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わたしが痩せた理由

 着飾った自分を見て爪先から頭の先までチェックする。

 今日、この日の為に肉体改造に血反吐を吐きながら取り組んだわたしの体型は以前と全く違う。


 ぶよぶよの肉がない。


 肉のせいで潰れていた瞼は、痩せて気付いたが二重瞼だった。

 意外に目も大きい。ふんわりした化粧を施すつもりだったけれど、若干つった猫目にはびっくりする位似合わない。仕方ないからキツめのメイクにすると、これまたどこぞに悪女に見えなくもない仕上がりになった。片方の眉だけ上げるとなんとも挑発的である。元々性格の悪そうな顔立ちだったということが発見できたということだ。

 まあ、合格圏内だし、仕草に気品でも付ければなんとかなるだろう。

 専属のトレーナーも超一流を雇い(これがまた色々酷かった)、ダイエットメニューのエキスパートも側に置いた。週二回エステに通ったし、肌もツルツルだ。髪も艶があり見事な天使の輪ができている。セットし飾り立てても良かったのだけど、この美しさを強調するには何も手を加えずサイドに流すことが一番だと美容師も言ったし、それに従った。


 第三者からみて、変わった、と言われるのは間違いないだろう。

 勿論、綺麗になった、と言われるのも。ただ、比べる対象の以前のわたしがあまりにもひどいので綺麗になったのハードルが低いのだけど。

 体の線に沿ったマーメイドドレス。豊かな胸に括れたウエストラインがよく分かる。オーダーメイドのこのドレス、黒生地にスワロフスキーを散りばめたデザインはまるで夜空のようで、職人よ、良い仕事をした、とニッコリ微笑んだ。

 以前ならこんなドレス着るなんて夢にも思わなかったのだから。この感動を伝える語彙が少ない自分に悔しさを覚える。

 鏡の前のわたしはどれだけ別人に見えようともわたし自身で、文句なく立派なレディにみえた。

 可愛い、綺麗、そう言われる自分を想像して口元が無意識に上がる。

 だけど、別にそんな言葉が欲しい訳じゃない。

 大体、女の可愛いは信用できない。彼女達はなんでもかわいーと言っておけば満足なのだ。男の可愛いはアテにならない。そもそも着眼点が違う。

 何が言いたいかというと結局、自分の美的感覚を信じるしかないのだ。


 この半年間の、思い出すだけでも吐き気と頭痛のするダイエットは全て今日の日のため。

 今日が終わればリバウンドしたって構わない。


 わたしの体重は半年前86キロあった。筋肉ではない。全てぶよぶよの脂肪だ。身長も165センチと少し高めで威圧感も半端なかっただろう。が、今のわたしはありとあらゆる専属のトレーナーと環境と自身の人生初の努力のかいあり、45キロにまで体重を落とした。正直、やり遂げるとは思わなかった。

 とにかく辛くて、何度も心が折れかけたのだ。図太さには定評のあるこのわたしが。

 何度も恨みつらみを吐いたけれど、今は達成感で満足している。



 わたしは、この劇的ビフォーアフターのきっかけとなった半年前の出来事を思い返した。





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