2
ぼんやりと変哲もない授業を聞いてノートを取って。
少し動いただけでもとても暑い。
怒涛のように過ぎ去っていった1学期がもうすぐ終わる。
7月に入り完全に話すことも目をあわす事もなくなった。
寂しいと思う気持ちが強くなった。
でも、きっと忘れられる。大丈夫。
私と薺と葛葉と武藤君と赤里君と大沢さんといることは多くなった。
だけどいればいるだけ分かってしまう。
この開いた距離を埋めることはできないのだと。
(いい機会じゃないか…)
もうすぐ夏休みだ。
読みきりの話がきてる。
漫画を書き上げるのにいい時間だ。
家に引きこもっていればいい。
そして2学期には何もない顔をして皆と会って皆と距離を置けばいい。
後、一週間か。
夏休みまで。
残り1週間ともなれば授業だって浮き足立ってくる人間も出てくるわけで。
(サボり…)
授業に来ない人間だっている。
私はこんなに学校に来て勉強してるのに、なんでまともに授業を受けない人間のほうが頭がいいのだろうか。
何で私はこんなにも理解できないのだろうか。
「…マジですか…」
ざわざわと騒がしい職員室。
呼び出しをくらった私には予想はできていたこと。
できれば見逃してもらえたらと甘い考えも持っていた。
「残念なんだがなぁ授業態度提出物は問題ないんだが…やっぱりテストがなぁ…」
目の前の担任の五十鈴先生は私の通知表を見ながら残念な顔をしている。
「あの、もしかして、もしかしなくても補習授業ってことですよね」
「ああ、そうだなもしかしなくてもだな」
にっこりと笑う五十鈴先生に若干の殺意を覚える。
コノヤロー人が補習を受けるのがそんなにおかしいか!
ほれと渡されたプリントには補習の日程が書き込まれていた。
うわーと思いプリントに目を通していたら
失礼しますと聞きなれた声が聞こえた。
「おー武藤やっときたな」
「なんすかーこう見えても忙しいんすよ」
砕けた話をする武藤君。
私をチラリと見てすぐに五十鈴先生に向き直る。
別に挨拶ぐらいしてもよくない?
若干イラッとしながらも会話の邪魔をしたら悪いと思い五十鈴先生に一言失礼しますと言い残して職員室を出た。
いったい、私が何をしたというんだ。
いきなりあんな態度を取られてもどうしていいか分からない。
イライラとモヤモヤが残る感情を気づかないふりをした。




