3
なんか多くね!?こういうの!!と頭の隅のほうで考えて。
口を後ろから押さえられ声を出せないようにされて、
暴れる手足を最初に話しかけてきたおじさんが押さえつけて完全に身動きの出来ない状況に陥ってしまった。
(なんで、いったい私が何したって言うんだよ!
ああ、やっぱり家に帰っていればよかったんだ!余計なことを考えずに!!)
そう何度もいいタイミングで誰かが来てくれるはずもないんだ。
自分で何とかしなきゃ。
何をされるか分かったもんじゃない。
「おい!手縛れ!口もだ!!」
その声を合図に口にはハンカチを。
手は後ろで纏められて縄で縛れら手。
私の足の間に男の体。
足を閉じることも出来ない。
「んー!!」
声を出すことも出来ない。
必死に動いてみようと心見るけど無駄な足掻きで。
「大人しくしてたら怪我するようなことはしないでやるよ」
へへ、と厭らしい笑みで笑う私の後ろにいる男の手にはビデオカメラが持たれていた。
何それ!?そんな展開!?
いくら私がそっちの知識には疎いといってもさすがにこれはやばい。
公園の裏口。
人気は殆ど無い。
周りの木々で車も陰になっている。
後部座席のドアは片方開いていて光がさしている。
男は地面に足をつけたまま私の上に覆いかぶさるような状況になっている。
マジで!ありえない!なんなのさ!何でこんなことに!?
一回泣いたらなかなか涙も止まらず、ヒックとなる喉もなりやまない。
公園の隅のほうにある手洗い場で武藤君はハンカチを濡らして私の顔を拭ってくれた。
「おいおい、いい加減泣き止めよ、ひどい顔だぞ」
呆れたようにいう武藤君がいつもの武藤君で、なんだか安心してしまう。
「うっさい!もう、何がなんだかさっぱりだったんだよ!」
ううーと未だに止まらない涙と鼻水を武藤君が貸してくれたハンカチで拭う。
「はぁ、お前さ、何であんなやつ等に着いてったの」
「好き好んで着いていくわけ無いだろ!無理やり引っ張られたの!」
なんて奴だ!私が好きで着いていったとでも思っているの!?
「大体なんで、武藤君がココにいるわけ!?」
少し怒った口調で捲くしたてると武藤君はえ!?と驚いた顔をした。
「…いやー…この公園俺ん家の近くなんだよ。
聞きなれた声が聞こえたから慌ててきたらなんか驚くような事になってたし。
こっちが心臓止まるかと思ったわ!」
ガシガシと頭をかいてはぁーと盛大にため息をつく武藤君は、夏休み前のことなんか一切合財忘れてるような感じで私に話しかけてくる。




