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#10 その情報! 詳しく!!

十話目です

           ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 お昼直前、街に到着したその足で、冒険者ギルドの建物へと向かう二人。ギルドの入り口を潜って、其の儘飲食コーナへ突撃する。一昨日、ルーの登録と、エイミの復帰に関する処理を担当した受付の男性が、その姿を見つけてカウンターから離れ、二人の陣取って席までやって来た。


「エイミさん。ギルド支部長がお話が有ると言ってるんですが、お時間を頂けますか?」

 柔らかな物腰で話しかけてくる。身長は百八十センチほど。赤い髪で紫の瞳。肌は白く結構なイケメン。歳は、四十歳に届くかどうかといった外見で、ギルドの制服の下には筋肉質の肉体。歩く時に、多少右足を引き摺る傾向があるのは、過去の冒険者活動で受けた怪我のためと、一昨日の雑談で聞いた。ギルドの職員へと転職を決めた原因でもあるという。最終ギルドランクはBだそうだ。


「お昼の後で良いならOKだよ」

「エイミさんのご都合でお願いします」

 あっさりと了承されたので、其の儘食事を開始するルーとエイミ。職員は、元いた受付カウンターへと戻っていく。

 その後、小一時間ほど。のんびりと昼食を終えた二人が、受付カウンター脇の職員用通路を通って先ほどの職員に声を掛ける。


「マイクさーん。支部長の部屋で良いのかな?」

「あ、今ご案内しますよ?」

「へーきへーき。慣れてるし」

「はぁ?」

 片手をぷらぷらと振って、案内の申し出を断るエイミに、マイクと呼ばれた先ほどの職員は、慣れてるってなんだろう。と考え込んでしまう。その間に、勝手知ったる、と言った足取りで、階段を上がって、二回にある支部長の部屋へと向かうエイミと、その後をくっついていくルー。


「いや、待ってください。エイミさん! 今支部長書類仕事を…」

「ジャスパー君こんちはー。呼ばれたから来たよー。何か楽しいお話かなー?」

「あぁ。待ってた。其処に掛けて、ちょっと待ってくれ。この書類だけ先に片付けるから」

「はーい」

「えええええぇ??」

 勝手にドアを開けて、遊びましょーっとでも言い出しそうなお気楽極まる挨拶をしながら部屋へと突入するエイミと、其れが普通の対応の様に、ごく自然に受け入れている支部長に、マイク職員は呆然として支部長室の入り口前で固まってしまった。そんな彼を指差して、ルーは爆笑していた。酷い。


「其れじゃぁ、支部長。後はお願いします」

「あぁ、お前も其処に座って待っててくれ。序でにこのお嬢さんの扱い方、説明しとくから」

「酷い! あたしのこと、道具扱いしてる!」

「いや、便利で助かるよ?」


 気を取り直し、部屋を出て、受付に戻ろうとしたマイク職員だったが、ジャスパー支部長に呼び止められてしまう。その理由というのが、エイミの扱い方という、人をまるで道具の様な扱いとも受け取れる雑な説明。エイミがすかさず抗議するが、さらりと流される。


 そして、流されるままに、応接セットのソファへと腰を降ろしたルーとマイク職員。エイミは、と言えば、勝手知ったるなんとやら其の儘に、勝手に人数分のお茶を煎れ、茶菓子を引っ張り出してテーブルへと持って来る。其れを見たマイク職員が、慌てて替わろうとするも、

「もう準備出来たから、だいじょーぶ」

 と、手を出す暇は存在しなかった。自身がしなければいけなかった仕事を、客である栄美に任せてしまったと、がっくり肩を落とすマイク職員。其処へ、追い打ちを掛ける人物がいる。


「まだまだ修行が足りない様だな。冒険者の時とは違った気配りだからな。慣れて貰わないといけないんだがね」

 一束の書類を手にやって来たジャスパー支部長だ。マイク職員はと言えば、がっくりと落ち込んで項垂れている所である。

「まあまあ、こういうのは、適材適所って言うし」

 慰めにも何にもならない台詞を吐き出すエイミ。此の状況では、君、職業選択間違ってるよ? と指摘することになっている事実に、気が付いていない模様。


 そして、煎れて貰ったお茶を一口含んだ支部長が一言。

「あ? いつもの茶葉だよな?」

「え? 知らないよ? いつも通り、其処の棚の葉っぱ使っただけだよ?」

 そう答えながら、自らも一口、お茶を口に含んで表情を変えるエイミ。


「…美味しくない…」

 そう呟いて、じっとカップを睨む様に見つめる。そう。美味しくないのだ。不味くも無いのだが、まるで一般家庭で煎れられたお茶の様に。


 その隣で、既に、カップのお茶を飲み干して、菓子盆に並んだ取り取りのお菓子を食い散らかしていたルーが、ポンッと掌を合わせて指摘する。

「そう言えば、エイミ。スキルレベル弄って、元に戻したの? なんだよ」

「あ!!」

 指摘され、口元に掌を当てて叫ぶエイミ。今朝の食事を作る前に、ごく一般的な料理が出来るレベル。要するに、最低限のスキルレベルに変更したままで有ったことを思いだしたのだ。


「「その情報! 詳しく!!」」

 次の瞬間に、ギルド職員の二人が食いついた。入れ食い状態だ。爆釣疑いなし! と言う勢いだ。今は、まずめ(・・・)の時刻では無いというのに…

「あはははははははははははははははははははは」

 ルーは、ソファーの上で丸くなって爆笑を開始した。

十一話に続きます

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