〇〇は何処…?
それは、大通りを抜けた路地の中
一本逸れれば、人っ子一人いない不思議な空間
そこにぽつんと一軒のお店
その名は『巡屋』
悩みのあるものは何故か引き寄せられる不思議なお店
今日もまたひとりのお客がやってくる。
何かを抱えて……
最近私には周りの人には言えない悩みがある、それは明らかにこの世のものではないものに追われること。
いつから、なんてものは覚えていない、ただソレは律儀に私が1人の時に現れる、今日もまた1人になる時間がやってくる。
少し経てば背後に気配を感じる、恐る恐る振り返れば街灯に照らされる大きな牙
「もう!ほんとどっか行ってください!!」
相手は人間ではないのだから言葉は通じるはずないそんなのわかってる!けれど言わずにはいられないのはきっと人間の性なのだろう。
今日はまた一段と逃げた気がする…
「あれ、ここどこ…?」
ふと周りを見渡せば全く身に覚えのない景色、まさか迷子?!この歳で、それは流石に…
少しでも見覚えはないものかとあたりを歩く…いっこうに知っている道は見つかりそうになく……少し進むと、なんとなくだが目を止め立ち止まる建物があった、それは目の前の大きなお屋敷。
お屋敷と言っても看板がかけてあるからお店…?
「め、巡屋?何のお店だろ」
看板には“巡屋”という文字、こんな名前のお店って何屋さん…?不思議に思う心境とは裏腹に私はそのお店の入口に手をかけていた。
中に入ると、そこは例えるならお菓子のない 駄菓子屋さん、自分の説明力のなさを痛感するが、一言で表すとするならばそれが一番適切だった、ただ普通の駄菓子屋さんよりも店内は広く、棚にはお菓子の代わりと言っていいのかたくさんのガラス玉が並んでいた
「ガラス…?綺麗」
「ようこそ巡屋へお客様。あなたの看板は何色ですか?」
私がガラスに夢中になっていると後ろから声をかけられる
「へ?!あ、すいません勝手に見ちゃって!」
気付かぬ間に後ろに来られていたということの驚きで過剰に反応しすぎたのか向こうも驚いた表情をしている。
『こちらこそすいません、驚かせましたか、それとそれはみても大丈夫ですよ、美瑚ちゃんたちのお気に入りなんです、店に出してるのは』
後ろにいた私と同じか少ししたくらいの見た目をした男の人、美瑚ちゃん……?お気に入り…?
「えっと、質問しても?」
私が恐る恐る聞けば、男の人は眩しい笑顔で『なんなりとどうぞ』と言った。
「ここは何屋さん?それに色って、私なにも…」
『ここは、んーある意味なんでも屋さんです、色はわかるはずですよ今パッと浮かんだものを』
パッととは簡単に言ってくれる…
色なんてそんなわかるはず……………
「みずいろ………?!」
男の人の言葉の意味を考えていたらスルリと口から零れでる言葉
『みずいろ、ですか
少々お待ちください!』
私が言った色を復唱し、店の奥の方へと走っていってしまう、、
え……これは放置プレイですか……?
特にやることもない私は店内をぐるりと回る、や っぱり並べてあるガラス玉はどれも綺麗で…その一つを手に取ろうとした瞬間
『『お待たせしました、お客様。
ようこそいらっしゃいました巡屋へ』』