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#13 あたしが悪いの?

十三話目です

           ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「だからな。Aクラスの連中にも、ピンからキリまで能力差が有るって事は判ってるだろ?」

「まあ、一応、ついこの前までは、そのクラスを目指してましたから」


 漸く、場が落ち着いて説明が始まった。支部長の問い掛けに答えるマイク職員は落ち着いている様で有る。


「なら、暫定的に、Aクラスの中堅どころをAA(ダブル)。その上をAAA(トリプル)。更に上の連中を(スペシヤル)ランクなんて呼び方してるのも知ってるよな?」

「実在してるんですか? 都市伝説化なんかだと思ってましたが」

 続いた問いかけにもすんなりと答えを返す。まあ、噂だと思っていたランクが実在すると聞いて、若干の驚きを見せては居るが。


「まあ、俺はそのトリプルなんだよ。ほれ。裏に印が入ってるから見てみな」


 そう言いながら、マイク職員の前に、自分の登録証を無造作に放って見せるジャスパー支部長。マイク職員は、言われたとおり、投げ渡された登録証の裏面を確認する。縦三十ミリ、横四十五ミリほどのカード型である登録証、金色の登録証自体が、既にAクラスの証ではあるのだが、左三分の一ほどの面積を専有して、其処には、クラスを表すAの文字と、その上に赤い縁取りの金色の星が三つ。どうやら、この星がトリプルである事を表しているらしい。


 黙って、その星を示して、視線で問い掛ければ、支部長の頷きが返ってくる。間違い無い様だ。


「エイミ、見せてやってくれ」

「えー? 一昨日、散々見てた筈なんだけどー?」


 文句を言いつつも、素直にマイクの前に、自分の登録証を置いて、裏面を確認させるエイミ。其処には、エイミのクラスであるCの文字。そして、文字の右側、残り三分の二の部分に簡単なステータスの表記と、登録証の左端、Cの文字の横には、金色の星が五つ、縦に並んでいた。


「その金の星、指で触ってみな」


 ジャスパーに言われ、そっと指をはわせるマイク。

「何も…感じない? 描き込んだり貼り付けてある訳でも、彫り込んで有る訳でも無い? どうやって…?」

 言葉の通り、指先には、何の感触も得られなかった。只、なめらかな登録証の表面が感じられるだけである。


 一昨日の、エイミが活動を再開するという報告に現れた時に、初めて顔を合わせた二人であった。始めは、事務的に相手をしていたマイクだったが、女性を意識させずに、気さくに話を振ってくるエイミのペースにいつの間にか巻き込まれ、気が付いた時には数年来の友人の様に話をしている自分に気が付いて、酷く驚いたものだった。と思い出す。そして、確認作業の折に、この星に気付いては居たのだが、その時には、登録証の飾り付けに、自分で何か貼り付けたんだろうと判断していた自分を思い出す。別に、登録証自体を変形させるようなことさえしなければ、特に問題は無いのだし、偶に、塗料で妙な色彩に着色していたり、パーティーを表すマークを書き込んでいる冒険者も見かける。裏面のステータスや、クラスの表記が読めなく為っていなければ問題は無いので、その一例だと勝手に判断していたのだ。塗料で描いていようとも、何か貼り付けているのだとしても、触って何も感じないという事は有り得ない。ましてや、彫り込んで、何かの素材を埋め込んであるにしろ、多少の違和感が感じられるはずであるし、其れをしてしまえば、登録証の改変に当たるため、ペナルティものである。確認しなかったのは失敗だった。と酷く後悔をするマイク職員であった。


「其れ、魔法で描き込んであるんだよ。俺のカードの星も同じだな。ステータスやクラスは彫刻なのにな。只、自分で何か追加して彫り込もうとしても、不可能だけどな。どんなに力を込めても傷一つ付かないんだよ。登録装置で書き換えや追記するのは簡単にできるのにな。不思議だぞ」


 ジャスパー支部長からもたらされた登録証の特性について、後悔の念がぐるぐる巡っていて、危うく聞き流しそうになったマイク職員、慌てて、今聞いた台詞を反芻して、唖然とする。そんな特殊なものを登録証として使っていたのか。と。


「だから、表記内容の変更はギルド職員にしか出来ないんだ。使ってて、傷が付いたり摩耗したりしないの、不思議に思わなかったか?」


 と、特大の爆弾が投下された。鋼の塊である刀剣類であっても傷は付くし、研げば摩耗する、長く流通した硬貨の類いも角が取れて丸くなってくる。言われてみれば、登録証に傷が付いたとか、変形したとかいう話は聞いた事が無かった。今、言われるまで、そんなものだと気にもしていなかった事に気付いて、愕然とするマイク職員。


「まあまあ、脅かすのはその辺で。ギルド職員でも班長以上で無きゃ教えて貰えない事なんでしょ? 知らなくても無理ないよ」


 追い打ちであった。エイミにしてみれば、庇うつもりで掛けた言葉だったのだが、教えて貰ってないのだから気付かなくても当たり前と言われてしまい、自分の観察力の平凡さに思い至ったマイク職員。両の掌で顔を覆って俯いてしまう。


「あーあ、とどめ刺しやがったよ」

「エイミ、酷いー。なんだよ」

「えー? 此、あたしが悪いの?」


 ジャスパーとルーに批難され、悲鳴を上げるエイミ。再び、部屋の中が混沌とした様相を呈してくるのだった。勘弁して欲しい。話が進まねー!

「「「お前がゆーな!!」」」

 済みません。


「…他に、どなたかいらっしゃるんですか…?」

「「「判んない!?」」」


 幾分持ち直し、ゆるりと顔を上げたマイク職員の問いに、一斉に首を振る三人。その後、今の当人達にとっては意味不明な会話に、四人揃って首を捻るのだった。…危なかった。

十四話に続きます

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