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短編

英雄に愛された女

作者: 譚月遊生季

愛した人がいました。

心の底から、全てを捧げられる人でした。この人となら、結婚してもいいと思いました。

私のことも深く愛して、たくさん、素敵な言葉と思い出をくれた人でした。


けれど、あなたは捨てました。……その未来を捨てて、他のものを選びました。

あなたはそれで幸せだったでしょう。満足だったでしょう。私の想いも知らず、私の嘆きも知らないところで、きっと今も幸せなんでしょう。


許さない。許さない。許さない。

永遠に許さない。

たとえ私が死んだって、許してなんかやるものか。

謝れもしないでしょうけど、土下座して詫びたって、まだ真新しい靴を投げつけてやるんだ。


あなたの行為で、あなたの裏切りで、不幸になったのは私だけ。

笑えなくなったのは私だけ。

今すぐ殴り飛ばしたい。唾を吐き捨てたい。胸ぐらを掴んで、叫びたい。参ったと言ったって、その顔面を引っ掻いてやりたい。


誰があなたを褒めたたえたって、偉大だと謳ったって、私は許してなんかやらない。


「偉いわねぇ。立派に殉職なさって……」

「自慢の息子です」

「まさしく、現代の英雄と呼べるでしょう」


あなたの死を、嘆き恨み、悔やむのは、私だけ。

……あなたの生を願っているのは、私だけ。


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― 新着の感想 ―
[良い点]  読みやすく、わかりやすい美しい文章ですね。  一箇所たりともひっかかることなく、スラスラと読めました。  また構成も熟練の技を感じさせられました。  最後の最後で全部ひっくり返して読み手…
2019/01/28 04:40 退会済み
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