笑いながらくだらない話をする男子たちの声は大きく、それを聞いている生徒は多かった。


 学院では、生徒会役員のお気に入りであるエルザを、平民のくせに、と妬む者。彼女に成績で敵わず腹を立てている者、自分の憧れのジルやオリバーに気に入られているエルザに嫉妬する者。

 少数ではあるが、生徒会役員であり、高位貴族のジル・クリスターを蹴落としたい者、様々な学生がいる。


 そんな生徒たちの口から口へ噂話は広がり、その日のうちにその噂は拡大解釈をされながら、学院中に広まった。


 噂話をした本人たちの預かりしらないところで。


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