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好き・苦手  作者: な吉
19:痛む理由
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2






「お嬢さん、お嬢さん」



後ろから知らない声が聞こえた。

位置的に私に話しかけている。



何なのかと思って顔を上げる。


にこりと人のよさそうなおじさん。



「…はぁ…」


いったい何なのか、こっちは一人になりたいんだ。

あ、一人になりたかったら家に居ればいいんじゃね?

と余計な考えが出てきてしまう。



「ちょっと、道を聞きたいんですけど、いいですか?」


道?何でわざわざ私に?



そう思っていたら私が返事をする前に腕を引っ張られた。



「ちょ…!」


いきなり立ち上がったのでズキリと痛むこめかみ。



痛みに気をとられていたら公園の裏口のほうまで連れてこられた。

本能的にやばいと思って逃げようとするが意外と強い力で引っ張られて腕が離れない。



「ちょっと!私道なんて分かりません!!離してください!!」


だんだん血の気が引いていく。


目の前には白いワゴン車。

後部座席のドアがガラリと開いたと思ったらドン!と背中を押され車の中に押し込まれそうになる。



「っは!」


ガシッと扉に手を掛け何とか倒れこまないように踏ん張る。

だけど中にはもう一人知らない男の人がいて掴んでいた手を取られて引きずりこまれる。


「な、何なんだ!!離せ!!!」



あたりに響くような大きな声で叫んではみた。


なんか多くね!?こういうの!!と頭の隅のほうで考えて。



口を後ろから押さえられ声を出せないようにされて、

暴れる手足を最初に話しかけてきたおじさんが押さえつけて完全に身動きの出来ない状況に陥ってしまった。



(なんで、いったい私が何したって言うんだよ!

ああ、やっぱり家に帰っていればよかったんだ!余計なことを考えずに!!)



そう何度もいいタイミングで誰かが来てくれるはずもないんだ。


自分で何とかしなきゃ。

何をされるか分かったもんじゃない。



「おい!手縛れ!口もだ!!」



その声を合図に口にはハンカチを。

手は後ろで纏められて縄で縛れら手。

私の足の間に男の体。


足を閉じることも出来ない。




「んー!!」

声を出すことも出来ない。

必死に動いてみようと心見るけど無駄な足掻きで。



「大人しくしてたら怪我するようなことはしないでやるよ」


へへ、と厭らしい笑みで笑う私の後ろにいる男の手にはビデオカメラが持たれていた。



何それ!?そんな展開!?


いくら私がそっちの知識には疎いといってもさすがにこれはやばい。



公園の裏口。

人気は殆ど無い。

周りの木々で車も陰になっている。

後部座席のドアは片方開いていて光がさしている。

男は地面に足をつけたまま私の上に覆いかぶさるような状況になっている。




マジで!ありえない!なんなのさ!何でこんなことに!?









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