小説練習 久しぶりの再開
俺はこの日、夜の8時からバイトがあった。でも、どうやら俺の思い違いらしく、シフトが入ってなかったみたいだ。
「急に暇になっちまったなぁ」
お店を出て独り言をつぶやく。
この空いた時間をどうするか・・・、家に帰ってもいいのだが特にやることもない。
(夜の散歩でもするか・・・)
歩くことが好きだったから何となくで散歩することにした。
まだ8時回ったばかりか、車の交通が多い。とりあえず車の音が聞こえないような場所に、1人でゆっくりできるような場所に行くことにした。
しばらく歩いて、自分が昔通っていた中学校の近くまで来た。
(そういや、中学校の近くに大きな自然公園があったな・・・。そこの公園なら、道路からも遠いし人もあまりいないはずだよな。)
目標地点が決まったしそこを目指すことに。
中学からそう遠くないからすぐについた。
階段を上がり、公園の入口に立つ。春の優しい風が肌を流れる・・・。
この風を感じながら少し歩き、公園を一望できる少し高い丘の頂上に腰を下ろす。穏やかな風は、依然として、俺の体を流れる。
昔からこうした静かな1人の時間ってのは好きだ。上手くは言えないが、こう・・・ゆっくり出来るというか、心が落ち着くというか、リラックスできる。
気持ちのいい風を体全体で感じながらゆっくりしていると・・・
「だーれだ!!」
っと後から聞こえる大きな声とともに目を隠された。
突然起こったことに少々驚きながらその聞き覚えのある声に対し、答えた。
「お前さぁ・・・人がゆっくりしてる時に邪魔をするなよなぁ」
「ちょっとぉ、名前呼んでくれないの?」
そう言いながら俺の隣に、ラフな格好したポニーテールの女子が座り込んだ。間違いない、小中と一緒の学校で仲が良かった同級生だ。趣味が一緒だったからすぐ仲良くなったんだよな。
「いやぁ奇遇だね、にしても君はどうしてこんなとこにいるの?そういうキャラだったっけ?」
「こんなとこって・・・。ふぅ、んまぁ気まぐれだよ。バイト無くなって暇になったから何となくだよ。そういうお前は?」
「私も気まぐれだよ。家で勉強してたんだけど、少し息抜きしたくてね。ふらふらしてたらこの公園に来てさ、そしたら見たことある人がいる!って思って飛びついちゃった。」
ニコニコと笑ってそう答える。小中とよく見ていた顔だ。懐かしい・・・。
「にしても3年ぶりか、中学校卒業以来だもんな。」
「そうだね。そだ、バイトって言ってたけど進学したの?」
「ん・・・あぁそうだよ、お前も?」
「なんで分かったの・・・」
「いや、勉強って言ってたから何となく。」
「なるほどね! あ、それでね、今の学校がね・・・」
久しぶりの再開だったからか、話が弾んだ。今はどんな感じだとか、小中の思い出話とか趣味の話とか悩み相談とか色々。30分ぐらいは話してた思う。
会話終わり、しばらくの沈黙のあと
「ねぇ君は、私のことどう思ってる・・・?」
突然こんなことを言ってきた。少しびっくりしながら俺はこう応えた。
「あー、うん、えっと、進学とかして色々友達とか出来たけど、女友達ではお前が1番だな。どう思ってるかで言うと・・・そうだなぁ 親 友 かな。」
「親友か・・・。」
少し暗い表情で下を向いたあとに、こんな質問を見投げかけてきた。
「彼女っているの・・・?」
「彼女?いるわけないだろ」
「そっか、いないんだ・・・」
なぜか安堵の表情を浮かべている。何かいいこと言ったか、俺?
「そういうお前は彼氏とかいるのか?」
「か、かか彼氏なんて・・・いるわけ、ないじゃん。うち行ってきたの学校にいい人なんていなかったし・・・だって君のことが・・・」
すこし照れながらそう言った後、俯き、何考えている様子だ。恋バナとかになると女の子ってみんな照れんのかな。てか最後のほうに[君のことが]って・・・?
少し考えつつ、ふと腕時計で時間を確認したらそこそこいい時間になっていた。
「っと、もうこんな時間だ、明日早いし俺はそろそろ帰るわ。」
俺が立ち上がろうとしたら、したら・・・引っ張られた。こう、服の裾をギュッと・・・。
「待って・・・まだ話は終わってない・・・よ」
暗くてわかりづらいが、なんだか顔が赤くみえる。
「話ってなんだって、うわぁ!」
急に抱きつかれた。そんでもって顔を俺の体に埋めてくる。
急過ぎる出来事だったから何がなんだがえわからなくなる・・・。抱きついた本人は何もしゃべらず、少しずつ抱きしめる力を強めていく。
(なんで急に抱きついた!?なんで顔埋めてくんの!?なんかしゃべってくれよ・・・!)
なんと声をかけたらいいか分からない・・・。
1分ぐらいしたとこで抱きついてたやつが軽く顔を放し、しゃべり始めた。
「私、小中とずっと伝えられなかったことがあったんだ。」
そうしゃべるこいつの顔はこの暗さでも分かるくらい赤くなっている。そして、この後なんて言いうかなんとなく察しがつく。
「私・・・君のことが、す、好きだよ・・・。ずっと、小学生のころから、ずっと・・・。」
やっぱり・・・。抱きつかれて顔を赤くされたらどんな鈍感な奴でも気付くだろう。でも、こんなこと急に言われたらなんて言っていいかわかんなくなって、何にも声がかけられなくなる・・・。
「・・・何とか言ってよ、勇気を出して告白したんだから。」
催促された。まぁ当たり前だよな。
数秒間、変なことを言わないように心を落ち着かせて、彼女に、自分の思っていることを話す。
「俺も、あー・・・うん。えっと、さっきも言ったけどお前は俺が出会ってきた女友達のなかで1番だ。こんなに自分の趣味の話とか本音を言えるのはお前しかしないと思う。だから、気持ちは一緒だ。」
「本当に?」
「ああ、本当だ。」
「なら・・・。」
抱きついたまま、上目遣いで俺のことを見つめて言う。
「ちゃんと言って、 好 き って言ってよ。」
うるうるとした目で見つめてくる。そんな感じで見つめられたら照れちまうだろうが・・・。
意をっ決して、一息ついてから俺は言った。(小声で・・・)
「好きだよ・・・」
「聞こえない、もっとはっきり言って」
やっぱり言われた。あぁ、こうなったらはっきり言ってやる!
「あぁ!好きだよ!大好きだ!お前のことが好きで他のやつがかわいく見えなくなるぐらいにな!」
彼女の目を見て、はっきりと言った。多分俺の顔を真っ赤っかになっていることだろう。
「そこまでしっかり言われると、なんだが恥ずかしいな・・・。」
俺から少し顔をそらして彼女はそう言った。
「お前がはっきり言えって言ったんだろうが・・・。」
「フフッ、そうだったね。」
彼女がギュッと強く抱きしめてくる。俺も彼女のことをしっかりと抱きしめる。
しばらくの間、お互いにしゃべらず、抱き合ったままの時間が流れた。風が温かく感じるぐらい、彼女のぬくもりを感じながら・・・。
皆さん初めまして、プじアん・ラクタと申します。この度は「小説練習 久しぶりの再開」を読んでいただきありがとうございます。
小説でも書いてみようと思い、いきなり連載物を書くのは無理があると感じ、「小説練習」と題し、短編ものを出させていただきました。これからも少しづつではありますが、小説を書いていこう思います。何かアドバイス等ございましたら、感想などで送ってもらえたら嬉しいです。
それでは改めまして、「小説練習 久しぶりの再開」を読んでいただき、ありがとうございました。