表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/71

付加価値

いつも読んで頂き、ありがとうございます。こちらの都合で申し訳ありませんがプロット見直しのためこの回で一時休止させて下さい。再開の時は活動報告、ツイッターで連絡します。

「そうなると子供ができない人は積極的に葬式に出た方がいいということですか」


「子供が欲しいという気持ちを持って参加すれば確率は上がると思いまーす。それは自分の祖先からの転生ではありませーんがシュードラの場合は問題ないと思いまーす。抜け出た霊は弔問にくる人の香典を見まーす。金額の多い人の背後霊として宿るためでーす」


「そんな欲望むき出しのものなのか」


「というより転生自体が欲望の塊なのでーす。転生する霊にとって金持ちの家に生まれるか貧乏かは最重要事項でーす。香典以外にその人が裕福かどうかはどうやって確認するのでーすか。香典をたくさん包むのは見栄のためだけではありませーん」


 脇道に入ってしまったが面白い話が聞けた。毎回思うのだが横道にそれる度に本題を忘れてしまうが今回はディスプレイに表示されていたので聞かずに済んだ。


「考えていても答が将来のこととなると見えてこないので何かを例に取って進めていこう」


「自動車がいいと思いまーす。当社の製品もありますし裾野が広くて関連が多いでーす」


 車好きの麦原らしい選択だ。違う観点から意見を言ってみた。


「創業は電子パーツの端子だったはずです。一貫して使われているオーディオ関連が最適です」


「ふむ」

小村と桐島を見る「江留は両方とも知っているはずだから他の女性二人に聞く。どちらの部品がイメージしやすい」


「たしか車のリアコンビネーションランプが当社の製品だったと思います。イメージのし易さから言えば自動車です」


「私は」

声がかすれていたのであわてて唾を飲み込む「パソコンと音響機器をハーネスでつなぐことがありますので、機能としてはオーディオの方が分かりやすいです」


 きれいに分かれた。


「大水はどうだ」


「車だよ」


 選択肢を提供したという義務を果たしたことで満足するしかない。


「一つ目の課題の結論から言えば新しい分野を切り開いていくのがドヴィジャの役割だから、少し過去に戻って自動車とオーディオを組み合わせる発案について考えてみよう」


 上手く拾い上げてくれた感じだ。


「それがドヴィジャによって発案された場面を考えればいいのですね。ラジオの場合は必要から生まれたと思うのです。旅先で何もない山道を走ろうとする場合、大雨が降れば通行止めになるかもしれない。直前まで来れば道路情報などは掲示されるかもしれませんが引き返すことを考えると少しでも早く知りたい。そういったニーズがあったのだと思います」


「音楽の場合はどうだ。今は見ることもないが当初は一般に使われているオープンリールや新しく誕生したカセットテープではなくエイトトラックという専用規格だったと聞く。車自体が雑音の発生源であることに加えて振動を拾うからテープのスピードも安定しない。そもそも音楽などかけていたら危険を察知することができず事故になりかねない」


「それでも当時の若者たちは熱望したはずでーす。それがあるだけで旅が格段に楽しくなるからでーす」

「しかしさっきも言ったように必然から生まれたわけではない」


「必要だったと思いまーす。誰かが考えるまで知らなかっただけでーす」


 肩に手が触れた。


「ねえ、こんなことしていて本当に結論が出せるの」


「分からないです。前回もこんな感じだったし、もっといい方法があるなら提案してもいいと思いますよ」


 香取と小村も何やら話をしている、同じ疑問が湧いたのだろう。小村が両手を肘で曲げて広げたら、すぐに香取の手が挙がった。


「このやり方で答が出せるのか」


 羽黒がニヤッと笑った。


「もっといい方法があるなら提案してくれ」


「もっといいかどうかは分からないが範囲を小さくし過ぎじゃないのか」


「概論で検討しろというのか。それじゃ共通のイメージを構築することができん」


「しかし今検討している項目が的を外していたら」


「分かるところまで戻ればいい」


「だからそれが遠回りではないかと危惧しているんだ」


 前回も最初に宗教を確定するとき絞り込みすぎて失敗した。


「的を外しても検討した内容は他でも使えます。解法のプロセスを探しながら進めていると思えばいいのではないですか」


「銀山の言う通りだ。他にいい方法があるなら提案するなり別で進めるなりしてくれればいい。時間もないから具体案がないならこのまま進める」


「しかし」


「何を焦っているんだ」


「答が出せないと銀山が飛ばされると聞いたからだ。自分が報告会に出られるなら責任は自分にありますと言えるが次長からは出るなと言われた」


「仮に銀山が飛ばされたとしても、それは本人の行動が原因だ。香取さんが責任を取ることではない」


「久史氏の面談に行かせたのは自分だ。任命責任がある。次長がフォローしてくれればいいが」


「それはない」

断言した「理由は分かった。できるだけ急いでやるようにする」


 それにしても香取がそこまで僕のことを心配しているとは思わなかった。議事を進める能力は多少問題あるが立派なリーダーだと思う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ