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第151話「王様ゲーム」

「村長さんに言われたんだけど……」

「?」

「停電になるから、村人総出で麓の温泉に行く~って」

「え! 停電!」

 わたしびっくり、コンちゃんも目を見開いています。


 今日ものんびりとした時間がすぎていくんです。

 山のパン屋さんは……閑古鳥鳴いてるの。

 店長さん、コンちゃん、わたしでお店を守っているんですが……

 お客さんが来ないのも、退屈すぎてしんどいです。

「店長さん、お客さん来ません」

「ま、まだ午前中だし」

「言っちゃっていいですか」

「な、何を?」

「わたし、なんだかお客さん全然来ないような気がするんです」

「ポンちゃん、なんて事言うかな……」

 でも、店長さん、そこでしゃべるの止まって、

「実は俺も、そんな予感がしてた」

「やっぱり」

 わたしと店長さん、ため息ついていると、コンちゃんはぽやんとした目で、

「いかん、いかんぞ」

「どうしたんです、コンちゃん」

「この状態がよくないのじゃ」

「お客さんいなかったら、コンちゃんぽやんとしまくりじゃないですか」

「バカ者! お客がいる時にポヤンとするのがよいのではないか」

「ダメダメですよ、コンちゃんはモウ」

 店長さん、目を細めて窓の外を眺めながら、

「まぁ、よくよく考えたら、ここはこんななのかな~ってね」

「店長さん、開き直りましたね」

「だって、なーんもない山の中だし」

「どうしてそんな所に、パン屋さんなんて開いちゃったんです?」

「う……だって親がここに店立てちゃったんだし」

「そうなんですが……先日芋掘りしましたよね」

「あ、うん、花屋さんの所」

「ですです、花屋の娘さんは、なんであそこに店を、家を持ったか知ってます?」

「ううん、俺、あの娘とほとんど話さないし」

「花屋の娘は、あのトロッコの駅を駅前ってだまされて買ったらしいんですよ」

 って、店長さん神妙な顔になって、

「あの人、結構若いよね?」

「なんでも大学卒業の時に騙されたみたいですよ」

「だよね、若いよね……あそこ買ったんだ」

「あのトロッコみたいなのの駅は駅じゃないですよね、だまされてますよね」

「そ、そりゃ騙されちゃいるけど、あの娘の持ってるのって『山』じゃないかな」

「そうなんですかね……途中のみかん畑も持ち物みたいですよ」

 途端にコンちゃん割り込んでくるの、

「お芋、おいしかったのじゃ、パイにしても、干してもおいしいのじゃ」

「本当、お芋、大きくておいしかったですよね、じゃなくて、店長さんどうしたんです」

「い、いや、花屋さん、騙されてるかもしれないけど、いい買い物したというか、よく頑張ったというか」

「へぇ、そうなんですか、でもでも、花屋の娘さんは『駅前の小さなお花屋さん』が夢だったらしいですよ」

「そんな店はすぐつぶれるのじゃ」

 コンちゃん、ズケズケ。

「俺もそう思う」

 店長さん、真顔で賛成してるの。

 そんな店長さんも、急にクスクス笑いだして、

「あのモノレールの駅を駅って、どんだけ騙されてるんだか、バカだな~」

 今頃、花屋の娘はくしゃみしまくってますよ。


 お客さん来ないで、もうすぐお昼の時間になっちゃいます。

 本当にお客さん来ないの。

 そりゃ、今日は土曜・日曜じゃないですよ。

 でも、普段なら1人……2・3人はいるんですよ。

 コーヒーサービスあるから、知ってる人はパン屋さんでお茶していくんです。

「本当にお客さん来ませんね」

「そりゃ、たまにはそんな日もあるよ」

「店長さん、本当にいいんですか」

「困るな~」

 コンちゃんはもう、テーブルを枕にスヤスヤ寝息。

 わたしと店長さんも、頬杖ついて、ポヤンとしてるところです。

「どうしてかな、そりゃ、ここは確かに田舎なんだけど」

「ですよね、最近全然お客さんがいない……ってのはないですよ」

「一人もいないと、さすがに応えるなぁ~」

 店長さん、やる事ないから、寝ているコンちゃんの頭を触ったりするの。

 寝てるの起こすと、コンちゃん怒りますよ。

「パンが売れ残ったら、ゴハンはパン」

「うえ、それはたまりませんね」

「パン屋でパンはちょっとつらいな~」

「ですね~」

 って、窓の外に人影。

 花屋の娘、登場です。

 カウベルがカラカラ鳴って、

「こんにちはー」

「いらっしゃいませ、どうしたんです?」

「うん、ちょっとね、これ」

 見れば桃の箱を持ってます。

 花屋の娘、持ってる箱の一つをわたしに差し出して、

「一つは出荷、一つはおすそ分け」

「桃、甘くておいしいですよね」

 お店の中に甘い香りが広がります。

 途端に寝ていたはずのコンちゃんが、ムクリと体を起こすの。

「何かおいしそうな匂いがするのじゃ」

「コンちゃん、本当に欲求に素直ですね」

「桃~!」

 もらった箱から一つ取り出すコンちゃん。

 途端に花屋の娘が、

「取ったな、その桃、一個100万円」

 花屋の娘、100万円好きですね。

 長老にそっくりですよ。

「くれたんじゃないんですか~」

「冗談よ、冗談、でも100万円」

「まったくモウ」

 コンちゃんが桃を食べているのを見ながら、花屋の娘は首を傾げて、

「村長さんに言われたんだけど……」

「?」

「停電になるから、村人総出で麓の温泉に行く~って」

「え! 停電!」

 わたしびっくり、コンちゃんも目を見開いています。

「停電……ありましたね、工事でたまに」

「そうなんだ」

「村人はみんな、停電の間、村を出ちゃいますね」

 って、そこに配達人の車がやって来ましたよ。

「ちわー綱取興業っす」

 配達人、のこのこやって来ます。

「あの、配達人さん」

「何、ポンちゃん」

「停電の話、聞いてます?」

「うん、村長さんから」

「なんで教えてくれないんですか!」

「え……てっきり知ってるとばかり、俺、村の人間じゃないし」

「そ、それもそうですね」

 配達人、空いている席に腰を下ろすと、花屋の娘の持ってきた桃を確かめながら、

「でもさ、電気来ないっていっても、老人ホームには発電機ちゃんとあるし、ここは山の上だから、電気なくてもそんなに暮らせないってほどじゃないよね」

「まぁ、どうなんでしょ」

「だって、ポンちゃん達は停電の時でもここに残るよね」

「ですね」

 わたし、笑いを堪えながら、

「お風呂、真っ暗でちょっとこわいんですよ~」

 そんなんです、ろうそくの明かりで入るお風呂は、なんだかいつものお風呂じゃない気分なんですよ。

 コンちゃん、ポヤンとした顔で、

「停電では電気がこないのう、冷蔵庫のアイスは食べてしまうのじゃ」

「あ、いいですね、溶けちゃいますもんね」

 って、今度は店長さんがニコニコ顔で、

「そこなんだけど」

「?」

「パン屋には停電なんてないんだよ」

「え!」

「ふふふ、こんな事もあろうかと、発電機をゲットしたのだ」

「え! 本当に! いつの間に!」

「ってか、下に川、流れてるよね」

「はい……それが?」

「粉挽く用に水車も作ったんだけど、それに小さい発電機取り付けたんだよ」

「そうなんですか!」

「でも、冷蔵庫は無理だからアイスは食べちゃってもいいかなぁ」

 そんなわけで、パン屋さんは村に居残りです。

 しっぽ丸出しで麓に行くわけにいきませんからね。


 停電の夜、パン屋さんは大盛況です。

 ってか、ポン太、ポン吉、長老も来てます。

 帽子男に吉田先生もいるの。

 そうそう、保健の先生もいますね。

 大人は麻雀大会で徹夜らしいです。

「店長さんは麻雀組ですか?」

「ううん、俺は早く寝る組」

「?」

「停電しても、パン屋は朝、普通に開店なの」

「お客さん、来ますかね?」

「ほら」

 見れば配達人もいます。

「配達人はどうしてです?」

「うーん、パンを貰う為なんだけどね」

「はぁ」

「残り物のパンはもう持っていったけど、朝イチで食パンとかね」

「それでお泊りなんですか」

「だね」

「麻雀は帽子男、吉田先生、保健の先生、コンちゃんかな?」

「だね、途中で休憩しながらシロちゃんや長老やたまおちゃんじゃないのかな」

「わたしも麻雀できますよ」

「やめときなよ、保健の先生とか超強いらしいじゃん」

「ですね、保健の先生は無敵とか聞いてるし」

 保健の先生、今頃どこかでくしゃみしまくりですよ。

「他はどうします?」

 わたしが聞くと、店長さん考える顔で視線が泳いでから、

「テレビ見たり、トランプとかして遊んだらよくないかな、せっかく人、集るし」

「むう、そんなとこですね」

「俺は朝、パン焼くからイツモ通りだし、ミコちゃんはゴハンやら片付けで忙しいし」

「停電でも、忙しいところは忙しいんですね」

「だね、老人ホームは出払っちゃったけど……たまおちゃんも神社は普通に日曜だから忙しいよ」

「たまおちゃんは社務所でモノを売ってるだけですよ」

「それでも仕事は仕事だよ」

 今日はリビング、ソファなんか他所にやって、大きなテーブルでお食事です。

「ポンちゃん、お願いー」

 ミコちゃんの声です、行ってみればから揚げ、じゃんじゃん作っているの。

 もう、大皿一杯に出来上がってるのを目で示しながら、

「ポンちゃん、出来たのからどんどん持っていって」

「はーい……って、多くないです?」

「ポンちゃん、今日、誰が来るか、知ってるわよね!」

「長老とか帽子男とか」

「長老は私の言う事聞くからいいのよ、問題は吉田先生とか保健の先生とか用務員さんよ」

「?」

「学校の先生組、あんなのに徹夜マージャンされたら面倒くさいでしょ」

「え? です? 遊んでるだけですよね?」

「負けたら荒れるでしょ、保健の先生いるのよ、他の面子はカモよ」

「それはさっき聞いたけど、どうしようもないよ」

「だから殺すのよ、飲んで、食べて」

「?」

「学校の3人が来たら、ともかく飲ませて殺すのよ、いい」

「う、うん、わかった、お酒出せばいいんだよね」

「そう、ポン太くんのお酒もあるから、じゃんじゃん出して、そして酔いつぶすのよ、殺すの」

「わたし、思うんだけど」

「なに? ポンちゃん?」

「ゴットアローで殺せばいいと思うよ」

「!」

「サクサクっと殺してさ」

「こ、殺しちゃうの、ポンちゃん言うわね」

「で、ミコちゃん、殺せる?」

「え?」

「ミコちゃんは、帽子男……は、殺せそう、でも、吉田先生や、まして保健の先生とか絶対殺せないような気がするんだけど」

「え……」

「昔、ミコちゃんはゴットアローでコンちゃんを殺したのかもしれないけど……」

「……」

「吉田先生や保健の先生は、なんだか絶対死にそうにない気がする」

 途端にミコちゃん、本気で考える顔になるの。

 そして小さく肩を震わせながら、

「吉田先生はともかく、保健の先生は……長崎先生は確かに……」

「納得されても困るんだけど、保健の先生と吉田先生はなんだかヤバイオーラが」

「ポンちゃん、さすがタヌキね」

「そうです、生き残るための嗅覚というか、あの二人はヤバイんですよ」

「でもでも、殺しちゃったらダメでしょ?」

「いいんですよ、帽子男を殺しますよね」

「用務員さんは殺していいのかしら?」

「ともかくゴットアローで殺すでしょ」

「殺したら?」

「コンちゃんの時みたく、朝になったら術で生き返らせるんですよ」

「……ゴット・ヒーリングみたいな」

 ミコちゃん、思い出したように笑顔になると、

「ああ、半殺しにして、蘇生して、死の苦しみを何度もね」

「ミコちゃん、わざとやってますよね」

「昔のコンちゃんには必要だったのよ」

「ともかく、殺してしまえば大人しくなるから、あとは朝になったら、店長さんが仕込みを始めるタイミングで生き返らせたらいいんだと思うよ」

「それって、いい手よね、殺してしまえば大人しくなるし」

「こわいですね」

「なんだか気が楽になったら、吉田先生も保健の先生も殺せる気がしてきた、でも、お酒もドンドン呑ませてね、酔ってグダグダなら殺しても悪い気しないから」

「こわいよ、ミコちゃん」


 麻雀組は熱気ムンムンでカチカチと牌の音をさせてます。

 保健の先生、吉田先生、帽子男とたまおちゃんが黙々と手を動かしています。

 それ以外は、トランプで盛り上がるの。

「コンちゃんはアッチじゃくていいの?」

 そう、コンちゃんは今、トランプにまざっているんですよ。

 ムスッとした顔でカードを引いて、急に笑顔になって、揃ったカードを捨てるの。

「保健医は強いでのう、わらわ、勝てる気がせん」

「それで子供相手ですか」

「わらわ、勝ちたいのじゃ」

「それじゃ子供ですよ」

 わたし、コンちゃんの手持ちから1枚引いて、イチ抜けです。

「えへへ、わたし一番!」

「むう、ポン、やるのう」

「ババぬきは運と思うよ」

 今回は……ポン太がババでした。

 コンちゃん、ドベだったポン太を見て、

「一番ドベだったモノは、一番の者の言う事を聞くのじゃ」

 だったらわたしですね。

「ポン太よ、わらわ、お酒が欲しいのじゃ、ポン太のお酒」

「ちょ! 一番だったのは、わたしですよ!」

「むう、ばれてしまったかの」

 ポン太がトホホ顔をしていると、ミコちゃんがやって来て、

「そろそろ寝る時間よ~」

 そんな言葉にみんなの視線がレッドに注がれるの。

 確かにレッド、もうポヤポヤしています、眠たそう。

「もう寝る時間ですかね」

 わたしが言うと、ワクワクした顔でポン吉が言い出しました。

「あのさ、オレ、やってみたいのあるんだ」

「え? 今さら?」

「王様ゲームってやった事ないし」

 ポン吉、言いながらチラチラってシロちゃんを見るの。

『コラ、ポン吉、なに考えてるんです!』

『ふふふ、オレ、王様、そしてシロ姉とキス』

『おお! 漢ですね……ってか、ゲームじゃなくて告白したらいいのに』

『はずかしいし』

『へたれですね』

『ともかく王様ゲームしたい!』

 そんなポン吉のキモチ、みんなに伝わったのか……

 ポン太はコンちゃんを見て、小さく頷くの。

 わたしだって、生唾飲んで店長さん見ます。

 シロちゃんは怒りのオーラ、背負ってますね。

 コンちゃんは澄ましていますが、店長さんチラ見です。

「ほら、みんなで王様ゲーム!」

 ポン吉、準備いいです、もう割り箸で作ったクジ、出来てます。

 シロちゃん、ムスっとした顔で、

「これは何でありますか?」

 ポン吉のズボンから「王様」と書かれたクジを確保。

 コンちゃん、どこからともなくロープを出してきてポン吉を縛ると、

「このインチキタヌキは後で折檻じゃ」

「わーん、オレの王様ー!」

 言い出しっぺで準備までしていたなんて、なんて策士なんでしょう。

 でもでもバレたらダメダメですよ。

 シロちゃん、王様のクジを他のクジと一緒にして、

「これで公平であります」

「じゃあ、なんでしたっけ?」

「王様だーれだ……であります」

 シロちゃんが言って、みんなに目で合図します。

「「王様だーれだ」」

 みんな言って、クジを一本ずつ取るの。

 って、レッド万歳で、

「王様ゆえ!」

 ちっ! レッドか……しかしレッド、ルールわかってるんでしょうか?

 レッド、しっぽをブンブン振っていますが、まだ何も言わず。

 わたしは「4」でした。

 変な事、言われませんように。

 そこでとんでもない男が!

「あ、俺、3番、残念」

「「ばかものー!」」

 言ったのは目の細い配達人。

 わたしとコンちゃんで本気チョップです、☆2つのダメージ。

「痛い……なんで叩くの」

「番号言ったらだめでしょ、番号言ったら!」

「あ、そうだった」

 この配達人は、本当にモウ、わかってるんでしょうか。

 レッドには店長さんが耳元でささやいています。

「おー! おうさまげーむ、おくふかし」

 レッド、配達人をじっと見て、

「3ばんが4ばんをだっこ!」

 ふむ、3番は配達人で4番はわたしです。

 わたしがクジを見せたら、配達人わたしをお姫さまだっこして言います。

「はーい、3番が4番をだっこでーす、残念ー」

「ちっ! 店長さんだったらよかったのに!」

 配達人もわたしも、ふてくされ顔です。

 レッド、わたしのしっぽを引っ張って、

「おうさまげーむ、どこがおもしろいです?」

 むう、レッドはまだ、このゲームの面白いところがわからないみたいですね。

「じぶんがだっこしてほしかったゆえ!」

「○番が王様をだっこ……でどうですかね」

「おお! こんどぜひ!」

 さて、再開です。

「「王様だーれだ」」

 また4番です、くそー!

 王様だれでしょ?

「わらわが王様なのじゃ!」

 嫌ーな予感がします、コンちゃんが王様なんて!

 って、ミコちゃんが、

「ねぇ、もう寝る時間なんだから、コレ、最後にして欲しい」

 むう、確かにレッドのおねむの時間なんです。

 レッド、さっきの王様でテンション上がってますけど、夜更かしさんはダメですよね。

 コンちゃん、難しい顔をして、

「では、最後の王様の命令かの……では、4番が1番にキスするのじゃ!」

「え! 4番わたしなんだけど!」

「では、ポンがキスする相手は?」

 わたしとコンちゃんが視線を巡らせると……

 配達人がどんより顔でクジを見せます、1番です。

「うわ、配達人!」

 わたし、どさくさに店長さんに取り付くの。

 店長さんは2番、くっ! 惜しいっ!

「ほれ、ポンよ、配達人にキスをするのじゃ!」

「えー! ヤだー!」

「王様の命令は絶対なのじゃ、ゼッタイ!」

 コンちゃんニヤニヤしてるの、この女キツネめ。

「ほれ、ゲームなのじゃ、お遊びなのじゃ!」

「遊びでもキスなんてしたくないです!」

「きすはあいさつゆえ」

「レッドは黙っててください」

「キース! キース!」

「キース! キース!」

「キース! キース!」

「キース! キース!」

 みんなが言い出すの。

 って、配達人が肩を落として、

「新手の罰ゲームと思って……」

 言った途端に、みんな伏せて床をバンバン・ドンドン叩くんです。

「ばばば罰ゲーム!」

「ぷぷぷ、罰ゲーム!」

「げふっ! 笑い死ぬ!」

 わたし、固めた拳をプルプル。

「わわわわたしのキスが罰ゲームとはなんだーっ!」

「だって罰ゲームだよね!」

「コロスー!」 


「どうしよう、プリン、残っちゃうわね」

「毎日作って、全部売れてるんです?」

「うーん、大体平日10個、日曜日は30くらい?」

「そうだよね、日曜日は棚、全部埋まってるもんね」

 そう、たくさんあるミコちゃんのプリン、それでも日曜日は完売しちゃいます。


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