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第六話 《雷神》トール


「こちらが冒険者カードです!」


 俺、というよりもフレアの完全勝利によって、試験は終了した。

 その後は冒険者達に褒め称えられた。

 ありがたいが、流石に手の裏を返し過ぎだ。フレアがキレそうになって大変だった。


「ああ。ありがとう」

「今日は何か依頼を受けていきますか?」

「そうだな、フレアと相談して決めるとするよ」

「そうですか。何か受けたい依頼があれば、私に教えてくださいね」


 さて。何か適当な依頼でも受けてみるか……。


 とクエストボードに向かおうとすると、フレアに止められた。


「主人殿。一つお願いがあります」

「お願い? なんだ?」

「私の他にもう一人、配下を加えてもらってもよろしいでしょうか?」

「ふむ。なんでだ?」

「はい。私一人では主人殿を守れるか分かりませんし、単純な物量で押されれば、私でもそちらに集中しないといけません。後は帝龍クラスに襲われれば、私でも守れるか分かりません。無論、死ぬ気で戦いますが………」


 いや、そんな事はそうそうないと思うけど………。いや、もしかするとあるかもしれない。なら仕方ないな。うん、仕方ない!

 別に新しく美しい骨をしてる仲間が欲しいとか、そんなことは全然思ってないぞ! 本当だからな!


「なるほど! なら、なるべく良い骨をしてる人を探そう!」

「………良い骨をしてるかは分かりませんが、一人だけ心当たりがあります」

「何だって!? それは一体……」

「元Sランク冒険者《雷神》トール・キャノンスターです」







 俺達はとある場所にやってきた。

 そこは一日で数十万回も落雷が落ちる、かつてブランヤーツ草原と呼ばれていた場所だった。


「……凄いな」

「はい。私がかつて来た時よりも雷の威力も上がっているようです」


 この光景を見て驚愕を受ける。

 それに、フレアがかつて来た時よりも雷の威力が上がっているらしい。


 何故この土地が、こんな風になったのか。

 それは俺たちがここにやってきた理由に関係している。


「本当にここに《雷神》トールの骨が埋まってるのか?」

「はい。元々、この土地がこんな風になったのも、彼女のせいですから」



 百年前。

 フレアが騎士団長として、まだ生きていた時代だ。

 当時、《雷神》トール・キャノンスターはSランク冒険者として、とある依頼を受けたらしい。

 それが、雷竜の群れの討伐。

 雷竜は通常種の竜の中で、最も強いとされている種族だ。その群れにトールは単独で立ち向かった。

 当時では珍しく、トールは単独ソロの冒険者だった。

 そして、激突する両者。

 《雷神》トールはその名の通り、雷属性の攻撃を得意としていた。武器の神器ミョルニルを振るい、雷竜の硬い鱗を破壊し、いかなる雷を無力化した。

 対して、雷竜はトールの雷耐性の強さを知りながらも、雷での攻撃を選んだ。一人でダメなら、二人で。二人でダメなら、三人で。数十を超える雷竜の電撃に流石のトールもダメージを負った。

 そしてついに、戦いの決着が着いた。

 雷竜の勝利、という形で。

 トールは最後の一頭まで殺し尽くしたが、その最後の一頭を倒す前に、力尽きてしまった。

 逆に雷竜は力をつけ、雷帝龍となり、現代も生きている。

 この地帯は雷竜と雷神の激闘により、天候そのものが変わってしまったらしい。



 その話を聞いて、この状況にも納得がいった。

 強すぎる魔力は時に自然にも影響を与えると聞いたことがある。


「行きましょうか」


 ぶわっ、と炎がフレアと俺を包んだ。


「《不死鳥の羽衣》。短いですが、あらゆる魔法的攻撃を無効化できます」


 そう説明してから、フレアはゆっくりと雷の雨の中を進んでいった。俺も恐る恐る、雷の雨の中に入っていくと、本当に炎が雷を無効化してくれた。


 その間にもフレアはどんどん進んでいくから、慌てて追いかけた。






「………彼女がトールです」


 しばらく歩いて、フレアがある場所で立ち止まった。


「こ、これは……っ!」


 そこには綺麗に残る人骨があった。

 その骨を見るだけでわかる。 


「なんて、なんて力強い骨なんだ! 腕の骨が他の骨と比べて若干太いから、重たい武器を使っていたんだ! 斧か戦鎚か。どちらにせよ、かなりの筋力を持ってたってことだ、! 骨にまで傷がある、それほど激しい戦闘も何度もしてたんだろう! ああ、凄い! 凄く美しいよ!」


 思わず興奮してしまった。

 このトールの骨は、フレアと同じくらい綺麗だった。


「あ、主人殿……」

「ん? どうしたんだ、フレア」

「わ、私の時も、その、その様に褒めてくださったのですか?」

「? 勿論だ。トールの骨も美しかったけど、フレアの骨も綺麗だったよ」

「っ、そ、そうですか」


 ぷいっと顔を逸らされた。でも、耳が真っ赤になってるのを隠せていない。

 照れてるのが丸わかりだ。


 さて。トールの骨だが…………。


「《ネクロマンス》!」


 速攻でネクロマンスした。






 ネクロマンスした瞬間、雷の雨が止んだ。

 というよりも、全ての雷が一点に集まり、とある場所に落ちたんだ。

 そう。トールの骨があった場所に。


「………ふわぁ。よく寝た」


 むくりとトールが起きた。


 大雑把に切られた、真っ黄色な髪と稲妻のように輝く瞳。そして、フレアと同じように全裸だった。

 フレアの時は完成された芸術品のように美しかったが、トールの全裸は荒々しい美しさだ。

 トールの身体中に傷がある。だが、肌が荒れているわけではない。むしろ綺麗だ。筋肉質な身体で引き締まっていて、なるほど、普段から鍛えているんだな。と思う身体の作りをしている。

 そしておっぱいだ。フレアの時は美乳だったが、このトールは爆乳。フレアがメロンでトールがスイカだ。

 そんな爆乳がトールが背伸びしただけで揺れている。

 思わずガン見してしまったが、後ろのフレアの視線を感じてやめた。


 そしてようやく、トールと目があった。


「………ああっ!?」

「久しぶりですね、ごろごろにゃんこ」

「ちっ。犬ころが!」


 えっ、なにこの空気……。


ここまで読んでいただきありがとうございました。

ブックマークや評価(★★★★★)などよろしくお願いします。


誰も信用できないので絶対に裏切れない女奴隷を買うことにした〜帝国に裏切られた俺は奴隷たちに癒されながら、英雄になります〜

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是非、読んでください。

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