第146話「ミコちゃんvs配達人」
『いいのが来ましたよ』
『わらわもそう思ったのじゃ』
『配達人にゴハン、作らせちゃいましょう』
『しかし、あやつがゴハンを作れるものかの?』
『その時は二人で配達人をボコボコにしちゃうんですよ』
観光バスとか来ませんが……お昼になると、ちょっとだけお客さん増えるの。
お店のテーブルも半分くらい埋まっちゃいました。
みんな自分でパンを取って、レジを通って食べているんですが、コーヒーや紅茶・お茶はわたしが出すんですよ。
お客さんが1組2組ならどうって事ないんですが……
それ以上になると、行ったり来たりの連続なの。
ちなみにコーヒーも紅茶も、ミコちゃんが淹れてくれるんですよ。
パン工房の片隅でどんどん準備してくれるから、わたしはどんどん運ぶだけです。
ミコちゃん、トレイにティーカップとマグカップを置きながら、
「お客さん、多いわね」
「ですね、お昼時はどうしてもですね」
「ラーメン屋さんも多いみたいなんだけど……」
ミコちゃん、言いながらお店の方を見ています。
カウベルがカラカラ鳴って、またお客さんが来たみたいです。
「長老のおそば屋さんも、やってる筈なんだけど」
ミコちゃんが言うのに、
「きっとパン屋さんがおしゃれだからだと思うよ」
「え? おしゃれ?」
「だってラーメン屋さんやおそば屋さんよりは、パン屋さんの方がおしゃれと思うよ」
「それはそうかも」
ミコちゃん、でも、まだ納得できないみたいですね。
わたしも……実は納得できないです。
でもでも、わたしの言ったの、半分は当たってると思うの。
だってお客さん、ほとんど女の人ですもん。
それにですね、村には神社があるんです。
神社のヌシ、巨大白ナマズは美容に……お肌スベスベになるご利益があるらしいの。
お客さんはほとんど、神社のお守りやらお札をテーブルに、お茶をしているんですよ。
わたしがトレイを手にお店に戻ると、レジではコンちゃんがムスッとしています。
「これ、ポンよ、何をさぼっておるのじゃ」
「サボってませんよ、今からお茶を持って行くんですー!」
「わらわ、お散歩に行こうかの」
「なに言ってるんですか、まったくモウ」
コンちゃん本当に行きそうな風です。
しっぽが巻き巻きしたり、伸びたりを繰り返すの。
早くお茶を届けて、レジから逃げないように見張らないと!
わたし、お客さんのテーブルにティーカップとマグカップを置いていると、
「あれ……あのあの!」
わたし、聞いていいのかちょっと迷っちゃうの。
お客さんはニコニコ顔で、
「どうしたんだい?」
「みなさん、パンを全然食べてないですよね?」
「うん、だね」
そう、お客さん……どのテーブルもパンに手が出ていません。
「パン、おいしくないです?」
「ううん、そうじゃなんだよ」
「??」
お客さん、ペロッと舌を出して、
「ここはパンを買うと、お茶はサービス」
「ですね、お茶はサービスですね」
とは言っても500円分買ったらサービスなんですよ。
ここは普通の大きさのパンは全部100円なんで、500円分買うと結構な量。
そのパンがほとんど手付かずなの。
「ここのパンはおいしいから、家におみやげなんだよ」
「そうなんですか」
「ここでお茶をして、それからおそば屋さんに行くんだよ」
「むう、でもでも、もうお昼ですよ?」
「そうだね、だからおそば屋さんなんだよ」
「お腹空きませんか?」
わたし、実はさっきからペコペコ。
はやくお昼を食べたいところです。
「今の時間はお客が多いから、ちょっとずらしているんだよ」
「おお、さすが!」
このお客さん、いつも見かける常連さんだけど、ここで時間を調整して、メインのゴハンはおそば屋さんだったんですね。
もう一人のお客さんが、
「でも、キツイ時はパンも食べちゃうがね」
「ふふ、そうですか~」
よくここを使ってくれるお客さんは、村での行動もよく考えてるみたい。
さて、ここでじっとしてられません。
お茶を待っているお客さんはまだまだいるんです。
って、わたしがパン工房の方に戻ろうとすると……ミコちゃんが出てきました。
「ポンちゃん、コンちゃん!」
「どうしたんですか?」
「ちょっと村長さんに呼ばれたから、学校に行ってくるわ」
って、ミコちゃん、配達に使うバスケットに食パンを満載で言うの。
「どうかしたんですか?」
「うん、なんだか給食、手違いで作ってなかったんだって」
「食パンは?」
「ゴハン炊いている時間はないから、これでサンドイッチでも作るわ」
ミコちゃん、それだけ言うと行っちゃいました。
って、コンちゃんがわたしの袖を引っ張りながら、
「これ、ポン!」
「なに? コンちゃん?」
「ミコが行ってしまったぞ」
「聞いてたよね、給食作ってなかったみたいだよ」
「わらわ達のお昼ゴハンはどうなっておるのじゃ!」
ミコちゃんの事だから、ちゃんと作ってくれているはずです。
心配しすぎですよ。
でもでも……
なんだか、だんだん不安になってきました。
わたしとコンちゃん、目が合います。
頷くわたしとコンちゃん。
深刻な顔で奥に行っちゃうコンちゃん。
まさか……お昼ゴハンがないなんて事はないですよね?
ね!
「ミコちゃん! ゴハンなかったんだよっ!」
「あ、ああ、ごめんなさいね、冷ごはんもなかったかしら?」
「なかった」
「レンジでチンするごはんもなかった?」
「なかった」
わたし、帰って来たミコちゃんに涙で訴えるの。
コンちゃんはさっきからふくれっ面で、
「ミコのバカ、ゴハンないのじゃ!」
「はいはい、ごめんなさい」
ミコちゃんはおやつの時間に帰って来たんだけど、わたしとコンちゃんはもうお腹の虫も死んじゃったのか沈黙してるの。
「おやつはあるんですよね?」
「そうなのじゃ! おやつはあるのであろうな!」
わたしとコンちゃん、必死なの。
ここでおやつが食べられないと、夕飯までどうしろと!
「はいはい、おやつありますよ」
ミコちゃんニコニコ顔で奥に引っ込みます。
って、台所の方から声だけ返ってきました。
「ねぇねぇ、ポンちゃん、いいかしら」
「なんですか? ミコちゃん?」
「お昼ゴハンは準備してなかったけど……」
「だからペコペコなんですよ」
コンちゃんも、
「ペコペコなのじゃ」
「どうしてパンを食べなかったの? お昼準備してなかったのは私のせいだから、食べても怒られなかったわよ」
さも、当然のように言うミコちゃん。
わたしとコンちゃんの怒りゲージがジリジリと上昇するの。
「ミコちゃんっ! わかってないっ!」
「な、何を怒ってるの」
「ここはパン屋さんなんだよ!」
「だ、だからパンはたくさんあるじゃない、今だって」
そうです、おやつの時間ですけど、パン屋さんにはまだたくさんのパンがあります。
ちょっと売れ残りがこわいかな。
「お店のパンを勝手に食べたらダメだけど、ゴハンがない時はしょうがないわよ、私もちゃんと説明してあげるし」
「ミコちゃん本当にわかってないですね」
「そうじゃ! そうじゃ!」
「二人とも、何でそんなに怒ってるの?」
ミコちゃん、本当にわかってないみたいです。
わたしはコンちゃんを、コンちゃんはわたしを見ています。
『ねぇ、コンちゃん、ミコちゃん全然わかってないみたいだよ』
『わらわもそう思ったのじゃ、あの女はわかっておらん』
『ここはパン屋だよ、パンを食べろというの?』
『そうなのじゃ! そうなのじゃ!』
パン屋さんだから、もうパンはおなか一杯だというのに!
ゴハンがないならパンを食えというのでしょうか!
そ、それは最後のさいご、「どうしても」という時にしたいです。
ミコちゃん、トレイにカップ麺を持って登場。
「はい、おやつはちょっと多めです」
「わーい、カップ麺!」
「おお、キツネうどんなのじゃ!」
ミコちゃん、呆れた笑みを浮かべて、
「あの、カップ麺あったんだから、ちゃんと探せばよかったのに」
「「あ!」」
次の日……
わたしとコンちゃん、今日もお店から出て行ったミコちゃんの背中を見送るの。
「これ、ポン、ミコはどこに行っておるのじゃ」
「今日も給食って言ってたよ」
「して、わらわ達のゴハンのほうは大丈夫かの?」
「そ、それは大丈夫なんじゃないかな、昨日の今日だし」
「わらわ、見て来るのじゃ」
コンちゃん、奥に引っ込んじゃいました。
わたし、なんだか嫌~な予感しかしないんです。
ミコちゃん、忘れてはいなかったと思うの。
でもですね、今朝のごはん、みんないつもより余計に食べてたような気がするんです。
あ、コンちゃんの足音。
「わーん、ゴハンないのじゃ!」
「え、まさか」
「本当にないのじゃ!」
「ミコちゃん昨日の今日だよ、そんなはずないよ」
「無いものはないのじゃ!」
って、わたしとコンちゃんの頭上に裸電球点灯です。
「カップめん!」
「カップ麺なのじゃ!」
お店のお客さんは、今は落ち着いた感じです。
ちょっと二人して奥に、台所に行っちゃうの。
コンちゃん棚という棚をチェック。
「うわーん、カップ麺ないのじゃ!」
「そんなバカな話はないです、クンクンして探してください!」
「そ、そうなのじゃ、わらわはキツネなのじゃ!」
コンちゃん、気合入れて探し始めましたよ。
わたしも冷蔵庫の中なんかをチェックするんです。
冷蔵庫……残念、食材はあっても残り物はないの。
「ほ、本当にないですね、レッドのおやつでいいからないですか?」
「むー、おまんじゅうなんかでいいから、ないかのう」
わたし、探すように言いながら……実はじぶんでもニオイでわかってるんです。
これは本当にゴハンないです。
と、コンちゃんがさっきから開けていない一番問題な戸棚。
「コンちゃん、どうしてそこ、開けないんです?」
「いや、ここは、見るまでもないのじゃ……さっき見たのじゃ」
コンちゃんが開けてみると、そこにはお皿に載ったアンパンです。
昔なら喜んで食べたところですが、今はため息なの。
「これはレッドのおやつでしょうね」
「パンは嫌なのじゃ」
「ゴハンが食べたいですね」
わたし、コンちゃん、急におなかが鳴き出しました。
「き、きっとミコちゃん、帰ってきますよ」
「う、昨日はおやつまで帰ってこなかったのじゃ」
「言わないでください、気分がくじけますっ!」
って、コンちゃん、急に表情が明るくなるの。
「店長、店長がおるのじゃ!」
「店長さんはいるけど、ダメですよ」
「何故じゃ!」
「今朝は忙しかったから、今は寝てますよ」
「叩き起こすのじゃ」
「へそ曲げますよ、それに」
「それに?」
わたしとコンちゃん、お店に戻りながら、
「店長さんのゴハン、食べた事ありますよね」
「うむ、それがどうしたのじゃ」
「今はミコちゃんのゴハンで……店長さんのゴハンに戻れますか?」
「う……しかし無いよりもマシというでは……」
「戻れますか?」
「う……」
レジに戻りました。
お客さん達はテーブルで楽しそうにパンを食べています。
でもでも、わたし達は今、パンじゃないと思うの。
またコンちゃんに裸電球点灯。
「そうじゃ、長老を召還するのじゃ!」
「召還……今やったらひんしゅくだよ」
そうです、お昼の稼ぎ時です、忙しい時間です。
「じゃあ、用務員を召還じゃ!」
「学校の時間ですよね、きっと今、ミコちゃんと一緒してますよ」
「むー!」
コンちゃん、ピョンピョン跳ねて悶えてます。
そんなわたし達の視界に「いいカモ」がやって来ました。
荷物を抱えて目の細い配達人、登場です。
『いいのが来ましたよ』
『わらわもそう思ったのじゃ』
『配達人にゴハン、作らせちゃいましょう』
『しかし、あやつがゴハンを作れるものかの?』
『その時は二人で配達人をボコボコにしちゃうんですよ』
『ストレス発散になるのじゃ!』
ああ、コンちゃん、もうハラペコも忘れてウキウキ顔なの。
「ちわー、綱取興業っす!」
ふふ、パーティの始まりです!
「はーい、できたよ~」
配達人が料理を持ってきました。
来る前から、何が来るかわかっているんです。
「ヤキソバ」です、ソースの香りがたまりません!
テーブルに着いているわたしとコンちゃんの前にヤキソバが置かれるの。
「はい、どうぞ」
「「……」」
わたしとコンちゃん、固まります。
普通にヤキソバですよ。
コンちゃん、恐るおそる箸を伸ばします。
一口……食べたらもう止まりません。
それを見てわたしも手を付けるの。
「おいしい!」
わたし、2・3口食べたところで箸が止まります。
「あのあの」
「なに、ポンちゃん」
「野菜は冷蔵庫にあったけど、麺はどこから?」
「ここってラーメン屋さんの分、作ってない」
「あー!」
「だから、ラーメンの分をちょっと使ったよ」
「なるほど……」
「早く食べなよ、温かいうちにさ」
「はい……」
うそ……本当においしい……ハラペコなのもありますが……意外も意外です。
コンちゃんなんか、あっという間に完食、おかわりしてますよ。
「あのあの」
「なに、ポンちゃん」
「配達人は、ゴハン作れたんですね」
「まぁ、家じゃ自炊してるしね」
配達人、テレビを見ながら「なんでもない顔」です。
でも、愛想笑いしながら、
「作れるって言っても男料理だけだけどね、焼いたり炒めたり」
「はぁ……」
でも、ヤキソバ、おいしいです、神がかってます。
そこに小走りでミコちゃんが帰ってきました。
カウベルがカラカラ鳴って、ミコちゃんが入ってきます。
「ごめんなさい、今日もゴハン忘れちゃって」
「ミコちゃんお帰り、ゴハンは配達人が作ってくれたよ」
わたしが返事をするのに、ミコちゃんは配達人・コンちゃん、それからわたしを見ます。
「ヤキソバ……」
ミコちゃんの手には、配達に使うバスケット。
そのバスケットから、ラップされたスパゲッティ出てきました。
「ポンちゃん達のゴハンって思って……給食のスパゲッティだけど」
配達人がニコニコしながら、
「じゃ、それは俺がもらうよ~」
食べ始めました、コンちゃんほどじゃないけど、箸が止まらない感じです。
コンちゃん、そんな配達人を見て、それからスパゲッティの皿を見るの。
「一口よこすのじゃ」
コンちゃん、配達人の皿に手を出します。
配達人も別に拒否したりしません。
コンちゃん、スパゲッティを一口モグモグ。
それからまた、2口、3口食べたけど、
「これ、配達人、ヤキソバおかわりなのじゃ」
「はいはい、待ってて」
配達人、コンちゃんのお皿を持って台所に行っちゃいました。
って、急にお店の空気が悪くなります。
暗黒オーラが、負のオーラがうずまいているの。
ミコちゃんが怒ってます、髪がうねうね、蛇みたいにうねってる。
「ゴゴゴゴ」なんて音が聞こえてきそうです。
「ミコちゃん、どうしたの!」
「わわわ私のスパゲッティより配達人のヤキソバ!」
呪い殺しそうな目でわたしを見ています。
見るならコンちゃんにしてほしい。
「私のスパゲッティより配達人のヤキソバ!」
「おいしいんですよ、コレ」
わたしの食べかけの皿をミコちゃんに差し出すんです。
ミコちゃん、髪をうねらせながら一口。
「パク」っと食べたところで表情が変わりました。
ミコちゃんの背後で稲光まで。
肩がわなわな震えて、わたしは落としそうになったお皿と箸をゲット。
ミコちゃん、唇をフルフルさせながら、
「お、おいしい……」
もう、髪もうねっていません。
でも、すぐに肩の震えが戻って来たよ。
「く、くやしい……」
「ミコちゃんがめずらしいね」
「だ、だって、配達人さんの料理よ」
「ヤキソバだよ」
「ヤキソバでもよ」
ミコちゃん、考える顔で、
「用務員さんや、長老や、村長さんの料理に負けるなら、ちょっとわかるのよ」
「そんなもんですか?」
「配達人さんは、配達人さんじゃない」
「まぁ、確かに、あればっかりで、料理って感じでは……」
配達人が戻ってきて、コンちゃんの前にヤキソバを置きます。
それからミコちゃんのスパゲッティ食べ始めるの。
「配達人さん、勝負ですっ!」
ミコちゃん、ビシッと配達人を指差して言い切ります。
背中には龍が踊り、稲光ドーンって感じ。
「え? 俺、何か悪い事した?」
戸惑う配達人。
ミコちゃん指差してたのを、拳固めて、
「ヤキソバ、おいしい、悔しいし!」
「え、スパゲッティの方がおいしくない?」
「ともかく勝負です、勝負!」
めずらしくミコちゃん、熱くなってますね。
レッド・みどり・そして何故か帽子男が「審査員」で料理勝負です。
3本勝負で……
配達人は「ヤキソバ」「焼きちくわ」「お茶漬け」
「ヤキソバ」はともかく後の二つは料理と言っていいのやら。
ミコちゃんは「スパゲッティ」「から揚げ」「ポテトサラダ」
子供好きそうなメニューです、勝負に来てますよ~
で、判定は……レッド・みどり・帽子男、全員が配達人にジャッジ!
ミコちゃん撃沈です、崩れ落ちてるの。
「な、何故……」
わたしとコンちゃんも、これが夕飯になりそうな空気だったからいただきます。
ミコちゃんの料理は普通においしいです。
でも、配達人の料理がおいしいのは「意外」なんです、不思議!
敗者のミコちゃん、配達人の料理を食べて、さらに崩れ落ちます。
「お、おいしい……くやしいけど……おいしい」
わたしもコンちゃんも首を傾げるばかりですよ。
なんで配達人、料理できるんでしょ?
「ねぇねぇ、配達人さん、どうして料理なんかできるんです?」
「え? 俺の作ったの、料理に入るの?」
「焼きちくわとお茶漬けは微妙ですけど、ヤキソバは本当においしかったですよ」
焼きちくわ……この間のおやつみたく、焼いただけとチーズやらきゅうりが入ってるの。
お茶漬け……これって「●谷園」の素なんだけど、配達人は何か「一つ」加えてるみたい。
「そうなのじゃ、たいしたものなのじゃ!」
「むー、ヤキソバは多分鰹節が効いてただけと思うけど……」
配達人はミコちゃんの料理をパクパク食べながら、
「俺はミコちゃんの料理の方が絶対おいしいと思うんだけどな~」
一瞬考える顔になる配達人、それから、
「俺、焼いたり炒めたり、男料理しかできないよ」
それを聞いたミコちゃん、目が光って「ピキーン」なんて音が!
ダッシュで奥に行ってしまうミコちゃん。
そして小鉢を持って戻ってきました。
「ドン」と配達人の前に置きます。
「肉じゃが」ですね。
ミコちゃん、ビシッと配達人を指差して、
「勝負ですっ! あなたにコレが作れますかっ!」
「俺の負けで」
ミコちゃんに笑顔が戻りました。
よかったよかった!
「ポンちゃん、タマゴをもらってきてくれないかしら?」
「タマゴ?」
「そう、タマゴ」
「冷蔵庫に入ってなかったです?」
そうです、タマゴは冷蔵庫に入っていたはずです。