デレデレ肉じゃが(やみ)
ちゃちゃっと書いた短編。
短いです。
こんばんは。しらはたと言います。
突然ですがとある事情で同棲をしている中学生の女の子が怖いです。
今日は彼女の誕生日で先に帰った僕はほんの悪戯心から彼女を驚かせようと部屋に隠れていたのですがいつの間にか寝てしまったようで目が覚めたら彼女の楽しげな鼻歌が聞こえてきました。
「ふふーんふふーん 肉じゃがグツグツ煮込んだら隠し味に入れましょう まーっかなまーっかな私の血」
クローゼットの中からその声を聞いてしまった僕は背筋の凍りました。
そしてここに隠れているという事実。見つかっても大丈夫だと思いますがアレを聞いてしまったとなると嘘が顔に出やすい僕は隠し通せる気がしません。
彼女に今日は遅くなるとメールをしておいて息を潜めます。
僕のメールが届いたであろう着信音が鳴り十秒ぐらい経つと凄い勢いで包丁がまな板に叩きつけられる音が響きだしました。
怖い怖い……。
何してんだあの子!
確実に今日の食材のどれかがみじん切りと化しました……。
心のなかで合掌しておきます。
さてこのままでは事態は一向に好転しませんね。
パッと思いついた選択肢は三つです。
一、メールで彼女を誘導してその隙に抜け出す。
二、驚かせようとしたら寝てたと言って出て行く。
三、正直に謝る。
うむ……これは……三ですね。
嘘がつけない僕は素直に謝るのが一番ですね。
戸を開け出ようとすると彼女の声が聞こえてきました。
「いつもはもっと早く帰ってくるのに……も、もし何かに巻き込まれていたらどうしよう」
慌てた声が聞こえてきました。可愛いなあ。
「もし……男と一緒に居たら……」
ん?
「生殖器を潰してやる」
怖いですってば!
狂気じみた声の中に隠されている少し不安そうな声を聞いてクローゼットから出ます。
彼女の後ろに立つとポンポンと頭を撫でました。
この触り心地癖になりそうです。
彼女は僕の姿を見て顔を真っ赤にしました。
超かわゆすです。
「ひゃっ……しらはたさん何時からそこに!?ジャパニーズ忍者ですか!?」
「い、いや……なんといいますか……」
事の顛末を話しました。
「なるほど……あれは借りたサイコホラー漫画にあったものを思い出して歌っただけですよ?」
その言葉を聞いてホッとする。
なんだそうだったのか……こんないい子なのにそんな事する筈ないですよね。
勘違いをしていた自分を恥ずかしく思います。
「ゆみちゃん 今日のご飯は?」
「今日は肉じゃがとお魚ですよ!愛情込めて作りました!」
「じゃあご飯にしようか」
「一緒にお風呂入りましょう お風呂が先ですよ」
そんな会話をしながら風呂場へ向かった。
僕が彼女と一緒に入った浴槽で痛そうに顔を歪める彼女を心配して親指の腹にまだ新しい傷があるのを見つけてしまうのはまた別の話。